「ふるさと納税」3400万円で“1000万円オーダースーツ”が…東京・中央区の“超高額”返礼品 狙いは「区の魅力発信」

ふるさと納税の返礼品の高額化が止まらない。
銀座や日本橋などを擁する東京・中央区が、新たに拡充することを決めたのは“超高額返礼品”だ。どのような狙いがあるのか。

中央区の超高額返礼品は「1000万円のオーダースーツ」

中央区の新たな超高額返礼品は、約3400万円を寄付すると返礼品として1000万円相当のフルオーダースーツが作れるというものだ。世界に一つだけの糸で作られた布で、熟練の職人が全て手で縫い上げるのだという。

銀座テーラーグループ代表取締役の鰐渕美恵子さんは、「本当に最高の物はどこにあるのかと考えた時に、最初の糸作りから考えました。こちらのものは4種類の原毛を使っております。(完成までの期間は)最低でも半年」と話す。

糸から選んで布を作るところから始めるというスーツだが、1100万円のスーツで使用する生地を触ってみると、水分を含んでるようなしっとりさがありながらも、軽さも感じる。返礼品の一つである50万円のスーツを試着してみると、着た瞬間にとても軽いと感じられた。

「区の魅力発信」が一番の目的

今回、中央区は新たな返礼品を募集している。

食品部門で選ばれたのは、中央区佃の肉屋「肉のたかさご」の看板商品、黒毛和牛ローストビーフ。6万5千円の寄付で、ローストビーフ700gが返礼品としてもらえる予定だ。

こうした高額返礼品を追加する中央区だが、実は2022年度は約30億円以上が流出して大幅な赤字になっていた。
地方に負けじと流出分を取り戻そうとしているのかと思いきや、担当者の方によると、今回の返礼品の選定は、流出した税金を取り戻すためではなく、あくまでも区の魅力発信が一番の目的だという。

「ふるさと納税ガイド」の飛田啓介編集長によると、3400万円の寄付額ができる人の年収は、給与所得ベースで考えると約7億5000万円程度だという。
飛田さんは、「各自治体が高額の返礼品を用意するのは2つ目的がある。一つは、実際に高所得者の人に向けて返礼品を届けて、ふるさと納税の寄付金を確保しようという目的。もう一つは、プロモーション効果を狙ったようなものも多い」と説明する。

高額化が止まらないふるさと納税をめぐっては、高収入の人がより多くの得をしているとの指摘もある。
飛田さんは、「高年収の方は、そもそも多く税金を払っている前提はありながらも、多くの返礼品をもらって経済的なメリットを得ているということは実際にあると思います。税の逆進性の観点においてベストな形であるのかということは、これからも議論が必要」との見解を示している。
(「イット!」7月3日放送より)

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