大きく進む生態系保護、三江源国家公園の実践 中国青海省

大きく進む生態系保護、三江源国家公園の実践 中国青海省

ココシリ五道梁地区で青蔵公路を渡るチルー。(5月27日撮影、西寧=新華社記者/張竜)

 【新華社西寧7月3日】中国青海省の可可西里(ココシリ)は現在、最も美しい季節、チルー(チベットカモシカ)の繁殖移動シーズンを迎えている。同省三江源国家公園にあるココシリ五道梁地区の青蔵公路3001キロ地点と3002キロ地点は、チルーの重要な移動ルートとなっている。

 同公園長江源園区ココシリ管理処五道梁保護ステーションのカルマ・インペル副所長は「最も多いときには、『母チルー』が1日800頭以上青蔵公路を横断する」と述べ、パトロール隊員は公路沿いを絶えず見守り、チルーの群れが公路に近づくと車両の通行を止め、チルーが横断し終えるまで待機させると説明した。

 チルーは「高原の妖精」と呼ばれ、青蔵高原に特有の希少動物。1980年代には密猟が横行して絶滅の危機にひんしたが、現在は絶滅危惧種ではなくなっており、チルー保護の歴史は、三江源地域の生物多様性の保全・増加、生態系の着実な改善の縮図となっている。

 自然保護区の設立から、国家生態保護総合試験区の設置、さらに中国初の国家公園体制試行地区の指定まで、三江源地域の生態系保護、建設における取り組みは向上を続けており、中国の生態文明体制が整備され続けるプロセスを反映している。

大きく進む生態系保護、三江源国家公園の実践 中国青海省

ココシリ卓乃湖地区に集まって来たチルーの群れ。(2020年7月7日撮影、西寧=新華社記者/張竜)

 三江源国家公園は2021年、正式に設立された。同省は、生物多様性保全と国土空間計画を結び付け、国家公園を中心とした自然保護地体系の構築を模索し、同時に「山水林田湖草砂氷一体化管理・保護原則」に基づき、国家公園体制試行地区内の6類15保護地について機能再編、合理化を行い、国家公園における「一括管理」の歴史的な変革を成し遂げた。

 同公園は、一般と共に建設し、分かち合うメカニズムの模索も継続、革新的に1世帯に1人の生態系管理保護員を設ける「一戸一崗」制度を推し進め、牧畜民の生態系保護への積極的な参加を効果的に促進している。現在、同公園では牧畜民1万7211人が生態系管理保護員として、草原管理保護、生態系観測、気候モニタリングなどの業務に携わっている。

 同省が23年12月に発表した同公園正式設立後の成果とハイライトに関する公報によると、正式設立以降、同公園の水資源総量は毎年増加し、植生被覆率は徐々に高まり、生物多様性はさらに豊かになり、チルーの個体数は7万頭以上に回復した。(記者/李琳海、王金金)

© 新華社