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長年、京都府警で凶悪事件の捜査に携わってきた熊本出身の元刑事が、自らの経験を基にした警察小説を出版しました。
地道な事件捜査をリアルにつづった作品には元刑事の「信念」が詰まっています。
【ルーペをのぞく中園さん】
「一番端っこの、これみたい」
刑事の目、デカ眼。老眼だからはなく、写真を見るときは丁寧に愛用のルーペ。元刑事は定年退職後も、目つきが一瞬で鋭くなり、現職時代の癖で日々の出来事を細かく記録します。
【中園 修二さん】
「交番で1年ほど勤務して車の免許を持っていたからすぐパトカーに乗せられた」
上天草市龍ヶ岳町出身の元京都府警捜査一課長、中園修二さん77歳。玉名高校を卒業後、1970年、昭和45年に警察官を拝命。
熊本弁のなまりを先輩にからかわれながらパトカー乗りとして警察官人生を歩み始め、定年退職して3年前にふるさと熊本で隠居生活を始めました。
【中園さん】
「殺したり殺されたりして散髪屋で3人くらい殺されたな。京都は激しかったですね」
刑事になった中園さんは暴力団捜査に長年従事し、山口組と京都の地場組織会津小鉄会の激しい抗争事件を担当。その後、殺人などの凶行犯を担当する捜査1課畑を歩んで、たたき上げの刑事は2005年に捜査第1課長に就任しました。
「捜査1課長になって記者会見がうっとうしかった。熊本弁なまりが出てきますからね」
定年後は、刑事ドラマの台本にアドバイスをする『警察監修』やドラマの台本を書き始めた異色の元捜査1課長。
去年、刑事時代の記憶と警察学校で刑事の卵を育てた経験を基にした小説『刑事教官の執念』を書き下ろしました。
現役時代の自らの姿とネタを積み上げ容疑者と向き合う調べ官の姿が描かれています。
【中園さん】
「小さいころの生い立ち、生活環境や交友関係を頭にたたき込んでボディーブローを利かせていって徐々に自供させる」数々の捜査本部を仕切ってきた中園さん。「一流の刑事は当たり前のことを地道にやる」が信念です。
「しっかり捜査して地道にやる奴を取り調べ官に抜擢していた。刑事は飛んだり跳ねたり動きのいい奴をいい刑事だと思いがちだが、僕が見たのは地道にコツコツやる刑事、あまり目立たない奴に調べ官に指名してやらせていた」
元1課長は決して作家を「第二の人生」にしているわけではありません。
「元刑事としてできることはこれくらいですわ」。
これまで書いた作品の印税は無念の死を遂げた被害者の遺族支援に届けています。
緻密な原稿はまるで取り調べ調書。
その筆の先には弱きを助け、強きをくじく名刑事の熱い思いがあふれています。