松岡茉優、推しの卒コンで見せた“ギーク”な一面 「涙って邪魔だと思いました」

松岡茉優が主演を務めるフジテレビ木曜劇場『ギークス~警察署の変人たち~』が7月4日からスタートする。本作は、ノー残業をモットーとする警察署勤務の3人のギークが、腕と好奇心とほんの少しの正義感で定時までに事件を解決するエンタメドラマ。

松岡が本作で演じるのは、優れた記憶力と高い証拠分析能力を特技とする、鑑識官の西条唯。共演には、産業医・吉良ます美役の田中みな実、交通課員・基山伊織役の滝沢カレンを迎え、“ありそうでなかったトリオ”が織りなすストーリーに期待が高まっている。

これまでさまざまな役に扮してきた松岡。本作で初挑戦となる鑑識官役では、どんな新たな一面をみせてくれるのか。放送を前に話を聞いた。(編集部)

●田中みな実&滝沢カレンとは「するすると馬が合いました」

――ドラマのタイトルでもある「ギークス」について、松岡さんがはじめてこの言葉を聞いたときにどう感じましたか?

松岡茉優(以下、松岡):3人のギークたちが井戸端会議をしている中で、事件を解決してしまうけれど、結局それを聞きに来た刑事さんの手柄になってしまう。西条さんたちの方も別に手柄が欲しいわけではないので、どうぞどうぞと差し渡してしまう。その潔さが楽しいです。木曜の22時ということで、平日働いていらっしゃる方にとってはあと1日を乗り越える最後の晩。そのときに、遅めの夕飯や晩酌をしながらダラダラと考察してもらえたら嬉しいなと感じています。

――脚本を読んだ感想は?

松岡:私が演じる西条(唯)、田中みな実さんが演じる吉良(ます美)さん、滝沢カレンさんが演じる基山(伊織)さんの3人が、平日起こったことの愚痴や思っていることを話していたら事件解決の糸口が見えてきてしまうというかわいらしい進み方でした。会話劇が中心の作品なので、私たちのファーストシーンもまさに3人の会話のシーンでした。

――共演の田中さん、滝沢さんとの撮影の様子を聞かせてください。

松岡:みな実さんとは初対面、カレンさんとはバラエティでほんの少しご一緒しただけだったので、皆さんとチームになるにはどうすればいいかなと考えていました。ですが、いざ3人で集まって話したら、するすると馬が合いました。お2人に共通して感じているのは、嘘のないこととピュアなこと。お2人と会話するときには、こちらも自然体でいられるなと日々実感しております。ファーストシーンからテンポが必要な3人の会話が続くところの撮影でしたが、お2人のおかけでとてもスムーズに撮影が進み、あっという間に仲良くなりました。

――撮影の合間も皆さんでコミュニケーションは取られていますか?

松岡:みな実さんからおすすめの美容アイテムを聞き、カレンさんから美味しいおやつを聞き……という感じでこれがいいというものを交換しあっています。私はまとめ買い派で1個買うなら10個買いたいタイプだから、多めに買ったおやつとか日常のものを3人でシェアしていますね。すごく楽しいです。

――それぞれが違う道からこのドラマに集まったと思いますが、お二方から刺激を受けたことは?

松岡:カレンさんはピュアだし、言葉の紡ぎ方が唯一無二でカレンさんからなぜそういう言葉が出てくるのかを、カレンさんを見ながら毎日考えていたところ、すごく心がのきれいな方だからだな、と感じました。人の邪(よこしま)な気持ちなど、とうてい理解できないと感じる心の美しさです。カレンさんは演出を受けるときに、それがどういうことなのかを真っ直ぐに質問されていて、“なぜそうなのか”を一つ一つ丁寧に相手に聞かれている。新鮮な毎日をくれて、心が洗われます。

――田中さんはいかがですか?

