アメリカでアルツハイマー病の新薬を承認 製薬大手イーライリリー開発「ドナネマブ」症状の進行抑制する効果

アメリカでアルツハイマー病の新薬が承認されました。

アメリカ食品医薬品局は2日、アメリカの製薬大手イーライリリーが開発を進めてきたアルツハイマー病の新しい治療薬「ドナネマブ」について、症状の進行を抑制する効果を認め、治療薬として承認したと発表しました。

この薬は、アルツハイマー病の患者の脳に蓄積する「アミロイドβ」という異常なたんぱく質を取り除くことで症状の進行を抑えることが期待されていて、アルツハイマー病による軽度認知症患者と、その前の段階の軽度認知障害の人を対象としているということです。

アルツハイマー病治療薬としては、2023年に承認されたエーザイの「レカネマブ」に次ぐ実用化となります。

国内の認知症患者数の推計値は、年々増加しているのが現状です。
65歳以上の高齢者の人口がピークを迎える2040年を見てみると、認知症の患者数は584万人になる予想で、高齢者の実に6~7人に1人が認知症になる計算です。

そうした中で、今回承認された「ドナネマブ」は、2023年に承認された、日本のエーザイが開発した「レカネマブ」とどう違うのか、具体的に見ていきます。

今回承認されたアメリカの「ドナネマブ」は、アルツハイマー病の治療薬としては世界で2例目になります。

日本の「レカネマブ」も、どちらも病状の進行を遅くするもので、この2つの薬は働きは極めて似ていて、兄弟のようなものといえるということです。

2つの薬がどう違うか、アメリカ・ニューヨークの大学病院に勤務する山田悠史医師に話を聞いたところ、共に「アミロイドβ」といわれる、脳にたまった異常なたんぱく質を取り除く掃除機のような働きを持つ“抗体”と呼ばれる薬だということです。

どちらの薬が有効なのか気になりますが、山田医師によりますと、今まで行われてきた試験は対象になった患者も違っていて、優劣はつけがたいということでした。

患者の方々やご家族の期待ももちろん高まりますが、気になるのは副作用について。
2つの薬とも副作用として頭痛や吐き気、脳の腫れ、少量の出血などが報告されているということです。

副作用の報告は少ないようなんですが、やはり服用にあたっては注意が必要だそうです。

そして、気になる薬の価格。
まず、アメリカではレカネマブが年間420万円であるのに対し、今回の新薬・ドナネマブが年間517万円と、100万円近く高くなっています。

日本では、エーザイのレカネマブは年間298万円にあたりますが、日本では高額医療費制度というものがあり、70歳以上の一般的な所得の人では、最大14万4000円程度の負担で済むということです。

日本では2023年12月に発売されましたが、エーザイによりますと、2025年3月末までに累計7000人への投与を見込んでいて、順調なスタートとみているということです。

エーザイ側は、今回のドナネマブの承認について、「患者さんの選択肢が増えることを歓迎している」と話しています。

今、レカネマブやドナネマブは注射する薬ですが、飲み薬の研究も行われており、期待が高まっています。

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