ジャッジの歴史的活躍の背景 ソトの“前からのプロテクト”あり?

ヤンキースのアーロン・ジャッジの勢いが止まらない。日本時間7月3日時点でジャッジは既に32本塁打を放っており、MLBの三冠を独走。その驚異的打棒はジャッジが2年前に打ち立てたア・リーグシーズン本塁打記録62本に迫るレベルで、もはや歴史的水準にある。しかし、対する投手たちはなぜか今まで以上にジャッジに対してこれまで以上にストライクを投げるようになっているという。『MLB.com』のマーク・ペトリエロがジャッジの成功の一因を、同僚の強打者フアン・ソトと絡めて分析している。

通常、圧倒的な強打者は勝負を避けられ、ストライクを投げられなくなって四球が増えるものだ。シーズン73本塁打を放った全盛期の時期(2001-04年)のバリー・ボンズは、四球率が31%に上り、シーズン120敬遠という“アンタッチャブル・レコード”を樹立している。しかし、ジャッジは四球率が昨年比3ポイント減の16.5%に下がり、敬遠も今年は6回程度(ガーディアンズのジョシュ・ネイラーやロイヤルズのサルバドール・ペレスと同数)。そして、ジャッジに対するストライクゾーンへの投球率は、キャリアハイの49%にも上っている。

これまでにない歴史的ペースで打ち続けるジャッジに対して、投手はこれまでにないペースでみすみすストライクを投げているというこの不可解な現象。ペトリエロはこれをフアン・ソトの影響によるものではないかと推察している。

今季からヤンキースに加入したソトは、MLB2位の出塁率.435、同3位のOPS.997をマークするなど期待通りの打棒を発揮している。そのソトがジャッジの前の2番に座ることによって、ジャッジの前にランナーが貯まる場合が増えている。ジャッジが走者ありで迎えた打席の割合は、昨年比10ポイント増の49%にまで増えている。そして、これまでのジャッジの打席におけるストライク率を、誰がジャッジの直前の打順を打ったかで比較すると、ソトのときがダントツの1位になる。つまり、投手はジャッジとの勝負を避けたくても、前のソトが既に塁に出ているため勝負せざるを得ないというわけだ。

これまでの野球のセオリーには、強打者の後ろに力のある打者を置くことによって、その強打者をプロテクトするという考え方があった。しかし、ヤンキースはこの頃ジャッジの後ろを打つ打者(ジャンカルロ・スタントン、アレックス・バーデューゴら)の固定に苦しんでいる。つまり、ソトが前の打順からジャッジを“プロテクト”としているようなものなのだ。投手がジャッジを抑えるための有効手は、まずMLB屈指の出塁マシンであるソトを塁に出さないことなのかもしれない。

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