「選手の力を最大限に」バスケ女子日本代表・恩塚HCの指導論 “ビジョン・方法論・自信”で自ら動く力を引き出す

パリオリンピック・バスケットボール女子日本代表を指揮する恩塚ヘッドコーチが行う、独自の指導法を取材した。
恩塚ヘッドコーチは、「心が整っているかどうか」を重視し、合理的なプレーを促す「台本」を用意。
選手たちが迷わずに行動できる環境を整えているという。

「心を整える」恩塚コーチの指導法

パリオリンピック・バスケットボール女子日本代表を指揮する恩塚ヘッドコーチに、“人の力を最大限に引き出す秘訣(ひけつ)”について聞いた。

バスケットボール女子日本代表・恩塚亨ヘッドコーチ:
「やれ」と言われてやると、「やりたくない」とか、“やれない理由”を考える。逆に、ワクワクしていると、“どうやってできるか”を自分で探して考えちゃう。

バスケットボール女子日本代表の指揮官が語る、ビジネスパーソンにも通じる人の力を最大限に発揮する方法とは――。

“台本”で具体性を。自立する個人・自律する組織へ

6月30日、パリオリンピックで2大会連続のメダルを狙う、バスケットボール女子日本代表の12人が発表された。

“走り勝つシューター軍団”をコンセプトに、運動量やスピード、シュート力を武器に総力戦で世界の強豪に立ち向かう。

選手たちの最高のパフォーマンスを引き出すため、指揮官・恩塚亨ヘッドコーチが大事にしているのが、「心が整っているかどうか」という点だ。

バスケットボール女子日本代表・恩塚亨ヘッドコーチ:
(心が整った状態とは)3つ視点があるんですけど、“これやったらうまくいくというビジョン”があるかということと、このプロセスを踏めば、そこ(ビジョン)に行けるという“具体的な方法論”。あとは“自分ならできる”と思えているかどうか。その3つがそろってさえいれば、人は勝手にでもやる。

選手たちの心を整え、一番力を発揮できる状態にする“3つの要素”。
これを備えるために、恩塚ヘッドコーチが実践していることがあった。

バスケットボール女子日本代表・恩塚亨ヘッドコーチ:
大事にした方がいいかなと思うのは、台本を作る。「こういう考えで、こういう時はこうだよね」という台本があるから、(選手は)迷わずにできる。

選手が合理的に動くための“台本”。
恩塚ヘッドコーチは、自身の著書「バスケットボール 恩塚メソッド- 知性にもとづいて勝つための『原則』(大修館書店)」でも、その必要性をこう説いている。

何かを選択するときには、その選択が妥当かを測るものさしが必要です。(中略)合理的にプレーするためのものさしがあり、それが共有できれば、自立した選手・自律したチームを生み出すことができるはずです。
(恩塚亨「バスケットボール 恩塚メソッド- 知性にもとづいて勝つための『原則』」より)

指導する側の人間が“台本”あるいは“ものさし”を用意し、目的を定めることで、目標が明確になり、選手個人の成長、ひいてはチームの総合力につながる。いわば、ビジネスシーンにも通ずる発想だ。

バスケットボール女子日本代表は、7月4日に国内最後の強化試合を控えている。

記者: ーーアップからも最後の自主練も、(選手が)すごく楽しそうにやられていますね?

バスケットボール女子日本代表・恩塚亨ヘッドコーチ:
“自分ごと”ですよね。やらされるというよりは、ワクワクする夢があって、それに向かう効果的な方法をちゃんと自分が理解していて、「私ならできる」と自分を差し引くことなく、できるって信じているからこそ、できると思っています。
(「Live News α」6月28日放送分より)

© FNNプライムオンライン