「あっちは沸いていますが、こっちは…」さよなら“諭吉さん” 福澤ロス、ふるさと中津市で惜しむ声

20年ぶりに新紙幣が発行され、日本銀行では金融機関への引き渡しが始まりました。新たな紙幣は一万円札が渋沢栄一、五千円札が津田梅子、千円札が北里柴三郎がデザインされています。40年にわたり、一万円札の顔だった福澤諭吉のふるさと大分県中津市では、肖像の変更に惜しむ声が上がっています。

日本銀行大分支店で3日朝、総額82億円に上る新紙幣を金融機関へ引き渡しました。

日本銀行大分支店 安徳久仁理支店長:
「安心していつでも誰でもどこでも使っていただける銀行券の流通にこれからも万全を期していきたい」

福澤諭吉のふるさと、中津市では肖像の変更を惜しむ声が聞かれました。

中津市民:
「あっちは沸いていますが、こっちはさみしくなった感じがして、心残りがあります」「“諭吉さん”長かったので、渋沢さんにはまだ馴染みがないですが、慣れていくのか…」

旧一万円札の巨大モザイクタイルアートが設置されているJR中津駅の橋倉正人駅長(45)も複雑な心境をのぞかせていました。

橋倉駅長:
「宮崎県出身で今年4月に中津駅に就任しました。不思議な感覚なんですが、残念な気持ちもあります」

モザイクタイルアートは、一万円札の肖像交代をきっかけに中津市が立ち上げた「不滅の福澤プロジェクト」の一環として、JR中津駅北口に今年3月に設置。NPO法人中津まちづくり協議会が岐阜県の業者に依頼して制作しました。

縦が約2.1メートル、横が約4.5メートルで、1センチ角のタイルを9万4138枚使用。著書「学問のすゝめ」を題材にした横断幕も併設されています。

橋倉駅長:
「一万円といえば“諭吉さん”でした。本当にお世話になりました。“諭吉さん”をお守り代わりに財布に入れておき、そして時代にあった新紙幣を楽しみたいと思います」

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