松岡:みな実さんがいらっしゃると現場が一気に明るくなるんです。朝からちょっと重たいシーンを撮っていると、チーム自体が、ピリピリとまではいかずとも集中モードに入ることもある。その次のシーンでみな実さんが「おはようございます」と、お花が咲いたような声で入ってきて、「まゆちゃんさあ、なんか今日寝不足?」と話しかけてくれたりして。そうして周りのみんなにも話しかけてくれるので、現場のみんながみな実さんに恋していると思います。現場に花を咲かせてくれるのがみな実さんですね。

――松岡さんが演じられる西条という役柄については、どのように捉えていますか?

松岡:西条をはじめ吉良さんも基山さんも定時に帰ることから、署内では“省エネ3人組”なんて言われているのですが、私はその省エネの捉え方を丁寧にしたくて。サボっている、無気力、だらしないということではなく、むしろ定時の17時までに仕事を完璧に終わらせることに心を燃やしている3人なんです。西条が所属する鑑識係には後輩と上司がいますが、西条は鑑識課の誰よりもキビキビと働いています。だからこそ、決められた就業時間を守りたいという西条の真っ当さを愛おしいと感じています。

――西条はジグソーパズルオタクな面もあるそうですね。

松岡:西条の家には、ジグソーパズルがたくさん置いてあります。そこに美術さんが加えてくれた要素として“カエルグッズ好き”という一面があり、現場にはカエルグッズもたくさんあります。鑑識係のデスクにも、西条の自宅にもカエルグッズがあるので、彼女のそんな一面にも注目してもらえたら嬉しいです。

――今回は優れた記憶力を持つという役になりますが、松岡さんが台本を覚える際に意識していることや暗記のコツなどがあれば教えてください。

松岡:叩き込むことです(笑)。それと、思い込むこともすごく大事だと思っていて、「覚えられる」と思うことですかね。私も生身の人間なので、不思議とスッと入るセリフと、なぜか全然覚えられないセリフがあるんです。そこで覚えられないと思い始めるともう覚えられないので、余裕で覚えられると思い込むようにしています。私の奥の手は書くことです。同業者の方に覚え方を聞いてみると、何度もつぶやいて覚えたり相手役の声を録音して自分の役だけ覚えられるようにしていると聞きます。聞くことも多いのですが、セリフがパッと出なくなったときに自分の字で覚えていたものが出てくるので、奥の手は書くことです。

――ギークな3人にはそれぞれ特技がありますが、その中で松岡さん自身が欲しいと思う能力は?

松岡:基山さんは地理オタクですが、やや地理オタクの度を超えているなと感じるほどで。3人の中では一番日常生活で助かる能力なのではと思います。例えば写真の端っこに写っている標識とか神社の形で、どの県の何というお寺かまで当ててしまう。だから個人的には、基山さんが一番ギークなのではと思っています。そして、私はその能力が欲しいなと思っていて。もともとお店の名前を覚えるのが苦手なので、「すごく美味しかったのに、なんてとこだっけ?」となってしまう。だからパッと見ただけで場所や名前が言える能力はカッコいいなと思いました。

――松岡さんは自分がアイドルファンだと話されていますが、エピソードがあればぜひ聞かせてください。

松岡:私が今までで一番、周りが見えなくなっているなと感じた瞬間は、推しであるモーニング娘。’15の鞘師里保さんが卒業するときのこと。仕事の都合で卒業コンサートには行けないと決まっていたので、その前に彼女の最後のソロコンサートに伺いました。そのときにもう涙で前が見えなくて。アイドルファンで推しの卒業を経験したことがある方は同じ気持ちになったことがあるかもしれませんが、「涙って邪魔だ」と思いました。拭いても、拭いても出てくるから見えなくて。あまりにも泣いていたので、後ろや横の人が私に「大丈夫だよ! 頑張れ!」と声をかけてくれました。そこにいたみんなが同じ気持ちなのに、私のことまで励ましてくださって。なので、いつかは私も逆の立場に立って泣いている方を励ましてあげたいと思っています。
(文=Nana Numoto)

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