吉沢 悠 インタビュー 舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』

舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』が好評ロングラン上演中だ。2022年7月に東京・TBS赤坂ACTシアターで開幕し、`24年7月にはロングラン3年目を迎え、新キャストがお目見えする。ハリー・ポッター役には新たに平方 元基と吉沢 悠がキャスティング。このたび、吉沢 悠さんの特別インタビューが実現した。

ーーハリー役に決まった時の感想をお願いします。

吉沢:ハリー・ポッターはビジュアル的には映画のダニエル・ラドクリフさんのイメージがあると思うんです。小説で読まれていた方はJ・K・ローリングさんのあの世界観。数々のハリー・ポッターが世界中で生まれてる中で、自分がその立場になったんだっていうことに気づくまでちょっと時間がかかりましたね。オーディションを受けて、『ハリー・ポッター役、決まりましたよ』って言われ、理解するのに数日間かかったという感じで、嬉しさとちょっとびっくりが半々ぐらいの状態でしょうか。

ーー映画シリーズも有名ですし、1冊目の『ハリー・ポッターと賢者の石』が刊行されたとき、世界的なブームにもなりました。ハリー役、いわゆる『中の人』になるわけですね。

吉沢:そうなんですよ。この舞台作品はあれから19年後なので、これは自分はもしかしたらハリーって名乗れるのかな?と言える一つの要素だったので。この19年後の姿は舞台でしか見られないから、挑戦してもいいのかなという思いはありました。

ーーハリーは小説や映画の中では若く、でも19年経つと結婚もして子供も3人いる。舞台を拝見して、19年経ってもやっぱりハリーはハリー。この19年後というのが絶妙な設定。

吉沢:19年後っていう設定…あのハリーのキャラクターが…19年経つとこうなるんだなみたいな。今回、衣装のフィッティングをしたときに、イギリスのスタッフさんがちゃんと採寸してくださって。なぜこのコスチュームなのかというのがすごく細かく設定されてるんですよ。それぞれのハリーに合った寸法で…そこの一つ一つが、ハリーだからこういう形になってるというのがしっかり創造されている。自分が一所懸命ハリーを演じないとそれが出ないというわけではなくて、そこは一つの要素、あとはハーマイオニー・グレンジャー やロン・ウィーズリーという幼なじみが、大人になったらこういう感じになってるんだというのがしっかり描かれてるので、そこが19年後のハリーはこうなのかもしれないと想像させてくれる要素なんだなと…僕はお客さんとして観たときはそう思ったんです。だからこれから演じる上でも、もちろんハリー・ポッターをしっかり務めるっていう思いを持ちながら、1人で何かがむしゃらに頑張るのではなく、『ハリー・ポッター』は群像劇だと思うので、そこの世界観がどうなってるのかという目線がないと、1人で突っ走っちゃう、頑張ってるハリーは違うのかなと…これが僕の捉え方ですね。

ーーみんな、『こういう大人になるんだ』というのと、ハリーはジニーと無事に結婚してる。

吉沢:2人は結ばれたところも。

ーー先ほどもお話しに出ましたが、舞台をご覧になった感想、ファースト・インプレッションをお願いします。

吉沢:あれから19年後というのが、パンフレットの解説を読んでも、19年後のストーリーが書いてあっても、実際にそのビジュアルを見ないと、すんなり頭の中で理解されないなと思うんです。幕が開いて、目の前で19年後のあの世界の人たちが出てきたときに、こうなってるんだというのがじわじわじわって…話が進むにつれてどんどん19年後の世界に行けるという楽しみ方があったのと、あとはハリーとジニーの子供たち、ドラコ・マルフォイの子供、自分たちの血が繋がっている子たちが、形は違えど、子供のころのハリーが僕らに見せてくれた世界観で、似たような冒険をしている面白さ。さすがしっかりした原作だけあって、この舞台版でもしっかり作られてて、観ていてすごく見応えがありました。あとは映画で見ていた魔法が体感できる、目の前で観れる贅沢さがあるなと思いました。

ーー映画だったら、魔法はSFX(特殊撮影)で何でも出来ちゃいますが、舞台でライブでやるのはどうなんだろうか?と。実際に観ると『すごい、21世紀だ!』、これが40年前だと多分出来なかったんじゃないかと。

吉沢:舞台演出も工夫されて、いろんな方々がいろんなことを試行錯誤して、ここまでやってこられたと思う。イギリスで初演、そこから全世界でどんどんどんどん広がっている理由はちょっとした心遣い、驚かせる要素、ワクワクさせる要素がたくさん詰め込まれている。全世界に広がっていったり上演される理由は、観る人を驚かせる要素やワクワクさせる要素が世界で認められたから、こうして日本まで作品が来てくれたのかもしれないですね。

