なぜ北京五輪以来のOAゼロ? 山本昌邦NDが詳しく説明「現場からの希望は当然あった」「日本サッカーの明るさでもある」

日本サッカー協会は7月3日、パリ五輪に臨むU-23日本代表のメンバーを発表。藤田譲瑠チマ、細谷真大、小久保玲央ブライアンらが選ばれた。

注目のオーバーエイジ(OA)は選出なし。最大3人を招集できるなか、1人も起用しないのは、2008年の北京五輪以来だ。

大岩剛監督はメンバー発表会見でこの決断に関して、「皆さんご存知の通り、色々な制限がある」と前置きしたうえで、こう語った。

「オーバーエイジも含めて、今現在招集可能で、ベストと思われる選手たちを招集したつもりです。U-23の選手たちで戦ったアジアカップで、チャンピオンになった自信と誇りを持って、パリ五輪に向かいたいですし、オーバーエイジがいる・いないは別として、今現在招集できる日本代表という責任を持ってパリ五輪に向かっていきたいなと、その一心です」

また、会見に同席した山本昌邦ナショナルチームダイレクターは、交渉の経緯を次のように詳細に説明した。

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「現場からのオーバーエイジの希望は当然ありました。それは1年以上かけて、海外組の調整は進めてきました。選手の意思、クラブの了承を得なければならない一方で、移籍が関わってくると、現クラブと、その先のクラブの確認も取らなければいけません。様々な要因が絡みます。この時期はヨーロッパのマーケットが大きく動いていますので、選手の行き先、状況、移籍先が決まらなければ、そことの交渉すらできません。また、監督が変われば選手の立ち位置も変わっていくなかで、先を予測しての交渉は困難を極めました。

オーバーエイジに限らず、A代表で活躍しているこの年代の久保建英選手、鈴木唯人選手、鈴木彩艶選手、この海外組の選手たちも招集が叶いませんでした。我々はヨーロッパオフィスを抱えていますので、日々クラブと連絡を取りながら、関係者も含め昨日まで努力したつもりですが、そういう選手たちがチームでとてつもなく大きな存在で、必要とされているからこそ、こういう困難な状況になっているのだろうと。

大岩監督が言ったように、このメンバーでメダルをどう狙うのか。この後のワールドカップ予選に何人が上がっていけるのか。それが日本の未来だと思いますし、その通過点として、パリ五輪での経験を経て、素晴らしい成長を期待しています。僕は大岩監督が選んだ選手たちが伸びしろがあると思っていますし、日本の未来の成長に必ず力になると確信しています」

そして山本NDは「今後、世界のクラブとどうコミュニケーションを取って招集するのか。これは五輪に限らず、U-20の代表でも同じことが起きています。そういう時代になったという、日本サッカーの明るさと捉えています」と締め括った。

パリ五輪のサッカー競技は7月24日に開幕。グループDに入った日本は、24日にパラグアイ、27日にマリ、30日にイスラエルと対戦し、56年ぶりのメダル獲得に向けて、まずは決勝トーナメント進出を目ざす。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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