20年ぶり 新紙幣の発行開始 ちなんだセールやサービスも登場 対応に追われる店も 便乗詐欺に注意を

7月3日、20年ぶりに新紙幣が発行されました。

新紙幣をめぐる、きょう1日の動きを取材しました。

■きょうから20年ぶり新紙幣 キャッシュレス化が進むも「早く交換したい」

「本日より新紙幣がスタートします」

大阪市内では朝から号外が配られました。

【街の人】「新しい紙幣が出たら、どこが変わったか見たくなります。新紙幣は新鮮だなって思って、最初使うのためらうかも」

【街の人】「早く交換したいなという気はしています。(Q.どのお札が気になる?)やっぱり渋沢栄一さん」

3日、発行された新しいお札。

1万円札は実業家の渋沢栄一、5000円札は教育に力を注いだ津田梅子、1000円札は細菌学で功績を上げた北里柴三郎に、肖像画が刷新されました。

デザインの変更は20年ぶり。

2004年11月当時、新紙幣が発行された際は、いち早く手に入れようと、金融機関の前に列ができました。

【両替をする女性】「1万円は要らない、5000円札が欲しい」

真新しいお札にドキドキしていましたが、そんな日から20年。

午前8時、日本銀行大阪支店では金融機関への、新しい現金の支払い手続きが始まりました。

3日だけで1日の平均支払額のおよそ6倍にあたる、1650億円が支払われます。

大阪市にあるこの銀行では早速、新しい紙幣への両替対応をしているということで…。

【竹上萌奈キャスター】「私も早速両替してもらいたいと思います」

新紙幣を待つこと5分…。

【行員】「竹上様~」
【竹上アナ】「こちらが新札です、感慨深いです。すぐに目が行くのがこの大きな数字、大変分かりやすいです。すかしは細かいです。渋沢栄一の肖像画があって、その背景も細かな模様が入っています。そして偽造防止のホログラムですが左に傾けても、右に傾けても、渋沢栄一とずっと目が合っています、なんかうれしい」

偽造防止のため、紙幣では世界で初めて3Dホログラムの技術を採用。

キャッシュレス化が進んでいるとはいえ、新しいお札を手にした人は多いようで…。

(Q.いくら両替した?)
【新紙幣に両替した人】「総額100万円。会社の財務の責任者をしているんですけど、新券を見る機会はなかなかないので、非常にいい機会だったかなと」

【紙幣マニア歴20年】「新券という証拠になるので、連番になっているのは残しておきたい。(デザインの)グラデーションがいい。ホログラムもいい感じ」

一方で新紙幣の対応に追われている店もあります。

神戸市にあるカツ丼店の券売機には、「新紙幣には対応していない」と張り紙が…。

店のオーナーによると、「今の経営状況では、新紙幣に対応した券売機を用意するのは難しい」ということで、客が新紙幣を持ってきた場合は、「旧紙幣に両替してから、券売機を使ってもらう」ということです。

【三六八本店 冨依尚起オーナー】「コロナで(経営に)打撃を受けたのがあるから、(券売機を交換する)何十万というお金をなかなか出せない。(券売機を交換すると)価格に転嫁せざるを得ないので、それはなるべく避けたい」

■新紙幣にちなんだ割り引きサービスや、セールも

そして、飲食店では早速こんなサービスも…!

【客】「名前に『一』が入ってます」
【店員】「そしたらお会計から1割、引かせていただきます」
【客】「やったー」

焼きマグロが盛り付けられた「玉手箱」が人気のこちらのお店では、新紙幣の肖像画3人の名前と一致する漢字の数に応じて、食事代を割り引くサービスを、3日から10日まで実施します。

【鉢嶺京子記者】「私は津田梅子さんと同じ、名前に子がついているので、3000円相当のセットが1割り引きの300円ほど安くなります」

漢字一文字につき1割り引きで、最大5割り引きになるそうです。

【一馬さん】「一馬で…一に馬で1割り安くなりました。めちゃくちゃうれしいです」

ランチセットは適用されませんが、大阪市内の2つ店舗で、名前によってはお得に食事ができます。

【マグロ専門店マグロマニア 岡野有記さん】「2人該当する方がおられたら、文字数の多い方が対象です。(Q.店主さんは、一致漢字は入ってますか?)僕ね、全く入ってないんです。ぜひ、皆さん名前を見せてもらえたら」

新しいお札にちなんだセールはこちらでも。

【阪神梅田本店 木綿直マネージャー】「このご時世、物価高騰もありますので、ぜひこの際に楽しんでお買い物していただこうと思っておりまして、お肉やお酒を中心に、お買い得な商品をご用意しております」

阪神梅田本店が開催しているのは、その名も「お札変わりまっセール」。

古いお札を使ってもらおうと、1000円、5000円、1万円ピッタリの商品、70種類以上を用意しています。

【大井肉店】「割引率半額の100グラム1000円です」

大トロ(100グラム)も1000円。旬の桃(2個)も1000円です。

さらに…。
【記者リポート】「ずらーっと並んだワインはすべて1000円。こちらは2本で5000円。さらに5万円相当が入っているかもしれない1万円のワインです」

【買い物客】「スパークリングと赤ワインです。(1万円出して)旧紙幣5000円のおつりがきました。新紙幣来るかと思ったけど、さすがに…」

(Q.お目当ては何だったんですか?)
【買い物客】「お肉です。私らにとってはうれしいこと。消費者にとったら安ければ安いほど、おいしいものいただけたら1番うれしい」

ちなみに、支払いは旧紙幣以外でも可能なので、新紙幣を手にいれた人もお得に買い物ができます。

■「最後の紙幣になるかもしれない」と専門家 キャッシュレス化の“もしもの時”を想定してほしい

新紙幣の発行で盛り上がっていますが、専門家から日本の紙幣についてこんな指摘があります

野村総合研究所の木内エグゼクティブエコノミストは、「新札の登場は、今回の新紙幣は、本格的に流通する最後の紙幣になるかもしれない」と指摘しています。

その理由は、日本銀行による中央銀行デジタル通貨が2030年代に発行される可能性があるからだそうです。

キャッシュレス化が進むということですが、現金派のジャーナリスト鈴木哲夫さんはこのように指摘します。、

【ジャーナリスト 鈴木哲夫さん】「確かにキャッシュレスは時代の流れだと思います。だけど例えば災害なんかがあったり、スマホが使えなくなっちゃったとか、そういう時どうするのでしょうか。だから僕は、お札はなくしちゃいけないと思う。キャッシュレスいいですけど、セットでやっぱりお札や硬貨も含めて紙幣は残してほしい。ちょっと年寄りだからかもしれないけど、やっぱり災害やもしもの時は必要だと思います」

新紙幣発行時には、注意しないといけないこともあります。

【関西テレビ 加藤さゆり報道デスク】「このタイミングで便乗した詐欺があります。『これまでのお札使えなくなります新しいお札と交換するので振り込んでください』みたいな電話がかかってくることもあるかもしれませんが、これまでのお札も引き続き使えますので、だまされないように、気を付けていただきたいと思います」

すでに何件か起きています。金融機関の職員になりすます手口で、詐欺が行われるということです。皆さん充分にお気をつけください。

(関西テレビ「newsランナー」2024年7月3日放送)

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