ーー世界中で、舞台で繰り広げられるハリーの魔法が観れること自体、20世紀には絶対無理だったような気がします。やはり今だからこそ、ですね。

吉沢:そうかもしれないですね。僕は赤坂で最初に観まして、2回目はイギリスで観たんです。1回目もそうだったんですけど、普通にこの19年後のハリー・ポッターの舞台を観に行くぐらいの気持ちでいたら、客席が笑いに包まれて、皆さん、ハリー・ポッターの世界観が大好きで、ハリーが通っていたホグワーツ魔法魔術学校の生徒のような格好をしたり、それぞれの思いで劇場に来られて、ハリー・ポッターってすごい愛されてる作品なんだなと改めて思ったんですよ。イギリスに行ったときも、そういうコスチューム的なことだけではなく、観に来ているお客様はすごく楽しみにしてるのがわかるんですよ。お子さんもすごく多かったし、リアクションがわかりやすいので、ちょっと魔法があるシーンや悲しいシーンがあったら声が出たり、あるいは息を詰まらせたりするのを劇場や客席で肌で感じる瞬間が多かった。本当にハリー・ポッターは全世界で愛されているのを劇場で強く感じましたね。

ーー私も赤坂に観に行ったときはハリー・ポッターのコスプレをされた方々がたくさんいらっしゃいました。ただ観るだけでなく、自分自身がその世界観に入ろうとしていますね。

吉沢:心構えですね、それは感じます。

ーーそこが普通の舞台と違うところかな?と。

吉沢:そうですね。ハリー・ポッターの知識が全くない状態で観てもわかると思いますし、逆に今までのハリー・ポッターの描かれてきた世界観を、小説や映画で少しでも観たり読んだりして舞台に来られると、違った見方もできるかもしれないですね。

ーー7月から新キャストになりますね。Wキャストの平方さんとはテレビで共演したことがあるとお伺いしています。

吉沢:テレビ番組でご一緒したのとインタビューがあって今回で3回目ぐらいですね。

ーーWキャストですと共演は絶対にないですね。

吉沢:時間を共にするのは稽古場だけ、稽古の最中だと思うんですけど、でも彼とはいろんな話が出来そうですね。

ーーWキャストは観る方は楽しみではありますが、演じる方はもうひとりの方が気になるという方もいらっしゃいますし、いや、自分は自分、という方もいらっしゃると思いますが。

吉沢:僕もWキャストで作品に関わるのは初めてなんですよ。自分がどういう気持ちになるかもわからなかったんですけど、平方さんと一緒に本当に短い時間ですけど共にして 、平方さんは平方さんの、僕は僕の演じるハリーがあって、それぞれのハリー、お客さんにとってはいろんな楽しみ方があるんだねと思うところもあります。お互いが違うハリーを “発信”するからこそ、それを惜しみなく出し合う、それでハリーが作り上げられていくんじゃないかなっていう思いがあるんですよ。稽古場で『こういうふうになりました』みたいなのをお互いに出し合えば日本初演から3年目にしてハリーをやる意味も出てくるのかな?と個人的には思っています。

ーーそこはダブルキャストならではの楽しみですね。

吉沢:そうですね。

ーー奥さん役のジニー・ポッターもWキャストですね。

吉沢:家庭を持って子供もいる状況ですが…稽古はこれからですが、僕は今、台本を読んでいて、ハリー・ポッターは魔法省で働いていて、この舞台では描かれてない色々な職務、仕事をしていると思うんですよ。その仕事でも秘密にやらなきゃいけないことがあったりとか、世の中が求めているハリー・ポッターじゃなくなって、ハリーが安心できる場所は家庭だと思うんです。けれど、父と子の確執みたいなところ、心の引っ掛かりがあると思うので…そういったところを稽古中にどう深めていけるかなと考えてます。

ーー舞台で見たときにお父さんと息子、お父さんは仕事に普通に行く、お母さんと比べるとお父さんは子供と一緒にいる時間が長くはない…子供との関わり合い方にちょっと迷いがあるのかなという感じがしました。

吉沢:それは絶対ありますね。長男のジェームズは多分自己主張ができる子なんでしょうね。大変な時期もあったと思うんですけど、なんとか成長してくれているみたいな、アルバスはもっと向き合ってほしいタイプだったのか、たまたま時期的にハリーが向き合えなかったのかわかりませんが、そこのパズルがうまくはまらなかったっていう親子だと思うんですよ。
あれだけ大変なことをやってのけたハリーが、まさか身内のことで悩んでいるっていう…一般家庭でも、魔法の世界じゃなくても、マグルの世界でも、起こり得ること、こういったことで悩んでるというのがすごく共感できるポイントだなと思います。

ーーお父さんが悩んでる姿って逆に親近感が湧きますね。

吉沢:そうですよね。国籍に関係なく共感できますね。

ーーそういうところが作品が支持されている理由の一つではないかと思います。

吉沢:共感できますね。『ハリー・ポッター』っていうと、ちょっと子供が楽しんだり、ほぼショーみたいなもの、そういった先入観がある方もいらっしゃるかもしれないんですけど、19年後に設定されてるというのと、元々J・K・ローリングさんが描いていた子供の頃のハリーもそうですが、ちゃんと人間ドラマが描かれてるので、大人が見てもやっぱり面白い舞台だと思いますし、自信を持ってぜひ劇場に来てほしいなと思いますね。

