尾道市の小中学校統廃合問題 反対派住民の住民監査請求を棄却 「裁量権の濫用や逸脱はない」

TSSテレビ新広島

広島県尾道市で市中心部の小中学校を統廃合し、新たな校舎を建設する計画を巡り、反対する住民たちが提出した住民監査請求が棄却されました。

尾道市は去年9月、市中心部にある土堂、長江、久保の3つの小学校と長江、久保の2つの中学校を統廃合し、新たな校舎を建設するための設計費を含む予算案を議会で可決しています。
総事業費は、およそ64億円に上るとされていました。

これを受けて今年5月、この計画に反対する住民たちが住民監査請求を市の監査事務局に提出しました。
請求では、少子化などで将来的に複数学級の維持が困難になり、使用しない教室が発生すると予測し、既存の校舎で耐震化工事や土砂災害対策などを行い活用する方が費用を少なくできると指摘。
市の財政状況から新校舎の建設は不合理だとして「予算として計上されている設計費」と「新校舎の建設費用」などの差し止めを求めていました。

3日、市の監査委員が監査結果を公表。
監査結果では設計費の差し止めに関しては、「市教委は子どもたちのより良い教育環境の実現を目指し、事業費の比較だけでなく安全性や耐久性などを総合的に考慮して判断に至っている。市教委の判断に裁量権の濫用や逸脱があるとは認められない」と指摘し、訴えを退けました。

一方、新校舎の建設費用に関しては、まだ予算が組まれていないため、差し止め請求については法令の規定に即していないとして却下されました。
一方で監査委員は新校舎の建設にあたり長い年月がかかっていることに触れ、市教委に対し教育行政の進め方や計画性に不十分な点や丁寧さを欠く部分がないか改めて検討するよう求めました。

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