「タンス預金」残高は約60兆円 新紙幣で経済活性化の可能性 「キャッシュレス化」加速も

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紙幣の歴史を見てみると、デザイン変更のタイミングは約20年ごとです。印刷技術の進歩に合わせて、偽札を防ぐために定期的にデザインの変更が必要なんです。偽札を防ぐ以外にも期待できることが2つあります。

交換費用約1000万円新紙幣発行で運賃箱を使用せず QR決済を導入

新札で期待できる効果の1つ目が「キャッシュレス化」です。新紙幣発行を機にキャッシュレス化を進める企業を取材しました。

高速バスを運行するJR東海バスです。バスといえば運賃箱ですが、7月から一部の路線を除き運賃箱を使用していません。

JR東海バス営業管理課・深澤敬義課長:
「機器のセンサー部分の取り換えなどで、1台当たり十数万円程度の費用がかかる」

運賃箱を設置しているバスは約80台。新紙幣に対応するため部品を交換すると、総額で1000万円以上、費用がかかる計算です。そこで現金のかわりに進めるのが、キャッシュレス決済です。

複数のQRコード決済に対応するアプリ「エアペイQR」を導入し、利用拡大を図ります。ちなみに、客が現金での支払いを希望する場合は、運転士が直接、現金を受け取り、アプリで入金を管理するということです。

韓国は小さな店舗でもキャッシュレス決済対応を義務化

なぜキャッシュレス化がいいのか。世界各国のキャッシュレス決済比率を見てみると、小さなお店でもキャッシュレス決済への対応を義務化している韓国は、93.6%と非常に高いです。一方、日本は、32.5パーセントと主要国の中でも低い数字です。

日本のキャッシュレス化を進めることは、インバウンド消費を拡大させる有効な政策の1つなんです。

国内のタンス預金は一般会計の半分の約60兆円

続いての期待は、新紙幣の発行で自宅に保管している現金”タンス預金”が動いて経済が回るのではにないか、という期待です。

国内の”タンス預金”残高は約60兆円と言われています。どれほどの金額なのか想像がつきにくいですよね。

東京都の今年度予算一般会計の総額が約8.4兆円。国内の”タンス預金”60兆円がどれほど大きいかが分かりますね。

新紙幣が出回ると旧紙幣は次第に使いづらくなるのではという心理的な理由から、タンス預金として自宅に保管している旧紙幣を銀行に持ち込む人の動きが予想されます。

そうなるとタンス預金として埋もれていた現金が市場に出回ることになり、消費や投資に回り、経済の活性化が見込まれるのではと言われているんです。

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