老後はシニア料金で「映画」をたくさん観てゆっくりしたいです。「退職金」と「年金」があれば実現可能ですか? 月5本は観に行きたいです

中小企業の退職金はどれくらい?

中小企業の退職金は、企業による差も大きいので一概に「○○万円以上は必ずもらえる」とはいえません。今回はモデルケースとして、東京都産業労働局が公開している「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」を参考にします。

「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」によると、そもそも退職金の制度がある企業は集計企業のうち71.5%です。およそ3割の中小企業には退職金制度がありません。

今回は退職金制度がある会社勤務の前提で解説を進めます。同じ集計でモデル退職金を見てみると、定年退職金は高校卒で994万円、大学卒で1091万8000円です。

大学卒の退職金1091万8000円を、退職後の65歳から男性の平均寿命の81歳までの17年間で、毎月定額を崩して使ったとすると、ひと月あたり約5万3520円です。

そのため、年金の15万円と合わせると、毎月約20万円のお金を使うことができます。

老後の生活費はどれくらい?

次に、老後の生活に必要な資金を考えます。老後の生活費は人それぞれですが、今回は総務省の「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要」を参考にします。

同報告によると、65歳以上の単身無職世帯の支出の平均は毎月15万7673円です。

老後に毎月映画を5本見ることは可能か?

映画を見る手段としては、映画館に行く、DVDやブルーレイを借りる、サブスクリプションを利用するなどがあります。今回は毎月5回映画館に行った場合の費用を見ていきます。

映画館の料金は劇場によってさまざまですが、一般的には2000円前後です。

ただし、多くの劇場でシニア割引があり、シニア料金が適用されます。例えば、TOHOシネマズ 新宿では60歳以上であれば1300円で鑑賞が可能です。この金額を基準とすると、老後に毎月5回映画館で映画を見る場合の費用は6500円ほどです。

前記した平均的な支出にこの金額を加えると16万円ちょっとですので、毎月使えるお金が20万円であれば、それなりに余裕はあるかもしれません。ただし、総務省の平均支出の金額はあくまでも平均です。

例えば、総務省のデータにおける住居費は、持ち家のケース・賃貸のケースの両方が含まれたうえでの1万2564円です。賃貸の場合は基本的にはこの金額以上にお金がかかると思われるので、平均的な支出を大幅に超える可能性もあるでしょう。ほかにも、食費は約4万円の計算ですが、外食や総菜の利用が多いなどの理由からこの金額以上にかかる場合も考えられます。

まとめ

今回のシミュレーションでは、中小企業の平均的な退職金と毎月15万円の年金があれば、老後の平均的な生活費に加え、毎月映画を5本見ても十分に暮らしていけそうだとわかりました。

ただし、実際に自分が受け取る退職金や年金、毎月の生活費を考えた際に、必ずしも同じ結果になるとは限りません。気になる人は自分の場合に置き換えて計算してみましょう。

出典

東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)8.モデル退職金
東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)7.退職金制度
総務省統計局 家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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