私たちのエネルギーは利用可能炭水化物で成り立っている?利用可能炭水化物とは何か?【眠れなくなるほど面白い 図解 炭水化物の話】

利用可能炭水化物とは何か

糖質を細かく分類してみれば……

かつて炭水化物は直接重量を測定することが不可能で、栄養成分表示においては、食品の全重量からほかの栄養素と水分などの重量を引いて算出していました。しかし、2015年に文部科学省が「日本食品標準成分表」を改訂し(七訂)、「利用可能炭水化物」が掲載されるようになりました。利用可能炭水化物とは、として利用できる炭水化物のことで、でん粉(多糖類)、ぶどう糖や果糖などの単糖類、ショ糖や乳糖などの二糖類、オリゴ糖類の一部など、1gあたり3・75kcal以上あり、血糖値を上げるものです。本書では、この利用可能炭水化物のことを糖質と表現しています。

一方、糖質という用語は四訂日本食品標準成分表(1982年)で使用された言葉で、炭水化物から食物繊維を引き算した部分を示す言葉として用いられました。しかし、糖アルコールのような、エネルギーがほぼゼロであって※、血糖値を上げない物質は糖質に含まれますが、利用可能炭水化物には含まれません。利用可能炭水化物と糖質とは本来は異なっているのです。

さらに、日本食品標準成分表は2020年に全面改訂され(八訂)変更されました。改定後の成分表では、糖質のエネルギー量は1gあたり4kcalから75kcalと変更されています。

※例外的にマルチトールという糖アルコールは 1g あたり 3kcal のエネルギーを持ち、ブドウ糖の半分程度の血糖上昇作用を示す。

利用可能炭水化物とは何か

利用可能炭水化物とは、体内で利用できる(消化吸収される)炭水化物を示す。
糖質から糖アルコールを差し引いたものと考えるとわかりやすい。

利用可能炭水化物=糖質-糖アルコール(消化吸収されにくく、利用可能炭水化物とは分けて考える。)

利用可能炭水化物は3種類ある

・利用可能炭水化物(単糖当量)

エネルギーとして利用性の高い、でん粉、単糖類、二糖類を単糖の質量に換算した総和。エネルギー計算の際に用いる。単糖当量としての利用可能炭水化物は、質量の直接の合計である質量計での利用可能炭水化物をすべて加水分解した状況で計算されるため、分解に加えられた水の重量分だけ重くなる。

・利用可能炭水化物(質量計)

でん粉やぶどう糖、果糖などの利用可能炭水化物を直接分析または推定した値で、これらの質量の合計。摂取量を算出する際に用いる。概念的には最も糖質に近い。まだ、文部科学省がその食品の利用可能炭水化物を測定していない食品では差し引き法で示さざるを得ない。

・差引き法による利用可能炭水化物

食品 100g から水分、タンパク質、脂質、食物繊維総量、有機酸、灰分、アルコールなどを差し引いた値。

※文部科学省「日本食品標準成分表 2020 年版(八訂)をもとに作成

【実は利用可能炭水化物の少なかった食品は……】

・ごぼう 100g あたり1.1g

・ナチュラルチーズ(クリーム) 100g あたり2.5g

※118 ~ 126 ページの「食品別炭水化物量一覧」では、利用可能炭水化物は単糖当量の数値を掲載し、単糖当量が明らかでない場合は差引法の数値を採用。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 炭水化物の話』/著:山田 悟

【書誌情報】 『眠れなくなるほど面白い 図解 炭水化物の話』 著:山田 悟

昨今、健康法やダイエット法として“糖質制限”が浸透し定番となっていますが、一度やってみたものの挫折してしまう人も多く「一生続けるのは現実的じゃない…」「やっぱり主食を食べたい」という声も少なくありません。本書では『炭水化物』をテーマに、ガマンせずに食べながら痩せる方法や生活習慣病の予防に役立つ知識を、糖尿病専門医でもある著者が図解でわかりやすく解説します。すべてのカギは『血糖値』。血糖値と聞くと、糖尿病など生活習慣病の人だけが気にするべき数値のようなイメージがあるかもしれませんが、健康診断の数値にあらわれない『食後高血糖』は成人の2人に1人に起きているといわれており、誰もが他人事ではない数値です。炭水化物を食べながらでも血糖値を上げない食事法を具体的に紹介し、「GI値の低い食品って太りにくいの?」「外食のときはどうすればいい?」「食べ過ぎてしまったら翌日は食事を抜くべき?」といったギモンにも医学的に回答。さらに「白米よりチャーハンのほうが太らない」「油はたくさん摂ってOK」「朝のフルーツはNG」など、今までの固定概念を覆す新常識も。最先端の研究にもとづいた食事法で、炭水化物や糖質を「食べられない」ではなく「どう工夫して食べるか」がわかる、楽しく一生続けられるメソッドが満載の一冊です。

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