【パリ五輪バスケ金へ・馬瓜エブリン】「実力に大差はない。背中が見えている」アメリカと再び対戦へ NZ戦直前インタビュー

まもなく7月26日に開幕するパリオリンピックを控え、4日、バスケットボール女子日本代表(世界ランキング9位)は、国内最後の強化試合となるニュージーランド代表(同26位)との2連戦(東京・有明アリーナ)の初戦に臨む。チームを牽引する“盛り上げ番長”馬瓜エブリン(デンソー)に単独インタビュー。パリ五輪初戦でのアメリカとの対戦にエブリンは「実力に大差はない。相手の背中が見えている」と強い自信を見せた。

東京五輪後1年の休養経て進化・成長「少しお姉さんになったので(笑)」

ーーいよいよオリンピックが近づいてきたが、いまのテンションは?
ぼちぼちですね。ぼちぼちで、はい。

ーー上がりすぎず?
そう。上がりすぎず。まだまだやることがいっぱいあるので、そこを一生懸命詰めている段階。
少しずつオフェンスだったりとか、そういったところが良くなってきてるとは思うが、ディフェンスのところがやはりどうしても私自身センターとして大きくないっていうのもあり、そこの調整や、あとは、チームのあうんの呼吸になるまでやり込むところだったり。

ーー東京オリンピックが終わって1年の休養、あらためて振り返ってどうだった?
休んで良かったなとすごく思っている。帰って来れるかどうか、すごく不安だったところももちろんあったが、しっかりとコンディションもメンタル面もちゃんと戻ってきた。なおかつ、少しお姉さんになったので、そういう意味でも、全体を見れるようになったのはすごくよかった。

ーープレイも変わった?
プレイは大分変わったと思う。もちろん今までの良さみたいなところはそのまま引き続き多分あるとは思うが、リングしか見えねえ、みたいな感じだったところを、しっかりと外も見ながら、パスも出しながらできているのはよかったと思う。

ーースリーポイントの進化は?
スリーポイントも大分確率よく入るようになったので、そういう進化みたいなところも、休んだ巧名みたいなものがあったのかなと思う。

ーー雰囲気がすごく大人になったと思うが?
ホントですか?ホントですか?まだ結構心25歳ぐらいなんですけど、今(笑)。まだまだ追いついてないですが、はい、よかったです。

恩塚バスケ「難しいが、休養中客観的に頭にインプットされた」

ーー恩塚監督のバスケは皆が「難しい」と言うが、すぐにフィットした?
いや、すぐにというか、もちろん難しいところはいっぱいあって、まだまだ自分は取り込んでいかないといけないところがいっぱいあるが、その中で客観的にバスケを見てた期間というのが休んでいる時長かったので、そういう意味で、なんとなく頭にインプットされてたみたいなところがあるのかもしれない。

ーープレイヤーとしてやっている時と、客観的に見ている時と大分違う?
解説の仕事などで、上から見るっていうのがすごく多かったので、自分でやっている時には照らし合わせというのがあまり普段できないので、その期間が長かったのはすごくよかった。

パリ五輪初戦で“世界一”アメリカとリベンジ戦「一番フレッシュな状態で戦える」

ーー東京五輪(2021年)の決勝は思い出したりする?
思い出すことはある。

ーーアメリカ戦は90-75でアメリカ勝利。
もちろん、結果15点差ではあったものの、戦えていた部分はあったと思う。ただ、「もっとできる」「もっとできる」と振り返ってみるとずっと思うところがあったので、そういう意味ではそこを1発目出せるかってのいうのはすごく楽しみだ。

ーーパリ五輪の初戦だ。
でも初戦で良かった。1番フレッシュな状態で1回アメリカとガツンと戦えるっていうところはすごく楽しみだ。

ーー東京五輪決勝を振り返り、アメリカのイメージは?
本当に走れるし、どれだけ大きな人であっても先頭切って走るところとか、あとは細かい技術が本当に一人一人高いので、本当に個が強い集団だなと思っていた。ただ、その個をどうやって打開するかという点で、私たちの面の部分をしっかり厚く厚くしていくことが大事なんじゃないかなと思う。

