「彼の基準から見れば平凡な週末」オーストリアGP14位止まりの角田裕毅に対する各国メディアの評価は!?「リカルドが上回った珍しいケース」

F1第11戦のオーストリア・グランプリ、ビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)の角田裕毅はスプリントでスタートからポジションをひとつ上げての13位、そして14番グリッドからスタートした日曜日の決勝レースでは、第1スティントを長引かせる戦略を採ったものの奏功せず、2戦ぶりのポイント圏内フィニッシュはならなかった。

終始低調だったスペインGPから1週間後のレースウィークエンドで、幾らか改善されたVCARB01。チームメイトのダニエル・リカルドが9位フィニッシュでポイントをチームに持ち帰ったことは、角田にとっても心強いものとなったが、各国専門メディアの日本人ドライバーに対する評価は、及第点、あるいはそれ以下に止まっている。

英国のF1専門サイト『PLANETF1.COM』は、10点満点の採点で「6」を与え、「チームメイトに大きく差をつけられて負けてしまった角田にとっては、忘れて次に進むべきレースとなった。RBの車はスペインよりもペースはあったが、非常に激しい中団争いでポイントを争うには、まだ十分ではなかった」と寸評を綴った。

同じく英国のモータースポーツ専門サイト『CRASH』も同採点とし、「角田にとっては、全体的に良くない週末となった。予選では無線での不適切な発言で罰金を科せられた」と物議を醸したトラブルにも言及。一方、『RaceFans』は「5」を付与し、「今季、素晴らしいパフォーマンスを見せてきた角田の勢いはやや落ちてきたようにも見えるが、予選における無線での問題以外、大きなミスを犯すことはなかった」と評し、さらに以下のように続けている。

「彼のレース戦略は、チームメイトのものほど効果的ではなかった。彼とリカルドの間には数台の車が挟まっていたが、それは中団争いの激しさを反映しているのかもしれない。クリーンな週末を過ごし、スプリントではRBのリードドライバーとなったものの、日曜日の決勝ではチームメイトに敗れた。序盤はフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)らを追い抜いたが、新しいタイヤを履いた終盤、ウィリアムズを攻略できたはずである」

『MOTORSPORT WEEK』は、「日曜日にポイント圏内フィニッシュを果たしたチームメイトと比較して、非常に悪い週末を過ごした。スプリントでは日本人ドライバーが前に出たものの、最終結果としては13位に終わり、入賞を飾れずに終わっている」として、採点は及第点に満たない「5.5」とした。

同採点の『TOTAL MOTORSPORT』も、「ハース勢が早めにピットインした後、最初のスティントを延ばしたが、ポイントを獲得できるような展開にはならなかった。リカルドが全ての場面で角田を上回るという、珍しいケースとなった」と、これまでと様相の異なる週末だったと強調している。
続いて、オランダのF1専門サイト『GPBLOG』の採点は「5」で、「角田は目立たない週末を過ごした。日本人ドライバーはリカルドに匹敵することができず、チームにとって重要なポイントを逃してしまった」とネガティブに総括。スペインのF1専門サイト『F1i.com』 は「6」を与え、「シーズン開始時から調子を上げ、最初からチームメイトに差をつけたことで称賛された角田だが、その勢いは徐々に失われ、最近の数レースでのパフォーマンスはベストのものとは言えない」と綴り、週末を詳しく振り返った。

「スプリントではリカルドを上回ったが、トップ10には食い込めず。土曜日の予選でもQ2には進出したが、リカルドには及ばずに終わった。決勝ではオーストラリア人ドライバーが早めにピットインした一方で、角田は第1スティントを21周まで延ばしたが、それでライバルたちの後方につける結果となった」
「2回目のピットストップ以降は15番手をキープしたが、アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)のレース後のペナルティーで順位をひとつアップ。とはいえ、喜びを感じられるような結果ではなかった。なお、無線での不適切な発言と4万ユーロ(約690万円)の罰金を科せられた、ある意味不運な問題については触れずにおこう」

スポーツ専門サイト『sportskeeda』は、「この週末は、角田にとって忘れたい週末となった。無線での問題に加え、特筆すべきものが何もないレースのパフォーマンスと、全体的に大きな失望に彩られた」と終始ネガティブな寸評となったが、採点は「6」と及第点には達している。

最後に、今回もランキング形式を採用した英国のモータースポーツ専門サイト『THE RACE』は、角田を実際の順位より低い「15位」として、「RBの2人のドライバーのパフォーマンスは似ており、スプリントでは角田がわずかに上回ったが、逆に予選ではリカルドに僅差で及ばず、決勝では第1スティントを長くする戦略を選んだことで、レースが厳しいものとなった。彼のペースはまずまずのものだったが、特筆すべきものではなかった。彼の基準から見れば、平凡な週末だった」と評した。

構成●THE DIGEST編集部

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