駅直結eスポーツカフェや大規模大会運営で「地域活性化」を目指す…eスポーツビジネス事例を学ぶ【鉄道会社編】

駅直結eスポーツカフェや大規模大会運営で「地域活性化」を目指す…eスポーツビジネス事例を学ぶ【鉄道会社編】

本誌e-Sports Business.jpでは、eスポーツ領域で新しいビジネスを展開しようとするマーケターや新規事業担当の方に向けて、eスポーツビジネスの事例を発信しています。今回は、eスポーツビジネスにおいて独自の大会や施設を運営する「鉄道会社」について、代表的な取組みを紹介します。

南海電鉄

南海電鉄は、2022年に「eスポーツ事業部」を創設したほか、同じタイミングで設立された新会社「eスタジアム株式会社」を通じて地域に根ざしたeスポーツ事業を推進しています。

同社は南海本線沿線を中心に、ゲームプレイやイベント開催等を想定した施設「eスタジアム」を5店舗展開しているほか、「関西eスポーツ学生選手権」を複数回開催するなど、eスポーツ事業に取り組んでいます。

「eスタジアムなんば Powered by NANKAI」(公式サイトより引用)

直近では、南海電鉄は、eスポーツ大会「VALORANT Challengers Japan 2023 Split 1 - Playoff Finals」の関西特別パートナーに就任しました。この大会は、初めて大阪でオフライン開催された『VALORANT』の公式大会でした。直近では、子供を対象とした職業体験イベント「eスポーツゲームクリエイターアカデミー2024春」も開催しています。

南海電鉄およびeスタジアム社のeスポーツ事業の根幹にあるのは「地域活性化」です。「eスポーツ先進都市」を目指す大阪府泉佐野市と連携し、社会課題の解決や地方創生の取り組むのは、地域と深い関係にある鉄道会社ならではでしょう。

JR東日本

JR東日本は、2021年1月にJR松戸駅にてJR東日本の駅構内初の常設eスポーツ施設「ジェクサー・eスポーツ ステーション」を開設しました。という同施設は2023年に閉店してしまったものの、2024年1月にはJR池袋駅東口に新たなeスポーツカルチャーの発信拠点「Café&Bar RAGE ST」をオープン。この新施設は、JR東日本グループ3社が共同出資し、国内最大級のeスポーツ大会・イベントを運営する「RAGE (レイジ)」をコンテンツパートナーとして設立されました。

ポップカルチャーが盛んな池袋駅に直結する形でeスポーツ施設を構えることで、既存のコアなファンだけでなくカジュアル層、新規層の取り込みも見据えているという「Café&Bar RAGE ST」。この事業が成功すれば、他の大型駅への店舗展開やeスポーツ事業の本格化の可能性も十分にありそうです。

東京メトロ

東京地下鉄(以下、東京メトロ)は2021年5月、日本初*のeスポーツ専用ジム「eスポーツジム赤羽岩淵点」をオープンしました。月額会員制でeスポーツプロプレイヤー等からレッスンも受けられる本施設は、残念ながら2023年に6月に閉店してしまいましたが、同社は地下鉄駅を起点にeスポーツ施策を継続的におこなっています。

※プロプレイヤーの指導を受けられる月額会員制のeスポーツ専門施設として(東京メトロ調べ)

東京メトロは大会運営にも積極的で、2024年3月にはプロアマ問わず参加できるオープントーナメント「第1回 TOKYO METRO CUP STREET FIGHTER 6」を開催。応募総数が計900名を越え、決勝大会のオンライン配信は同時接続者数が1万人を超えるなど、大きな注目を集めました。

また2024年8月3日(土)には、バトルロイヤルゲーム『Apex Legends』を採用したファミリー向けeスポーツ大会「第2回 TOKYO METRO CUP for FAMILY」大会をオンラインにて開催予定。この大会は家族でのデュオ参加を条件とし、120組240名の参加者を募集中です。

地域活性化やデジタルへの取り組みを掲げる東京メトロは、プロシーンからファミリー層までの幅広い層をターゲットに、eスポーツ事業に取り組んでいるのです。

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