春闘賃上げ率5.10%、33年ぶり高水準 ベアは3.56%=連合最終集計

Kentaro Sugiyama

[東京 3日 ロイター] - 連合が3日発表した2024年春闘の最終集計によると、基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給を合わせた平均賃上げ率は5.10%となった。前年から1.52ポイント上昇し、1991年(5.66%)以来33年ぶりの高水準で着地した。ベア率は3.56%と、集計を開始した2015年以降で最も高かった。

平均賃上げ率の上昇は3年連続。国際的な人材獲得競争や国内の人手不足、インフレ経済への移行などを背景に大手企業が積極的な賃上げを実施し、中小企業でも取り組みが進んだ。

連合は24年春闘方針で「前年を上回る賃上げを目指す」とし、ベア分3%以上、定昇相当分を含めて5%以上の賃上げを目安として掲げていた。

仁平章・総合政策推進局長はこの日の説明会で「一定の結果を出すことができた」と評価しつつ、「働く人の暮らしが本当に良くなったという実感が社会に広がっているのかと言われれば、まだまだそういう人の方が少ない」と指摘。その上で、政府に対して「物価や為替をしっかり安定させて働く者の生活向上につながる環境をつくってほしい」と注文した。

傘下労働組合の要求に対する7月1日午前10時時点の企業側回答をまとめた。「平均賃金方式」で回答を引き出した5284組合の賃上げ額は平均で1万5281円、ベアと定昇を明確に区別できる3639組合のベア分は1万0694円だった。

このうち300人未満の中小組合3816組合のベアと定昇を合わせた賃上げ率は4.45%。前年から1.22ポイント上昇し、92年(5.10%)以来の高水準となった。ベアと定昇を明確に区別できる中小2357組合のベア分は8256円、べア率は3.16%だった。

<実質賃金のプラス転換時期に注目>

前年の春闘で30年ぶりの賃上げ率を達成しながらも、急激な物価上昇に追いつかず、実質賃金は4月まで25カ月連続で前年比マイナスとなっている。家計が景気の回復を実感し、個人消費が持ち直すには実質賃金のプラス転換が必要との指摘が多い。

政府が表明した電気・ガス代料金補助の期間限定再開で物価が押し下げられることもあり、専門家からは「(11月発表の)10月分はかなり高い確率で実質賃金がプラスになるのではないか。日銀も9月、10月にかけて追加利上げしやすい空気感になってくる」(みずほリサーチ&テクノロジーズの主席エコノミスト、河田晧史氏)との見方が出ている。

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