小出恵介 インタビュー 映画「愛のぬくもり」 〜人への優しさや眼差し〜

映画「愛のぬくもり」が7月6日より新宿K’s cinemaにて公開され、その後全国で順次公開される。小出恵介、風吹ケイを主演に迎え、脚本監督は、注目の映画監督 いまおかしんじ。

「愛のぬくもり」は、体が入れ替わってしまう男女のドタバタ劇と同性愛者たちのデリケートな恋愛事情を絡ませた奇想天外な恋愛映画。脚本・監督は『海辺の恋人』『道で拾った女』『天国か、ここ?』など、昨年も複数の作品が劇場公開され、創作の勢いが止まらない、いまおかしんじ。 小説家の主人公・たかしを演じるのは映画『銀平町シネマブルース』(監督:城定秀夫)やドラマ『酒癖50』 (ABEMA)などの演技で再注目の俳優 小出恵介。たかしと体が入れ替わってしまう女・サトミを演じるのは2022年グラビアデビューを果たし、次世代グラドルとして数々の賞を総なめにした新星 風吹ケイ。たかしの妻役に谷崎潤一郎原作の映画『卍』の光子役で注目を集めた新藤まなみ。たかしとサトミを陰から見守るゲイのバー店主に田中幸太朗。川瀬陽太、冨家ノリマサら味のある俳優が物語を支える。セックスもジェンダーも超えた愛の形を温かな目線とユーモアで描き出す、いまおかワールド全開の一作

インタビュー 小出恵介 小説家 辺見たかし 役

編集部
「愛のぬくもり」主演のひとり、辺見たかし役のオファーを受けられて、まず、どう思われましたか?

小出
オファーいただいたのが、昨年の夏から秋の頃。その段階であらかたの脚本もあり、いまおか監督のオリジナル新作と伺い、僕が以前城定(秀夫)監督の「銀平町シネマブルース」に出演した際に、いまおか監督が脚本で参加されていてご一緒していました。かねてよりいまおかさんの監督、演出にも僕も非常に興味がありましたので、オファーいただいてとても嬉しくて、すぐに参加させていただきたいとお伝えしました。

編集部
この作品の撮影などを通して、印象に残ったことなどお聞かせください。

小出
男女の入れ替わりものというお話しなので、フィクション性といいますか、僕にとっては初めての挑戦でした。オファーを受けた段階で想像した大変さと、実際に現場で感じた演技の大変さは、湧き上がってくる疑問というか、表現の壁みたいなものは、簡単ではなかったです。でも、イリュージョンものへの挑戦、プラス、ラブシーンという部分も含めて、僕にとってはとても挑戦的な作品になりました。現場を通して模索し続けることができたと思います。

編集部
「壁」という言葉がありましたが、もう少しお伺いしても良いですか?

小出
全部の作品が整合性をつけて自然に演じられる訳ではないのですが、今回の様に入れ替わった上で演技をするのは 僕も初めての経験でしたので、フィクションとしてどこか割り切って、リアリティを度外視して進める演技スタイル、つまりリアリティとしての整合性をどこで付けるかは、この様なフィクション性が強い作品の場合では、ひとつ大事なテーマだと思いました。

編集部
その流れで質問をさせていただくと、本来自分の役と相対してふたりで芝居をしていると、自分に話しかけるという、その感覚というのは?

小出
自分を相手の方が演じているという形なので、最初は気にならなかったというと嘘になります。だんだん、見慣れてくるといいますか、自分が違う人にも見えてきますし、彼女、風吹(ケイ)さんの表現もまた完成されていくので、独特の感覚ではありますね。おそらく風吹さんも自分ではないと思うでしょうし、入れ替わりものは、本当に奥が深い世界だと思いました。

編集部
入れ替わりもの、脱線の質問をさせていただくと、例えばよく再現ドラマってありますよね、自分の話の再現ドラマに自分が自分の役を演じるのではなくて、他の役者さんが自分をやっていて、相対して自分の役を他の方が演じることと同じ状態ですか?

小出
同じ状態ですかね?違うんですかね? 実際に演技で絡む訳ですからね。より複雑なのかも知れないですね。こういうフィクションの世界の醍醐味だと思いましたし、次にもし入れ替わりものを演じることがあったら、もっともっと振り切って、もっともっと楽しんで、もっと何か思い切って飛び込めるような気もします。今回初めてってことで、どうしても構えて考えてしまいますよね。次回は、作品のテイストや方向性もありますけれども、もっと思い切っていけたらなと思っています。

編集部
いまおか監督は、やりかねないですよね。30年後をまた映画にするとか? 70歳ぐらいになって、、、

小出
やるんですか?(笑) 監督にまたやる?って誘われるかな。いまおか監督の演出は面白いんですよね。今思いついたんだっていう演出を、独特のセンス、動きや感覚を持ってらっしゃるなって思います。もちろんその動きは全部は取り入れられない場合もあるかと思いますが、今回僕は全部を取り入れられたと思います。ここでそういう動きするかという発想力、動きのユニークさ、センスがすごかったです。

編集部
いまおか監督のインタビュー映像などを拝見すると、普通にお話しなどをされているのですが、腕を振り身体を柔らかく動かすところを見ると、どれが本当のいまおか監督なんだと。。。

小出
おっしゃる通りですね。現場でちょっと演技つけるときも、自分で演技をされるので、その動きや感じがいいんですよ。何とも言えない、素敵な顔をして、素晴らしい芝居をされていて、、、

