『魔法騎士レイアース』再アニメ化が話題に、90年代リアルタイムファンから見た「気になるポイント」

『魔法騎士レイアース』(C)CLAMP・ST/講談社・TMS

『魔法騎士レイアース』(以下『レイアース』)の放送30周年を記念し、同作の新アニメ化プロジェクトが始動したことが7月2日、発表された。これに合わせ、新アニメ化決定ビジュアルと新アニメ化決定PVが公開され、当時リアルタイムで漫画・アニメを楽しんでいたファンの間で大きな話題を集めている。

『レイアース』は1993年から1995年にかけて『なかよし』(講談社)で連載され、1994年10月からテレビアニメ化もされた漫画家ユニット・CLAMPによるファンタジー漫画だ。

中学生の獅堂光、龍咲海、鳳凰寺風の3人が東京タワーでの社会科見学中に、謎の姫の声に導かれ、異世界「セフィーロ」に召喚されるところから物語が始まる同作。そこで出会った導師・クレフの導きにより、3人は「魔法騎士(マジックナイト)」としてセフィーロを救うため、旅に出ることになる。

当時の少女漫画としては画期的な、異世界転移モノというジャンルだったことに加えて、剣と魔法のRPG調の物語は少女たちの間で一気に人気となった。時代は同じく『なかよし』で連載されていた『美少女戦士セーラームーン』人気の真っ只中であり、少女たちが変身して戦うというコンセプトはかなりウケたのだ。

90年代の女児の心にどハマりした同作の再アニメ化とあって、現在30代前後の当時の女性ファンからは喜びの声が多く上がったが、「新しいアニメではどうなるのか」と気になるポイントも多いのではないだろうか。

■ストーリー展開は原作準拠? 声優は?

まずはストーリーに関して。90年代のテレビアニメは物語中盤からアニメオリジナルの展開が描かれることが多かったが、同作の場合でも、設定や話の展開が漫画とは異なる部分が多い。特に第二章はアニメオリジナルストーリーも多く、作者であるCLAMPの大川七瀬さんがシリーズ構成・脚本に参加しているものの、ラストは漫画とは違う展開となっている。今回のアニメ化では原作通りの最終回を描くのかどうかは、ファンの気になる点だろう。

主人公の中学生3人は椎名へきるさん、吉田古奈美(現・吉田小南美)さん、笠原弘子さんが声優を担当していたが、メインキャストの声優にも注目が集まっている。

1994年のアニメで姫・エメロードを演じたのは『新世紀エヴァンゲリオン』の碇シンジや『美少女戦士セーラームーン』のセーラーウラヌス、『幽☆遊☆白書』の蔵馬など柔らかい雰囲気のイケメン声の役が多い緒方恵美さんだった。緒方さんの姫役はかなり珍しいが、エメロードはあの声でないと、と願うファンは多いはず。

また、ここ最近で続けて再アニメ化の発表があった『らんま1/2』で天道あかねの姉・なびき役を担当し、『YAIBA』で主人公の鉄刃役を担当していた高山みなみさんの再起用も気になるところ。高山さんは『レイアース』では海の神殿で魔法騎士を襲ったザガート一派の召喚士・アスコットの声を務めている。海に好意を寄せるという重要な役どころだったが、再アニメ化で高山さんの声はまた聞けるのだろうか。いずれにせよ、今でも最前線で活躍する豪華声優陣が出演していた同作。各キャラのファンにとって、再アニメ化でのキャスティングは気になる点だろう。

■作品を象徴した凄まじいオープニング

ほか、『レイアース』の魅力として、田村直美さんが歌う第一章の主題歌「ゆずれない願い」も欠かせない。同曲は100万枚を越えるセールスを記録し、田村さんはこの曲で1995年の『第46回NHK紅白歌合戦』に出場した。

また同じく田村さんが歌う第二章の後期オープニング曲「光と影を抱きしめたまま」での、とんでもない美しさの映像を思い出す人も多いだろう。同OPは当時のアニメ2話分にも相当する作画枚数6000枚のセル画を使ったとアニメファンの間で伝説として語り継がれているもの。今回のアニメではどのようなアーティストが起用されるか、どのような映像になるのか。注目ポイントの一つといってもいいだろう。

■細かく書き込まれた大きな瞳の作画はどうなる?

さて、今回公開されたビジュアルには、異世界セフィーロに招喚された光、海、風が武器を手にする後ろ姿が描かれたが、このままでは3人の表情は見えない。

『レイアース』の時期のCLAMPといえば、瞳の描き込みの細かさやバサバサのまつげ、宝石や武器など作画の描き込みがとにかく細かかったことが印象的だ。

しかし、2000年ごろを境にその絵柄はすっきりとしたシンプルなものになったように感じる。以降描き下ろされた『レイアース』のキャラたちも現代的な顔立ちをしている。今回のアニメでは果たしてどちらに寄った作画になるのか。当時のファンである作者からするとやはりきらびやかな絵柄に愛着があるのだが……。

今回はストーリー、声優、主題歌、作画の観点から『レイアース』の魅力を振り返ったが、思い出すだけでも懐かしさがあふれそうだ。センスのある作風は、令和の視聴者にもきっと刺さるはず。続報を期待して待とう。

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