日本代表、パリ五輪勝利のカギは「八村塁に頼らないバスケット」。河村勇輝と富永啓生の“23歳コンビ”に期待される遂行力<DUNKSHOOT>

7月27日のパリ五輪初戦に向けて、強化を進めるバスケットボール男子日本代表。5日と7日には有明アリーナで韓国代表と国内最後の強化試合が行なわれる。

渡邊雄太が左足ふくらはぎの負傷で強化試合の欠場が発表されたなか、注目はやはり、3年ぶりの代表復帰となる八村塁だろう。彼自身のパフォーマンスはもちろん、初の共演となる河村勇輝、富永啓生ら若手との連携も気になるところだ。

河村と富永はともに、2021年東京五輪の翌年にフル代表デビュー。トム・ホーバスHC(ヘッドコーチ)体制下ですぐに頭角を現わし、昨年のワールドカップでは河村がチーム3位の平均13.6点に同1位(大会3位)の7.6アシスト、富永は同4位の平均11.4点、パリ五輪行きを決めた最終戦では6本の3ポイントを含む22得点をあげて「プレーヤー・オブ・ザ・ゲーム」に選ばれた。

FIBAランキング26位の日本にとって、パリ五輪で戦うドイツ(同3位)とフランス(同9位)は紛れもない格上。“絶対エース”八村の活躍はもちろん、すべての選手が100%の力を発揮して初めて勝機が見えてくると考えていいだろう。

その点について、キャプテンの富樫勇樹は「(今の日本は)良い意味で、塁を頼りにするバスケットではないと思っている」と語る。それを踏まえた上で、6月22、23日に北海道で行なわれたオーストラリアとの強化試合後には、「塁と雄太が合流しても、今までのプレーを忘れずにやってほしい」と全員の前で話したという。
「遠慮せずに、啓生だったら今までと同じアテンプト(シュート試投数)というか、同じようなシュートを打ってほしいと伝えました。彼(八村)がいるというのはもちろん強みですけど、そこで今までやってきたメンバーが小っちゃくなってプレーしては意味ないと思うので。それでもやっぱり塁の存在は大きいので、トランジションだったり3ポイントだったり、かなりチームの助けになってくれると思います」

河村も、八村との初練習後に「想像通り規格外」と感想を述べた一方で、エースに頼らないことの重要性を語っている。

「ボールを簡単に預けて僕たちが外へ待ち構えるのではなくて、しっかりとズレを作ったなかでパスを渡すとか、頼りすぎない。自分たちも役割を遂行していくことが大切になってくる。任せっきりにならないことが大事かなと思います」

加えて「本当に何でもできる選手だからこそ、相手のディフェンスの状況に応じて、ベストの選択ができれば」と、司令塔として八村を“最大限に生かす”意欲を見せた。

東京五輪の際、八村はチームで下から2番目に若い23歳ながら、大会全体4位の平均22.3点をマーク。しかし、チームでほかに平均2桁に届いたのは渡邊(平均17.7点)のみと、孤軍奮闘感は否めなかった。迎えるパリ五輪、いかに八村頼みにならず、相手に的を絞らせない戦いができるか。そのカギは河村、富永の“23歳コンビ”が握っている。

構成●ダンクシュート編集部

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