「旧海軍大社基地」全容調査の成果を公開 滑走路の「コンクリート」が語る工事の過酷さ(島根・出雲市)

平和授業でも触れられた旧海軍大社基地の全容調査の成果を紹介する企画展が出雲市で開かれています。

出雲市の出雲弥生の森博物館で開かれている企画展「いつまでも戦後でありたい2024」。
2021年から進められている出雲市斐川町の旧海軍大社基地の調査で得られた成果がパネルや現地で採取されたコンクリート片などの資料を通じて紹介されています。

大社基地は太平洋戦争末期の1945年6月に建設された旧海軍の航空基地です。
滑走路は幅120m、長さ約1.5キロ、当時、西日本最大級の航空基地でした。
滑走路の大部分は戦後長らく、姿をとどめていましたが、おととしから西半分で宅地開発が始まったのをきっかけに、市の文化財課が基地の全容について調査を進めています。

出雲市文化財課・黒田祐介さん:
「厚さ5cmから17cmのものがあり、厚さに相当差がある。盛土の段階で、十分に地面をならすことができなかったため、制約があるなかで作られたことを反映している」

調査の結果、均一に見える滑走路表面のコンクリート舗装には、ところによってムラがあることがわかりました。
建設決定は終戦の5か月前、工期はわずか3か月足らず。
敗色濃厚となった苦しい戦況の下、整地のための重機の調達が間に合わないなど工事の過酷な状況がうかがえます。

出雲市文化財課・黒田祐介さん:
「次の世代に伝え、平和や戦争について考える手助けになれば」

この企画展は10月14日まで開かれています。

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