ーー自身のプレイはどうだったか?
私の個の役割としてドライブという、ドリブルでリングにアタックしていくプレイがあるが、そこでたしか1本、2本決めたというイメージもあったので、そこは良かったと思う。もちろん自分がディフェンスをする側にはちょっと厳しいところがあったが、イメージはそんなに悪くない。

ーーパリへ向けて今後の詰めは?
もう正直やることがまだまだいっぱいあるが、ただ大部分やっぱり私自身、センターの個のディフェンスがすごく大事だと思うので、そこのクオリティをどれぐらい上げれるかどうか、ここが結構カギになってくるかなと思う。

ーー“センターのディフェンス”は、センターポジションだけの問題ではない。
もちろん、そう。平均身長が日本はあまり大きくはないので、1人だけではなく、みんなでローテーションしながら守っていくというのがすごく大事になる。ただ、その入りの部分だったり、どうしても1対1になった時には守らなきゃいけないので、そういった点でもっとクオリティを上げていけたらいいと思う。

王者アメリカとの差「確実になくなってきた。相手の背中は見えている」

ーーアメリカとの決勝で感じた力の差は?
私はリオ五輪は出ていないが、30~40点ぐらい多分離れましたよね(※64-110の46点差)。そこから東京五輪で15点差になり、確実に力の差はもうほぼほとんどなくなってきてるなと。15点差って、まあ20点差で負けてるわけじゃないので、結構どうにかなるとは思う、細かいところが。ただ、その細かいところを世界一のクオリティでやった時に勝てるかどうかというところだと思うので、本当に出し惜しみをせずに、日本が持てる力を出し切った時に、アメリカに勝つチャンスが絶対あるのだと思う。

ーー当時の悔しさは?
「わっ、メダル獲れたんだ、自分たちメダル獲れたんだ、嬉しい」っていう気持ちが先に来た後に、やっぱり試合を見返すと、「あ、ここ頑張れたら、ここのちょっとのところ頑張れたら金獲れたよね」っていう、ちょっと、最後の最後まで日本のプレイが出しきれなかったっていう悔しさはあった。

ーーそれは対戦相手がアメリカだということが作用している部分はある?
やっぱり気持ち的にも。もちろんやっぱりアメリカだっていうところは絶対どっかにはあったとは思う。ただ、気持ちが浮くみたいなところは、次のパリではもうほんとに関係ないというか、全く作用しちゃいけないと思っている。今回そのアメリカがしょっぱな。どんな相手であってもしょっぱなって一番大事な試合だと思うので、そういう意味ではそういったところを出さずに、逆に日本のバスケットを最初から最後までやれば、絶対チャンスはあると思う。

ーー東京で感じた「頂点と頂点の手前との距離感」は?
私はそんなに大差ないと思っている。プレイしている中で「あっ、これはちょっとかなわない」みたいな瞬間はもちろん1個1個あったが、じゃあそのかなわないからこその答えを、その時は多分確実な答えは持ってなかったと思うが、今回はそういう状況に対して、アメリカの個に対してどういうふうに戦うのかというのをすごく細かくやってるので、そこは相手の背中は見えてるんじゃないかなと思う。

パリ五輪「完全にアウェイな状態になるが、世界予選の経験活かす」

ーー最後に、エブリンさんは実は静かな人だと聞いたが・・・
それはいいんですよ(笑)。

ーーそんな中で、パリ五輪では観客席がとんでもない盛り上がりになりそう。
それと静かはあまり関係ないかと(笑)。間違いなくブーイングだったりとか、完全にアウェイの状態になるとは思う。フランスだとベルギーが近かったりとか、多分大応援団で来ると思うので。ただ、OQT(五輪世界最終予選、ハンガリーで開催))で一度対ハンガリー戦で経験した。先に経験しておいてすごくよかったと思っている。しっかりとその経験を活かしていきたいなと思う。

ーーやることはまだちょっと残っているが、皆覚悟ができた?
そうですね。まだあと1ヶ月あると思ってるので、私は。そういう意味では、しっかりと一個一個詰めて、目の前の試合を勝ち切って、最後に金メダルを獲れたらいいなと思う。

パリ五輪予選リーグで、五輪7連覇中のアメリカ(世界ランキング1位)と再び対戦するほか、ベルギー(同6位)、ドイツ(同19位)と対戦する女子日本代表。“世界一”をかけた運命の戦いを目前に、4日から国内での最後の強化試合に臨む。

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