編集部
リズムが出てきますね。

小出
多分そういうことを考えてらっしゃると思いますよ。セリフのやり取りにリズムを出すために動きを付けたりとか、絵に動きを出したりということだと思います。不思議なリズム感がありますね。

編集部
この映画に出てくるキャラクター、皆さん気持ちがかわいい人、やさしい人が出てきますね。

小出
それは、いまおか監督が見ているレンズではないかと感じます。世の中を見ている眼差しがそういう気がします。ちょっと足りなかったり、ちょっと欠けてたり、ちょっと変だけどかわいいよねっていう、そういう風に世の中を見てるような気がします。もう一歩突っ込んで言うと、愛があると感じました。監督自身が、なにか足りなかったり、変わった人への優しい眼差しを持っていらっしゃると感じました。人間は別にみんな同じじゃなくてもいい、、、少し変わってたり、少し足りなくてもいいよね、というメッセージを僕は勝手に受け止めました。

編集部
今回のいまおか監督の「愛のぬくもり」は、観ている観客の心の中のものを巡らせる感じがするのですが?

小出
フィクションだからこそ、ああいうパラレルワールドだからこそ、自分の心の中、日常のヒダみたいなものが出しやすい、投影しやすいのかもしれません。

編集部
いまおか監督の現場のお話を伺います。

小出
撮影は早いです。スケジュールの都合もあると思いますが、いまおか監督は決断も早いです。早く指示が言えるのはすごいことだと思います。監督の方は、編集する段階で映像を繋げるイメージをしなくてはいけないので、悩んで悩んで演出をするのが普通だと思います。「銀平町シネマブルース」の城定(秀夫)監督もそうでしたが、余分な演出がないというか、あれこれ多くのことを言わないですね。改めてすごいと思いました。役者さんの自主性に任せたり、ちょっと泳がせるみたいなこともできて、本当すごいですね。

編集部
撮影が早いということでしたが、今回、何日ぐらいのプロダクションだったのですか?

小出
(大きな声で)5日間! 改めて5日間ってすごいですね。すごいスピードがあって。確かにタイトでしたが、僕は芝居をするだけでしたが、スケジュール面でも挑戦的ではありました。

編集部
最後に、この映画を見るかどうか迷っている方にメッセージを

小出
非常に挑戦的な作品ですし、ラブシーンも含めて盛りだくさんな作品です。ちょっとスリリングな要素もあるので、刺激を求めている方にも十分満足いただける作品になっていると思います。目で見て刺激もあり、考える余地もあり、作家性もある作品なので、非常に楽しめる作品になっていると思います。

小出恵介 プロフィール

1984年生まれ、東京都出身。 2005年、日本テレビ系ドラマ『ごくせん』で俳優デビュー。同年、 映画『パッチギ!』に出演し注目を集める。その後、『のだめカンタービレ』『ROOKIES』『JIN-仁-』など人気TVドラマのメインキャストとして人気を博す。2008年『僕の彼女はサイボーグ』で映画初主演以降、『風が強く吹いている』『シュアリー・サムデイ』『ボクたちの交換日記』『愚行録』『銀平町シネマブルース』と多数の映画に出演。現在はアメリカから日本に再度拠点を戻し俳優活動を行っている。

小出恵介 オフィシャルサイト:https://keisukekoide.com

小出恵介 オフィシャルファンクラブ:「Keisuke Luncheon Klub ~Universal Axis~」

ストーリー
ある日突然、街中でぶつかって階段から転げ落ち体が入れ替わってしまった小説家の辺見たかしと、美容師の横澤サトミ。
なんとかお互いになりきりそれぞれの生活を送ることになるが、たかしの妻・由莉奈には男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男ができたことを理由に別れを切り出されてしまう。
ふたりは互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながらも奮闘するが、やがて事態は思ってもみない方向へ…

概要
タイトル:愛のぬくもり
脚本・監督:いまおかしんじ
出演
小出恵介 風吹ケイ
新藤まなみ 荒木双葉 川瀬陽太 田中幸太朗 冨家ノリマサ
中嶌駿介 伊藤和哉 華岡 稟 一ノ瀬紗那
企画:利倉 亮 郷 龍二 プロデューサー:江尻健司 北内 健
アシスタントプロデューサー:竹内宏子
撮影:吉田淳志 照明:オカザキタカユキ 録⾳:山口 勉 編集:蛭田智子 助監督:小泉 剛
ヘアメイク:甲 菜那 スタイリスト:手塚 勇 スチール:阿部拓朗 制作:洲鎌恒男
⾳楽:宇波 拓
整音・音響効果:藤本 淳 キャスティング協力:関根浩⼀ 営業統括:堤 亜希彦
制作:レジェンド・ピクチャーズ
配給宣伝:ムービー・アクト・プロジェクト
配給協⼒:ミカタ・エンタテインメント
2024年/⽇本/ 91分/カラー/ステレオ/R-15作品

劇場情報
2024年
東京:新宿K’s cinema 7月6日〜
※ 初日舞台挨拶7/6(土) 18:20回上映後 小出恵介さん 風吹ケイさん いまおかしんじ監督 ※予定 ※満席御礼
京都:アップリンク京都 7月26日(金)~8月1日(木)
大阪:シアターセブン 7月27日(土)~8月2日(金)
愛知:名古屋シネマスコーレ 近日公開

HP: https://www.legendpictures.co.jp/movie/shapeofmyheart/

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