日本は「タンス預金王国」 新紙幣発行による家庭に眠る現金「約60兆円」の掘り出しが景気上昇の鍵

テレビ愛知

新紙幣発行に伴う経済への影響について、第一生命経済研究所の首席エコノミスト・永濱利廣さんに聞きました。

タンス預金は「動く」可能性

――新紙幣の発行でタンス預金は動くと思われますか。

「動くと思います。家計部門が保有する現金の増減推移を見てみると、前回紙幣が発行された2004年前後に、現預金の伸びが急激に下がっています。おそらく、紙幣の刷新の要因も少なからず寄与していたと思うので、今回も同様の効果が期待できると思います」

――永濱さんの試算によると、50兆円から60兆円のタンス預金があるとのこと。タンス預金が市場にも出回ることでどんな経済効果が見込まれるのでしょうか。

「巨額なタンス預金の一部でも、消費や投資に回れば経済の好循環が起こると思います。またタンス預金は、資金洗浄やマネーロンダリングなど、課税を逃れるための温床になりかねません。非常に実態が見えにくいものです。今回の紙幣の刷新で、タンス預金の一部でもあぶり出すことができれば、これらを防ぐことができると思います」

海外と比べて現預金の比率が高く、投資が少ない

――タンス預金が投資に回ることを期待する声も多く上がっているそうですね。

「日本の家計の金融資産構成を見てみると、海外と比べて圧倒的に現預金の比率が高く、投資の部分が少なくなっています。アメリカなどは現預金の割合が非常に少なく、株式などたくさん投資をしています。

今後、公的年金の支給の目減りが予想されるので、家計の資産形成に取り組むためにも、紙幣の刷新が1つのきっかけになるのではないかと思います」

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