「必然的にそうなりますよ」年金目減り 経済成長横ばいで2割減

7月4日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、財政検証に関するニュースについて意見を交わした。

藤井氏「『(経済成長率が)横ばいやったらええか』じゃダメです」

厚生労働省は3日、公的年金制度の中長期的な見通しを示す「財政検証」の結果を公表した。一定の経済成長が続けば少子高齢化による給付水準の低下は2024年度に比べ、6%で止まるとの試算を示している。成長率がほぼ横ばいのケースでは2割近く下がる。

財政検証は5年に1度、年金財政の健全性を確認し、100年先までの見通しを点検するために実施されている。成長率がほぼ横ばいのケースでは、33年後の年金受給額は現在よりも約2割目減りする。

寺島アナ「成長率がほぼ横ばいのケースでは2割近く下がるということなんですが、藤井さんどうでしょう?」

藤井氏「必然的にそうなりますよ。年金制度っていうのはね、みんなイメージとして自分ひとりのことだけ考えて、65歳までずっと払って、どっかに貯金されてて、65歳以降それを引き出していく、みたいなイメージが個人からしたらあると思うんですど、そうじゃないんですよね。すべての年次において若い人が年をとった人にお金を払ってあげるっていう仕組みなんですよね。だから基本的に破綻って絶対ないんですよね。
若い人と年配の方との線を分ければいいだけなんで、必ず払えるわけなんですけども。経済成長しなかったら、将来じいちゃんばあちゃんがすごく増えるのに、若い人少なくなるのに、経済成長しないってことは賃金が増えないっていうことだから、そりゃあ減りますよ。
だから成長することが前提じゃないとダメなんですよ。だから高齢者率がどんどん高まっていくだから、それと同じくらいの率で若者の賃金が上がっていって初めて維持できるわけですよ。だから『成長しろ』っていう話なんですよね」

寺島アナ「この結論としてはですね?」

藤井氏「そう。それがここに表れているだけの話で。だから年金は若い人が年配の人にその年に払うんだということをご理解いただきたいですよね」

寺島アナ「藤井さんのご指摘の通り、だからこそ経済成長しなきゃダメなんだよっていうのを、もっともっと声を大にしていかないと。そのためにはやはり政府はもっと頑張らなきゃダメだってことですよね」

藤井氏「そうですよぉ。だって普通に考えてみてくださいよ、2人の夫婦で4人のおじいちゃんおばあちゃんを支えなきゃならなくなったとしましょうよ、自分の家で。そりゃあ稼ぎ増やさんと、じいちゃんばあちゃんの生活水準落ちるでしょう。そしたら普通は『じゃあこれからは、おじいちゃんおばあちゃん支えなアカンから、ちょっと父ちゃん頑張るわ』、『わたしも頑張るわよ』みたいな会話になるじゃないですか。だから日本国民がそう言えよ、ってことなんですよ。『じいちゃんばあちゃんが増えるから、ぎょうさん稼ごうか』ってやったらいいんですよ。そしたら、じいちゃんばあちゃんの分も稼いで且つ自分の生活も維持できるように稼げばいいんだから。
だからそれは給料を上げていくっていうのが日本国経済でいったら成長するっていうことなんだから、もう高齢社会になるんだから、成長せなあかんのなんてもう決まってるんですよ。でも日本人はそういうことも何も考えないで『横ばいやったらまぁええか』みたいな感じで生きてて、先のことを考えてないってことなんですよね。ダメですよ、そんなんやったら」

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