輸入に頼らない農業へ意見交わす 食料安全保障テーマ 岡山でシンポ

「食料安全保障の確保」をテーマに意見を交わしたシンポジウム

 6月施行の改正食料・農業・農村基本法で基本理念に位置付けられた「食料安全保障の確保」をテーマにしたシンポジウムが3日、岡山大津島キャンパス(岡山市北区津島中)で開かれ、輸入に頼らない国内の農業振興策について意見を交わした。

 同法は1999年の施行で、四半世紀ぶりに見直された。シンポジウムで農林水産省の担当者が登壇し、紛争や地球温暖化で輸入が途絶えた場合に食料が不足しないよう、国内の農業生産を増やす趣旨で改正したことを説明した。

 続くパネルディスカッションでは、生産量アップの具体的な方策として、農事組合法人・寄江原(真庭市下方)の矢萩正孝代表理事がスマート農業の活用を提案。同法人は農薬の散布などにドローン(無人機)を使っていると紹介し「組合員が高齢化する中、作業負担の軽減で効率的な生産体制が整ってきた」と述べた。

 米麦栽培・国定農産(岡山市南区藤田)の国定豪会長は、もみ殻を炭化させた自社開発の「バイオ炭」が、高騰している化学肥料の使用量低減に効果があるとし「生産コストをいかに削減できるかが日本の農業を守る鍵になる」と指摘した。

 シンポジウムは同大と中国四国農政局が主催し、学生や市民ら約250人が聞いた。

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