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無声映画に生の声で台詞を添える活弁。台詞を語る活弁士は、かつて庶民の人気の的でした。その活弁士の一人、麻生子八咫(あそう・こやた)さんが大分市でソロ公演を行い、その魅力を多くの人に伝えました。
10歳でプロデビュー
東京を拠点に海外公演も手がける活弁士の麻生子八咫さん。この日は、2日後に迫ったソロ公演のため大分市を訪れていました。
かつて映画は、無声映画に弁士の語りと生演奏というスタイルで上演されていました。語りを担当する活弁士は、庶民の間で非常に高い人気を集めていました。
麻生子八咫さん:
「活弁というのは日本独自の話芸でして、1本のサイレント映画でも弁士が変わると、こんなにも変わってしまう可能性があるよというようなお客様と私の空気感で完成される芸能」
子八咫さんは豊後大野市出身の活弁士、麻生八咫(あそう・やた)さんの娘です。父の舞台を見て育ち、10歳でプロデビューしました。子どもの頃、三重町にある祖父母の家をよく訪れていた子八咫さん。「第2の故郷」という大分でのソロ公演に向けて気持ちが高まります。
麻生子八咫さん:
「東京でやっていない大分で初めてやるようなものをここでやりたいなっていう気持ちで来ているので、今後の私の大きな成長につながると信じて頑張りたい」
一人で何役もこなし、観客と一体に
大分市での公演当日。事前予約でチケットを買い求めたおよそ40人が活弁士が作り出す映画の世界を待ちわびました。
この日上演されたのは、チャップリンの霊泉。作品の舞台を別府に設定し、観客の関心を一気につかみます。
複数の登場人物の台詞を声色を替えて語り、一人で何役もこなします。
観客「総合芸能ではないですけど、落語とかとはまた違った語り芸ですごくおもしろかった」「故郷が三重町ということでそこも発信してもらえたらうれしい」
公演後も興奮が冷めない観客たちとの交流が続きました。
麻生子八咫さん:
「皆さん温かくて、支えられながら何とかできて良かった。どんな弁士になるかはわからないが、お客さんと一体になれるような弁士になりたい」