大阪府の公立中学校のハンドボール部で、顧問だった教師の指導を受けて部員が丸刈りにしていた問題で、豊中市教育委員会はこの教諭について停職3カ月の懲戒処分としました。
処分を受けたのは、豊中市立の中学校でハンドボール部の顧問をしていた48歳の男性教師です。
豊中市教育委員会によると、元顧問は3年前、ハンドボールの部員が課題を遅れて提出したことなどから、部員に対し、「こういう時は先輩たちは丸刈りにしてきた」と指導しました。
その結果、12人の部員全員が、丸刈りにしたということです。
元顧問は、市教委の聞き取りに対し「強要はしていない。圧をかけたといわれるが子どもが決めたことである」と話しているということです。
市教委は「部員を精神的に追い込み、連帯責任として自主的に丸刈りを行うよう至らしめた」としています。
■余った遠征費を返金せず物品の購入に使ったという
【豊中市教育委員会 長坂吉忠事務局長】「子どもたちがとった連帯責任としての反省の行為としての丸刈りは、やめるように指導すべきだったと考えている」「事実上認めたということで、加担していったということと捉えてもそれほど大差ないのではと思っている」
市教委は「部員の尊厳や意思を尊重せず、精神的苦痛を与えた」などとして、停職3カ月の懲戒処分としました。
また、元顧問は、遠征のために集めた徴収金について、当初の計画より宿泊日数が1泊減り、およそ9万円が余ったにも関わらず、保護者の同意を得ることなく返金しなかったということです。
元顧問は「部活で使用する物品の購入などに使った」と説明しています。
■菊地弁護士は別の指導の仕方があったと指摘
豊中市の教育委員会によりますと、一部の生徒が、学校の課題の提出が遅れたということです。生徒が所属しているハンドボール部の元顧問は、『先輩たちは丸刈りにしてきた』と過去の事例を引き合いに出して指導。その言葉を受けて、全部員12人が丸刈りになりました。元顧問は、発言はしたものの、強要はしていないと主張しています。
またこのほか、退部を申し出た部員の胸ぐらをつかむ、遠征費を保護者の同意なく流用するといったこともあり、すべてを含めて停職3カ月の処分が下されたということです。
【吉原キャスター】「元顧問は丸刈り強要はしていないと主張してるんですが、この主張というのは通るんでしょうか」
【菊地幸夫弁護士】「強要してないって言うのでしたら、こういう時には先輩たちが今までこうしてきたんだっていうそれ例を出す必要はない。課題を忘れたことは別のやり方で指導すれば良いと思いますけどね」
【吉原キャスター】「民事上の法的な責任というのは問われないんでしょうか」
【菊地幸夫弁護士】「責任はありうると思いますね。丸刈りに関しては、40年後ぐらい前に校則が問題とされた際に、セーフという判決が1回出たんです。でも40年たった今の時代、本人は丸刈りを強要してないということですが、事実上そうなったということは、慰謝料を支払いなさいという判断が出てもおかしくはない事案だと思いますね」
「遠征費の一部を保護者の同意なく流用ですから返金しなかったこのことについてはこれはもう社会人としての常識ですよね。お金に関してはそのあの保護者から預かってるお金ですから、それは明朗会計できちっと明細を出すのは常識です。そこは反論の余地がないですね」
「そこも含めて停職3カ月という、処分の程度については、若干重いかなと。教育委員会の方が重大と認識しているっていうことだと思います。顧問を例えば3カ月辞めるのではなく、停職ですからね」
傷ついた生徒がいることは事実です。他により良い指導の仕方はなかったのでしょうか。
（関西テレビ「newsランナー」 2024年7月4日放送）
