高血圧、群馬県が最多の理由は「?」 食習慣や生活習慣に注意して《ランキング》

 群馬県は高血圧で亡くなる人が全国最多―? こんな統計を総務省が公表している。県内の医師からは、この結果を疑問視する声が聞かれる。とはいえ、私たちはどんなことに気を付けて高血圧と付き合えば良いのか。医師に注意点を聞いた。

「多い実感はない」

 総務省が2月に発行した「統計でみる都道府県のすがた2024」は「人口・世帯」「自然環境」「健康・医療」など12分野の統計を、都道府県別に一覧できるようにまとめたものだ。

 これによると、群馬県は「高血圧性疾患による死亡者数(人口10万人当たり)」の指標が2021年度、21.1人で全国で最も多いとされる。具体的には高血圧による心不全や腎不全といった心臓、腎臓の病気などが該当する。次いで千葉が16.0人、宮崎が13.6人などと続いた。

 この結果について、はしづめ診療所(前橋市)の橋爪洋明院長(48)は「それほど多い実感はない」とする。通常、死亡診断書の記載に「高血圧性~」はほとんど使わないという。都道府県ごとに死因の定義が異なる可能性や、群馬県に「高血圧性~」を使いがちな医師がいるといった「統計的な問題で引っ張られている」可能性を指摘した。ほかにも県内の複数の医師がこの結果を疑問視している。

減塩や運動が重要

 ただ、高血圧は多くの人が付き合う病。健康診断で指摘を受ける人も多いのでは。橋爪院長によると、高血圧の要因は食習慣や生活習慣の影響が大きい。

 日ごろ気を付ける点として、食事の味付けを工夫して塩分を減らしたり、近くの買い物は歩いて行く、階段を上るといった運動を取り入れたり、生活習慣の改善が重要だという。「車社会」で運動不足になりがちな群馬県では「日常生活にどれだけ運動を取り入れられるかが鍵」と話す。ちょっとした時間に屈伸やかかと上げ運動をするなど、継続が大事だ。

 家庭で日常的に血圧を測定、管理する習慣をつけるのも良い。毎日、朝と夜に測り、目安は上が125、下が75。橋爪院長は「生活習慣を見直すこと、家庭でも血圧を管理することが大事。高い場合や良くならない場合は医師に相談を」と呼びかける。

高精度の家庭用血圧計 30代から測って

 医療機器メーカーの日本精密測器(渋川市)は1965年から、医療機関や家庭向けの血圧計を製造、販売する。同市の本社工場のほか中国・蘇州市に製造拠点を持つ。

 製品は測定精度にこだわりがある。家庭向けの上位モデルには不整脈の検出機能を備えたものもある。価格帯は安いもので5000~7000円、上位モデルも1万円ほど。高齢者や、健康診断で医師の指摘を受け始める40~50代の購入が目立つという。ただ、籔田学技術部長(56)は「本当は30代から測ってほしい」とすすめる。

 血圧計は他社との差別化が難しい中、同社は大画面で見やすさを向上させ、デザイン性も磨くなどしてブランド化を目指している。籔田技術部長は「高血圧はいろいろな病気につながる。普段の健康管理に使って」とアピールした。

 同社は血圧計のほか、血中酸素濃度を測定するパルスオキシメーターなども製造。コロナ禍では増産要請に応じて経済産業省から感謝状を贈られている。非接触式の体温計や放射能の線量計なども手がけている。

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