ファミコンのソフトを思い返すと、『ドラゴンボール 神龍の謎』『スーパーゼビウス ガンプの謎』など、やたらと「〇〇の謎」がついたタイトルが多いことに気づく。
そして、それらのゲームを遊んだ人でも、結局のところ「何が謎だったのか」は不明のまま……というケースも多いのではないだろうか。
そこで「◯◯の謎」と名づけられた有名なファミコンタイトルの「謎」の正体は何なのか、あらためて、その真相を探ってみよう。
■『トランスフォーマー コンボイの謎』
すさまじい難易度の高さで、多くのファミコン世代を絶望させた『トランスフォーマー コンボイの謎』(タカラ)。おもちゃの『トランスフォーマー』や、それをもとにしたアニメ作品がモチーフとなったアクションシューティングゲームだ。
『トランスフォーマー』シリーズの主役といえば、「コンボイ」か「オプティマス」を連想するが、なぜかファミコン版の主人公は「ウルトラマグナス」だった。
これも十分謎に包まれているが、このことはゲームの説明書にしっかりと理由が書かれていた。傷ついて瀕死のコンボイが、ウルトラマグナスを後任の指揮官に指名した、というのが真相である。
そして核心である「コンボイの謎」についても、実は説明書のなかに重大なヒントがあった。
本作の隠しステージのなかには、コンボイを倒した敵の肖像画が登場する。このコンボイのかたきを見つけることが、本作における「謎」とされており、説明書にあった「コンボイの謎とはいったい……」という項には、「どこかのステージにかくされている『デストロンゾーン』『サイバトロンゾーン』をさがせ!」という指令が書かれていた。
これは「コンボイが死んだ!」と銘打たれたキャンペーンの一環で、コンボイのかたきの名前を書いて送ると、抽選でおもちゃがもらえるという企画である。つまり「コンボイの謎」とは、「コンボイを倒した相手」を指し示していたと思われる。
ちなみに1周目のゲームクリア後は、次期サイバトロン司令官「ロディマスコンボイ」に自機が変わるのも、サプライズ的な「謎」といえるかもしれない。
■『ロックマン2 Dr.ワイリーの謎』
手ごわい横スクロールアクションの代名詞『ロックマン』シリーズの2作目が、『ロックマン2 Dr.ワイリーの謎』(カプコン)だ。この「ワイリーの謎」とは結局何だったのか、案外知らない人も多そうだ。
その答えは、同作のラスボス戦までたどり着いたときに明らかになる。ラスボス戦が始まる前に、ワイリーの姿は緑色のエイリアンへと変貌を遂げるのだ。
「これがワイリーの謎だったのか!」と驚いた人もいるかもしれないが、エイリアンを倒したときに、さらなる真実が明らかになる。実はエイリアンの姿は、ワイリーが作り出したホログラムであり、彼の正体でもなんでもなかったのである。
要するに、もともとワイリーに「謎」などはなく、最終戦をドラマチックに演出するためのエッセンスとして名づけられたタイトルということなのだろう。
■『アトランチスの謎』
『アトランチスの謎』(サンソフト)は、あまりにも理不尽なしかけの数々や、クセの強いジャンプ操作でプレイヤーを苦しめた難解なアクションゲームだ。このタイトルにある「謎」とは、何を指しているのだろうか。
説明書を見ると、「アトランチスには、巨大な財宝を基に古代帝国の復活を狙う悪の帝王“ザヴィーラ”が待ち受けているのであった……。がんばれウィン!アトランチスの謎を解け!」と書かれている。
この文面をまっすぐ受けとめるなら、アトランチス島に隠されたさまざまなギミックや、ボスにたどり着くまでの険しい道のり、そのものが「謎」と考えられる。
しかし、ゲームをクリアした人なら、最後にもっと衝撃的な事実が隠されていたことを覚えているはずだ。
最終地点で、主人公のウィンは行方不明になっていた師匠と感動の再会を果たす。だが、その師匠の姿は、なんとファミコンゲーム『いっき』の主人公「ごんべ」とまったく同じだったのである。
西洋風の世界観の主人公の師匠が、なぜか「日本の農民」というギャップこそが、本作「最大の謎」と言っても過言ではない……。
タイトルに「◯◯の謎」と銘打たれながら、その謎が明確にされていないのは、ある意味ファミコン全盛期の「おおらかさ」を表しているのかもしれない。逆に細かいことは気にせず、プレイヤー目線から「謎」の正体を妄想してみるのもおもしろそうだ。