【プロ野球】大黒柱が不調続出 「2軍落ち」坂本、「全治4ヶ月」柳田よりも“辛い”『安楽騒動』余波の元エース

2021年7月、オールスターに出場する坂本勇人選手

2024年シーズンも半分を経過した。選手個人に目を移せば、各チームの若手の活躍が目立つ一方、これまで長きにわたってチームを支えてきた主力の不振やケガも目立っている。

巨人坂本隼人内野手は、高卒2年めでショートのレギュラーを獲得して以来、初めてケガや体調不良以外での2軍落ちを経験し、若手に混じって汗を流している。

ケガで涙を呑む選手もいる。チームとしては好調なソフトバンクの柳田悠岐外野手は2024年5月31日、交流戦の広島戦で二塁ゴロを放った際、一塁へ走り出した後に右太もも裏を痛めた。

「即交代となりましたが、初診では肉離れと見られたため、それほど復帰に長くかからないと思われていました。ところが佐賀市内の病院で検査したところ、右太もも裏の筋損傷で全治4ヶ月の重症と判明。時期的に見ても、今シーズン中の復帰は絶望と見られています」(ソフトバンク担当記者)

太ももを痛めた点では、中日の中田翔内野手も同様だ。今季の出足は好調だったが、4番の不調が顕著になるとチームも失速。試合数半分を消化した時点で、“定位置”の最下位も見えてきた。

「中田は右太ももの軽い肉離れを起こし、5月16日に登録を抹消されました。現在は1軍に復帰していますが、これまで何度も痛めている場所です。本拠地のバンテリンドームは人工芝で、天然芝より足に負荷がかかる。しかも肉離れは癖になるので、再発が心配されています」(スポーツ記者)

ケガではなく、不振のために2軍落ちを経験したのが阪神の4番、大山悠輔内野手だ。昨季は勝負強い打撃で2度めの日本一に貢献した。ところが、球団初の連覇がかかる今季の大山は開幕当初から絶不調。そのため岡田彰布監督は6月5日に2軍落ちを命じた。その時点での大山の成績は、出場53試合で打率.199、本塁打3本にとどまり、とても4番の働きとは言えなかった。

「約2週間後の6月21日に1軍復帰を果たしましたが、打率は.215で本塁打も2本上積みしただけです。阪神上昇のためには彼の打撃爆発が絶対条件なんですが、このままベンチウォーマーになってしまうかもしれません……」(阪神担当記者)

7月2日現在、阪神は勝率約五割の3位もチーム打率.221で最下位。“打てない阪神”の象徴が大山となってしまっている。

投手に目を転じれば、いまだ1軍のマウンドに登ることさえ許されない元エースもいる。日米通算200勝まであと3勝に迫りながら、ここまで1軍登板がないのが、楽天の田中将大投手だ。春季キャンプ途中から2軍暮らしが続いている。

「日本球界復帰後、確かに球威の衰えは顕著ですが、それを補って余りある経験と技術が田中にはあるはずです。

ただ、現在の田中は投球どうのより、メンタルがやられているというのが我々の見方です。というのも、昨年の『安楽騒動』の余波が精神にきているようなのです」(楽天担当記者)

昨年、安楽智大投手のパワハラ問題が発覚したあと、インスタグラムで《意識が甘かったと反省しています》と投稿し、年長者としての責任を果たせなかったと綴っていた田中。その後、ファンからの猛烈なバッシングが寄せられたという。2024年1月末には、自身のYouTubeチャンネルで「何を信じるかは自由ですけど、今オフは特に酷いですわ」と、野球以外の部分で「黙っていれば何かたくさんいろいろと言われたなぁ」と、心境を吐露していた。

「寄せられたバッシングに、まだ気持ちの整理ができていないようです。青山浩二投手コーチは『将大に関しては、しっかり前に向かって進んでいる』と言っていますが、夏になったこの時期でもいまだ実戦形式での登板はない。これは異例なことで、復帰に関してはかなり遅れていると言わざるを得ません」(同前)

24勝0敗と天下無双だった2013年。だがいまは、たった1つの勝利も遙か彼方と感じているのだろう。

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