福井豪雨20年、当時生まれていない学生が挑むデジタルマップ制作 証言や写真配置、7月7日披露へ

福井豪雨の被災状況を伝えるデジタルマップを作成する福井県立大生=7月3日、福井県永平寺町の同大永平寺キャンパス

 福井県嶺北地方を局地的な大雨が襲った2004年7月18日の福井豪雨から20年を迎えることを契機に、福井県立大学の1年生4人が7月3日、当時の状況をウェブサイトで伝えるデジタルマップの制作に着手した。学生は報道写真を地図上に配置しながら、被災した住民から聞いた証言も反映。「福井豪雨を知らない私たちの世代にも伝えていきたい」と取り組んだ。7日ごろの完成を見込んでおり、福井新聞のホームページなどで紹介する。

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 4人は福井県立大生物資源学科の岩崎日向さん(18)、山口正人さん(18)、小響駿人さん(19)、中森智紀さん(19)。福井新聞社は世代や地域を越えて災害記録を伝え、防災意識を高めてもらおうと、地理情報システムが専門の福井県立大地域経済研究所の青木和人教授とサイト制作についてタイアップ。青木教授の募集に学生4人が手を挙げた。いずれも県外出身で、福井豪雨時は生まれていないが「記憶が風化してしまわないよう、私たち若い世代が力になれたら」と参加した。

 青木教授と学生4人は6月30日、福井新聞社が福井市木田公民館で開いた防災ワークショップに参加。市中心部で足羽川左岸堤防が決壊し大きな被害が出た木田、豊両地区の住民4人や、当時福井市長だった酒井哲夫さん(90)から体験を聞いた。

 3日は福井新聞社の当時の写真に写り込んだ建物をヒントに撮影場所を探し、デジタルマップ上に配置。「ボランティアが県内外から多く集まってくれた。市民が頑張り、災害を乗り越え、“不死鳥福井”だと感じた」といった酒井さんの証言なども紹介することにした。

 中森さんは「写真を地図と組み合わせることで被災場所が分かりやすく、身近に感じられる。当時の緊迫した様子を理解しやすくなる」と話した。福岡県出身の岩崎さんは「まだ福井に詳しくなく、九州に比べて福井は豪雨のイメージがなかった。撮影場所を探すのは難しいけれど、私たちの世代にも伝わるよう完成させたい」と作業に集中した。

 デジタルマップは7日、福井豪雨から復興した足羽川幸橋北詰の河川敷に市民が集うイベント「ミズベリング 水辺で乾杯in福井」の中で、学生がモニター画面を使いお披露目する。発表は午後1時55分ごろから。雨天の場合は中止となる。

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