独政府、対中ガスタービン事業売却を阻止、「安全保障上の理由」

[ベルリン 3日 ロイター] - ドイツのショルツ連立内閣は3日、自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の子会社MANエナジーソリューションズが中国国有企業にガスタービン事業を売却する計画を阻止した。フェザー内相は記者会見で「安全保障上の理由」と説明した。

また、ハーベック経済・気候保護相は、「公共の秩序」のため重要な技術は保護されねばならず、取引停止措置の要因となったと述べた。

MAN側は政府決定を尊重し、ガスタービン新規開発の段階的縮小に取りかかると発表した。関係者によると、ガスタービン事業は収益性が高く、事業そのものは継続するという。

売却先に挙がっていたのは中国造船業界で圧倒的な立場にある中国船舶集団(CSSC)の傘下企業、中船重工龍江広瀚燃気輪機(GHGT)。MANは昨年6月、価格非公表の売却計画を発表。9月に入り、政府による綿密な計画審査が実施されると発表していた。ドイツ政界では、中国がガスタービンを民生用でなく、軍艦艇の動力源として使う恐れがあるとの懸念が一部で上がっていた。

欧州連合(EU)は中国との間で貿易摩擦が起きており、そのさなかでのドイツ政府の決定となった。中国はドイツの最重要な貿易相手国だが、ショルツ内閣は国内企業に中国依存度を減らすよう要請している。また、中国政府の電気自動車(EV)産業向け補助金政策は不公平として、企業間の競争条件を公平にすることも求めている。

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