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「旧優生保護法」の下、障害があることを理由に不妊手術をされた人たちが国に損害賠償を求めた裁判。
3日、最高裁判所は初めて国の賠償責任を認め、関西の原告は「嬉しい限りです」と喜びを語りました。
3日、国によって行われた深刻な人権侵害に最高裁が画期的な判決を下しました。
長い拍手で判決を喜ぶのは、大阪府に住む野村さん夫妻(仮名)です。
■知らない間に不妊手術
2人は50年前ほど前に子どもを授かりましたが、妊娠9カ月で医師から「赤ちゃんに異常がある」と言われ、急きょ、帝王切開で出産。子どもは生まれた翌日に亡くなりました。
そして、花子さんには知らない間に不妊手術がされていたのです。
【野村花子さん(仮名・70代)】「私は不妊手術をされたことを今でも悔しく思っているんです。なぜ不妊手術を私が受けなくてはならなかったのか」
戦後最大の人権侵害と呼ばれる「旧優生保護法」。
この法律の下、障害のある人たちに不妊手術が行われ、その数は分かっているだけで2万5000人に上ります。
2人は手術から40年以上が経った2018年に、初めて不妊手術を受けさせられていたことを知り、翌年、国を訴えました。
しかし国は、損害賠償を求める権利が不法行為から20年で消滅する「除斥期間」の規定をもって、「2人にはもう権利がない」と主張してきたのです。
一審は2人の訴えを退けたものの、二審の大阪高裁は全国で初めて国の賠償責任を認めました。
しかし、国は上告。
3日午前、判決を前に野村さんは。
【野村花子さん】「耳が聞こえなくても、子供を産めるんだと。聞こえる人聞こえない人関係なく、子供を望めば子供を産んで育てられるような、みんなが平等な社会になるような判決が出ればいいなと思っています」
同様の裁判は全国で起きていて、5つの裁判に対し、最高裁が統一判断を出すことになりました。
「時の壁」は越えられるのかー。
■最高裁判所は「旧優生保護法は憲法違反」と初めて判断を下した
最高裁判所は「旧優生保護法は憲法違反」と初めて判断を下しました。
国が主張していた除斥期間については、「著しく正義・公平の理念に反し、到底容認することができない」と指摘。
原告の権利は消滅していないとして、国に対し、賠償を命じる判決を言い渡しました。
【野村花子さん】「うれしいです。がんばってきたことと、支援者のみなさんとときょうの日をむかえられたことを本当にうれしく思います。うれしい限りです」
【野村太朗さん】「ようやくだなと思います。やはりこの不妊手術への苦しみが消えることはありません」
【野村花子さん】「今回の結果を国が受け止めて、障害があっても子供を産んで育てる、幸せになれる社会になるよう頑張っていきたい」
【野村花子さん】「これだけの長い期間、裁判で闘ってきて、終わりが近づいているので、とにかく頑張っていかないとと思っています。私も皆さんと同じ人として子供を生んで育てたかった。みんな平等そういう考え方が全国に広がればいいと思います」
■兵庫県に住む原告の男性は
兵庫県に住む原告の小林宝二さん。
2022年に亡くなった、妻の喜美子さんの思いとともに判決を受け止めました。
【小林宝二さん】「勝訴の判決を聞いて、本当に歴史が変わったと思いました。とてもうれしいです。感動して安心しました」
最高裁が下した判断に、国が迅速に動けるのか、注目されます。
■「早めに政治決断をすべきだった」とジャーナリスト鈴木哲夫さん
【ジャーナリスト・鈴木哲夫さん】「国と政府、それから現在のトップの岸田さん最悪ですよ。戦後、優生思想みたいのがあって、とにかく障害があったりすると、強制的に不妊手術した。こんな人権侵害ありますか。その法律がずっと続いてた。これに対しての裁判ですよね。去年、高裁で国が1回負けた。ここで国はパッと引いておくべきだった。だって誰が考えてもおかしいじゃないですか。政治判断があったら、あそこで解決できたんですよ」
「かつてハンセン病でも、ずっと差別を受けてきた人たちが裁判をした時も、途中で小泉元総理大臣は、これはどう考えたって国がおかしいだから、裁判をやめて、ひとりひとりに謝ったんですよ。政治決断だからできるんです。去年、岸田さんもするべきだった」
「それをしないで、また一年延ばしてこの判決。やっぱり、国の人権とか憲法に対する考え方は絶対間違ってますよ。だからこれを機に、すぐに救済の仕組みを作るんですよ。これは義務です」
まだ声をあげられていない当事者の方もいます。一刻も早い救済策を国に考えてほしいです。