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パリ五輪に臨む大岩ジャパンのメンバー18人が発表された直後、ほとんどのサッカーファンが思ったに違いない。「あれ、松木は?」と。
U-23日本代表で常連だった事実を踏まえれば、松木の落選はかなり意外だった。選外の理由を問われた大岩剛監督は「今回は選ばれた選手の話をしたい」と明言を避けつつ「彼の身体に問題があるわけではない」と説明。さらに山本昌邦ナショナルチームダイレクター(ND)が「(松木に)移籍の可能性があります。そのなかで招集できる確約がとれませんでした。そこが一番の要因です」と補足した。
「コンディションに問題がないなら移籍かな」と予測していたタイミングで、山本NDが「移籍の可能性があります」とコメントしたので「えっ、話すの?」と反応してしまった。かなりデリケートな話題で明言を避けたまま会見が終了すると勝手に予想していただけに、落選の背景が語られたのもかなり意外だった。
メディアからの質問に対し、山本NDはプロフェッショナルな姿勢を示したと言えるだろう。何も語られなければファン・サポーターはモヤモヤ感を抱いていただろうし、そもそも松木が落選すればそこに質問が集中するのは容易に予想できた。その点で、山本NDは真摯に対応した。
大岩監督を責めているわけではない。会見で「今回は選ばれた選手の話をしたい」と回答したのは十分に理解できるし、松木の件に触れれば他に落選した選手についても説明しなければならなくなる。そう考えれば大岩監督が「今回は選ばれた選手の話をしたい」というのは個人的に頷ける部分がある(違う見方ももちろんあるだろうが)。
さて、松木である。
オリンピックよりも移籍。松木にとっては、このタイミングでの海外移籍がベストということなのだろう。それはそれでひとつの決断である。五輪の開催期間とヨーロッパのプレシーズンが重なっているため、今後、こうした理由で落選するケースが増えたとしても決して不思議はない。
文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)