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(CNN) 米フロリダ州に生息するオオアリは負傷した巣の仲間の命を救うため、脚を噛(か)みちぎる――。そんな新たな研究結果が明らかになった。
切断を受けたアリの約90~95%は生き延び、脚を失っても元気で巣内の仕事を続けるという。
研究結果は科学誌カレントバイオロジーに2日付で掲載された。同じ国際研究チームが2023年に発表した以前の研究をベースにしている。
当時の研究ではマタベレアリと呼ばれる別種のアリについて、傷口を洗浄して感染の可能性を防ぐため、口から抗菌性化合物を分泌することが判明した。この化合物は後胸側板腺と呼ばれる部位により生成される。
大半のアリはこうした腺を持つ。だが時間の経過とともに、フロリダオオアリを含む一部の種は進化の過程で後胸側板腺を失った。
ドイツ・バイエルン州のビュルツブルク大学に所属する行動生態学者で、論文筆頭著者のエリック・フランク氏は、後胸側板腺を持たないアリの大半は樹木の中に住むと指摘する。
フランク氏は「木の中に住む生活スタイルのおかげで、地中に住むアリよりも病原菌にさらされにくいのかもしれない」と話す。
フランク氏と同僚は西アフリカのコートジボワールでマタベレアリの研究を継続する計画だったが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が発生。この結果、実験室で入手可能なありふれたオオアリの研究に軸足を移した。
「傷の治療に抗菌性化合物を使えないアリがどうやって負傷した仲間を助けるのか知りたかった」とフランク氏は振り返る。
研究チームがそこで目にしたのは予想もしなかった光景、従来は人間でしか目撃されていない外科的処置だった。
赤茶色をしたフロリダオオアリは成長すると体長約1.5センチに達する種で、米南東部各地で腐った木の中に巣を作っているのが見つかる。ライバルのアリに対して巣を防衛する必要があり、負傷する場合がある。