九州電力川内原発1号機 あす4日から20年の延長運転 「新たなステージ」と位置付ける薩摩川内市長は市議会議長と連名で安全運転の徹底要望 原子力規制委が強調したのは「審査で基準満たすと確認」

 九州電力川内原発1号機(薩摩川内市)は3日、運転開始から原則40年の運転期限を迎えた。4日から20年の延長期間に入る。

 川内原発1号機は1984年7月4日に営業運転を開始。2011年の福島第1原発事故後の定期検査で運転停止し、15年に全国で初めて再開した。今年6月から定期検査中で9月下旬の通常運転復帰を見込む。

 九電は22年10月、1、2号機の運転延長を申請し、23年11月に認可を受けた。2号機は25年11月27日に40年を迎える。

 運転延長期間に入るのを前に、薩摩川内市の田中良二市長と大田黒博市議会議長は3日、川内原発展示館を訪ね、九電に対して連名で安全運転の徹底などを要望した。

 要望書は、九電の池辺和弘社長宛てで4項目。ほかに能登半島地震などの新たな知見への積極的な対応、使用済み燃料など核燃料サイクルの早期実現、積極的な情報公開と分かりやすい丁寧な説明を求めた。

 受け取った川内原子力総合事務所の大久保康志所長は「要望は社長に確実に伝え、発電所含め関係各所にも周知し、しっかり取り組んでいく」と答えた。田中市長は取材に対して「40年超運転という新たなステージに入る。市民の意見を広く聞き、事業者や県、国に伝えていきたい」と話した。

 このほか、運転延長を認可した原子力規制委員会の山中伸介委員長は、3日の定例会見で、「特別検査の結果などに基づき慎重に判断した。基準をきっちり満たすと審査の中で確認した」と強調した。

 延長を巡り地元で不安の声があることについて「さまざまな意見があることは承知しており、心配も十分理解できる」と言及。九電には「運転延長について慎重に作業を進めていただきたい」と要望した。

 九電は6月24日、川内原発1、2号機の「長期施設管理計画」を規制委に認可申請した。山中委員長は「技術的な特段の論点があるとは思わない」とした上で「われわれも厳正に審査を進めたい」と述べた。

要望書を手渡す薩摩川内市の田中良二市長(右)ら=3日、同市の川内原子力発電所展示館

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