「私たちが当たり前に暮らせる社会を一歩ずつ歩んでいきたい」旧優生保護法は『違憲』最高裁が統一判断

旧優生保護法のもとで、不妊手術を強いられたとして、国に賠償を求めている裁判で、最高裁判所は「旧優生保護法は憲法違反」などとする初の統一判断を示しました。

「戦後最大の人権侵害」と呼ばれる「旧優生保護法」を巡り、大阪や東京などの原告が国に賠償を求めた5つの裁判で、3日、最高裁は初めて統一判断を示しました。

1948年から96年まで存在した「旧優生保護法」。精神・知的障害がある人などに、本人の同意なしでの不妊手術を認めていました。

2018年に仙台市の女性が初めて訴訟に踏み切ると、全国に広がり、今年5月時点で38人が国を訴えています。

そのうちのひとり、神戸市に住む鈴木由美さん(68)。

生まれつき脳性まひがあり、12歳のときに、何の手術か知らされないまま、不妊手術を受けさせられました。

国を提訴した鈴木由美さん

「国に求めることはただひとつ。謝ってほしい」

裁判の争点になったのは「除斥期間」です。国は「20年が経つと賠償を請求する権利がなくなる」という民法の規定を理由に、賠償を求める権利は消滅したと主張。しかし大阪高裁は、約5000万円の賠償を命じ、国が上告していました。

国を提訴した鈴木由美さん

「障害者に対して人間扱いしていないのに、除斥期間だけは健常者扱い」

そして、3日。最高裁は、旧優生保護法について「個人の尊厳と人格の尊重の精神に著しく反する」として、憲法違反と指摘しました。

その上で、賠償の請求権が消滅する除斥期間について「国が主張することは、権利の乱用として許されない」などと厳しく批判し、「除斥期間」は適用しないとする、初の統一判断を示しました。判決後、鈴木さんは…

国を提訴した鈴木由美さん

「本当にきょうは、よかったです。私たちと同じように苦しい方が多くいらっしゃると思うんですけども、この判決を第一歩に、私たちが当たり前に暮らせるような社会を一歩ずつ歩んでいきたいと思います。本当にありがとうございました」

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