「本当にがっかりした」息子クレイのマブズ移籍に父マイカルは複雑な心境「レイカーになることを望んでいた」<DUNKSHOOT>

7月2日(日本時間3日)に公開されたラジオ番組『SiriusXM NBA Radio』に、クレイ・トンプソンの父マイカル・トンプソンがゲストで出演した。

1978年のドラフト全体1位でポートランド・トレイルブレイザーズから指名された208cm・103kgのビッグマンは、ブレイザーズとサンアントニオ・スパーズ、ロサンゼルス・レイカーズで計12シーズンプレーし、935試合の出場で平均13.7点、7.4リバウンド、2.3アシスト、1.15ブロックを記録。

1986-87シーズンの途中に加入したレイカーズでは、マジック・ジョンソン、カリーム・アブドゥル・ジャバー、ジェームズ・ウォージーらとともに87、88年の2連覇に貢献。在籍4年目の1989-90シーズンの途中にクレイが生まれた。

現在レイカーズの試合でラジオアナリストを担当している69歳のレジェンドは、息子のクレイがゴールデンステイト・ウォリアーズからサイン&トレードでダラス・マーベリックスへ移籍したことについて、現在の心境を明かした。

「今はあまりお祝いムードではないかな。当然、これはクレイが決めたことだし、彼の人生なんだ。34歳の立派な大人だ。私も34歳の時、父から助言をもらったものさ。私たちはそれぞれの道を選んでいくものなんだ」

今夏に完全FA(フリーエージェント)になったトンプソンは、レブロン・ジェームズの勧誘もあり、生まれ故郷のロサンゼルスに本拠地を置くレイカーズへの移籍話もあった。
実際、レイカーズはトンプソンに年平均2000万ドル(約32億2000万円)をオファーし、ディアンジェロ・ラッセルとのサイン&トレードを提案。しかしウォリアーズ側は興味を示さず、マブズが提示した3年5000万ドル(約80億5000万円)で合意となった。

トンプソンはウォリアーズで2015、17、18、22年と4度の優勝を経験したが、昨季はプレーオフ出場を逃し、移籍候補のレイカーズも1回戦でデンバー・ナゲッツに1勝4敗で完敗。一方のマブズはルカ・ドンチッチとカイリー・アービングを中心にファイナルまで勝ち進んでおり、本人が“今すぐ勝てる環境”を求めていたことは明白だ。

マブズはドンチッチとアービングの強力ガードコンビに加え、PJ・ワシントンやダニエル・ギャフォード、デレック・ライブリー二世のフロントコート陣、ベンチにはダンテ・エクサム、ジェイデン・ハーディー、マキシ・クリバーのファイナル出場組が在籍している。

さらにオフに入ってトレードでクエンティン・グライムズ、FA戦線でナジ・マーシャルと、2大エースと相性の良い3&Dを獲得。34歳のピュアシューターは、マブズなら自身の能力を活かしつつ、5度目の優勝を狙えると判断したのだろう。 ただ、そんな息子の決断に、父マイカルは複雑な思いを口にしていた。

「本当にがっかりした。私は望んでいたんだ。息子がレイカーになることをね。しかもあと一歩だった。レイカーズとマブズの間でマブズが(争奪戦を)制したということ。だが私は、彼がレイカーズでキャリアを終えることを願っている。

彼がレイカーズから話があったと言ってきた時、私は当然レイカーズを売り込んだよ。私からすれば至って正しいことだし、好ましいことだからだね」
高校までLAで育ったトンプソンは、レイカーズで20年間プレーし5度の優勝を飾ったコビー・ブライアントのファンだった。マイカルは息子のレイカーズ入りを強く信じていただけに、今回のマブズ移籍に驚きを隠せない様子だった。

文●秋山裕之(フリーライター)

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