ドイツ自動車工業会「反補助金関税はEUの利益にならない」 中国製EVへの追加関税に対して声明

by 編集部:椿山和雄

2024年7月3日(現地時間)発表

ドイツ自動車工業会(VDA)は7月3日(現地時間)、EU(欧州連合)欧州委員会が6月12日に発表した中国製BEV(バッテリ電気自動車)に対して関税を導入する方針について、「反補助金関税はEUの利益にならない」との声明を発表。「欧州委員会は発表された反補助金関税を放棄し、中国との交渉による解決策を見つけるべき」と主張した。

欧州委員会では、中国のBEVバリューチェーンが不公平な補助金の恩恵を受けていると暫定的に結論付け、最大38.1%の追加関税を導入する方針を発表している。

VDAでは「公正な競争条件を確保し、不公平な慣行から国内産業を保護するという目標は達成されないであろう」と指摘、パリ協定の目標を達成することがさらに困難になり、欧州の消費者と欧州企業の両方に損害を与え、欧州連合の利益にならないと説いた。

また、欧州の反補助金関税は中国の製造業者だけでなく、欧州企業の合弁事業にも影響を与えるとし、中国からEUへの自動車輸入の大部分は、ヨーロッパとアメリカのメーカーによるものと理由を挙げた。

具体的には、ドイツは中国との自動車貿易で大幅な黒字を抱えていることを説明。2023年には151億ユーロ相当の自動車がドイツから中国に輸出され、乗用車の輸入額は40億ユーロであるとした。自動車サプライヤーは2023年に112億ユーロ相当の部品を中国に輸出し、中国からは28億ユーロ相当の部品が輸入された。したがって、ドイツで生産するサプライヤーからの輸出においては、中国が最大の輸出市場になるという。

VDAでは、反補助金関税の賦課は、対抗措置や報復措置につながり、中国との貿易摩擦が激化するリスクをもたらすと訴えている。

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