ーーハリー・ポッターが主人公ですけれども、先ほどおっしゃったように、群像劇、みんなそれぞれいろいろある、抱えているという設定ですね。

吉沢:ハリー・ポッターシリーズって必ずサブタイトルのような、例えば『賢者の石』みたいにお話の核になるようなものが名前の後についていますよね。今回は『呪いの子』で、観た方が『誰が呪いの子なんだろう』って捉えられる。そういう戯曲になってるのが、まさに群像劇の理由なのかなと思いますので、そこが観終わった後に、結局あのタイトルはどういう意味だったんだろう?と感じられる内容になっているなと思いますね。

ーー7月から新キャスト、そして皆様へのメッセージを。

吉沢:僕は日本とイギリスのハリー・ポッターの舞台を観て感じたのは、演じる人が違っても、もちろんストーリーは同じで、それにもかかわらずどちらも新鮮に楽しめた自分がいたんですよ。自分の経験としてキャストが変わったから、また新たなその世界観が生まれるっていうのはあると思うんですね。すでに観てくださっている方の声も届いていてこの舞台を既に愛してくださってる方が吉沢ハリーに対する期待を、僕のハリーを実際に観に来てくださったお客様に対して応えられるようにこれから構築していこうと思っていますし、共演する皆さんの顔ぶれを見ても、お客様がわくわくできるようなキャスティング。ハリー・ポッターの3年目の世界観、魔法の世界をつくれると思います。『私、観たことあるけどもう一回観に行ってみようかな』って思える作品になると思いますし、逆に『ハリー・ポッターやってるのは知ってたけど、行ったことがないんだよね』という方もたくさんいらっしゃると思うんですね。そういう方たちにも、ぜひこの魔法の世界を目の前で体感してほしい。自分が”本当に”魔法が使える状態まで稽古場で落とし込んでいこうと思っているので、劇場で存分楽しんで欲しいなと思います。

ーー舞台、ますます盛り上がりそうですね。ありがとうございました。公演を楽しみにしています。

イントロダクション
ハリー、ロン、ハーマイオニーが魔法界を救ってから19年後、かつての暗闇の世を思わせる不穏な事件があいつぎ、人々を不安にさせていた。魔法省で働くハリー・ポッターはいまや三人の子の父親。 今年ホグワーツ魔法魔術学校に入学する次男のアルバスは、英雄の家に生まれた自分の運命にあらがうように、 父親に反抗的な態度を取る。幼い頃に両親を亡くしたハリーは、父親としてうまくふるまえず、関係を修復できず にいた。そんな中、アルバスは魔法学校の入学式に向かうホグワーツ特急の車内で、偶然一人の少年と出会う。彼は、父ハリーと犬猿の仲であるドラコ・マルフォイの息子、スコーピウスだった! 二人の出会いが引き金となり、暗闇による支配が、加速していく…。

7月からの出演キャスト一覧 ★は継続出演キャスト
ハリー・ポッター 平方 元基/吉沢 悠
ハーマイオニー・グレンジャー 木村 花代/豊田 エリー
ロン・ウィーズリー ★石垣 佑磨/ひょっこりはん/矢崎 広
ドラコ・マルフォイ ★内田 朝陽/永井 大/姜 暢雄
ジニー・ポッター ★白羽 ゆり/大沢 あかね
アルバス・ポッター 佐藤 知恩/渡邉 蒼
スコーピウス・マルフォイ ★西野 遼/浅見 和哉/久保和支
嘆きのマートル 出口 稚子
ローズ・グレンジャー・ウィーズリー 飛香 まい
デルフィー ★鈴木 結里/乃村 美絵/高山璃子
組分け帽子 ★尾尻 征大
エイモス・ディゴリー ★間宮 啓行
マクゴナガル校長 ★榊原 郁恵/★高橋 ひとみ
★秋山 和慶/★安藤 美桜/★安楽 信顕/★荒澤 恵里奈/チョウヨンホ/★半澤 友美
隼海 惺/久道 成光/星 郁也/★伊藤 優佑/亀井 陵市/柏村 龍星/北代 祐太/小結 湊仁
★倉澤 雅美/黒田 陸/松尾 樹/★馬屋原 涼子/仲本 詩菜/★小川 希/★扇 けい/★岡 直樹
★大竹 尚/★篠原 正志/★髙橋 英希/★手打 隆盛/土屋 舞/★上野 聖太/★薬丸 夏子/★横山 千穂
ルード・バグマンの声 吉田鋼太郎

概要
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』
ロングラン上演中
会場:TBS赤坂ACTシアター 上演時間:3時間40分
※休憩あり
主催:TBS ホリプロ The Ambassador Theatre Group
特別協賛:Sky株式会社 With thanks to TOHO In association with John Gore Organization

公式サイト:https://www.harrypotter-stage.jp

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