【インタビュー】ν[NEU]、完全完結を掲げたバンドのラストメジャーデビューアルバムに永遠「一発録りによる今の音を」

ν[NEU]が7月3日、ワーナーミュージック・ジャパンよりラストメジャーデビューアルバム『N.ever』をリリースする。2011年にメジャーデビューを果たしたν[NEU]は2014年12月、渋谷公会堂のライブを最後に解散。その後、2020年に1年間の限定復活を果たすものの、コロナ禍に見舞われたこともあり、ライブがキャンセルに。さらにはギタリストの華遊がプライベートな事情により参加できなくなったりと、想定外のことが続いた。ちなみに解散以降、ヴォーカルのmitsu以外は音楽を離れ、復活以降も各自の仕事と音楽を両立。そんな中、ツアー中のある日、リーダーでベーシストのヒィロが「もう一度メジャーデビューしたい!」とメンバーに投げかけたことで、ν[NEU]を“完全完結”させるという流れが決まっていった。

結成から完結までの15年の集大成となったFINAL BEST盤『N.ever』は豪華盤15曲(通常盤は13曲)のうち、13曲が4人がスタジオに集まって文字通り、一発録りした2024ver.となるもの。ν[NEU]のライブの最後を飾ったナンバーでもある1曲目「everlasting light」と解散ライブで配布された最後の曲「エンドロール」に関してはアレンジを大きく変えて再録音された“リアレンジver.として収録されている。

ν[NEU]は7月7日から<LAST ONEMAN tour『N.ever』>と題し、全13箇所のラストワンマンツアーを開始。2025年1月4日(土)に渋谷公会堂(LINE CUBE SHIBUYA)にて開催される<ν[NEU] since2009〜2025 FINAL LIVE『エンドロール 〜何よりも大事な君に〜』>が最終ゴールとなる。

「復活後はバンドをやるためというより、このメンバーと一緒にやりたかったから集まった」と振り返るのはmitsu。それほどまでに信頼し合っているのに、ν[NEU]はなぜ、“完全完結”という道を選択したのか? そして、最終的に目指す“永遠”というゴールとは? 4人にたっぷり話を聞いた。

▲FINAL BEST盤『N.ever』
◆ ◆ ◆

■音楽人生を終わらせる選択をすれば■もう一度ν[NEU]に本気になれる

──ラストメジャーデビューアルバム『N.ever』のリリースに加えて、2025年1月4日の渋谷公会堂(LINE CUBE SHIBUYA)ワンマンまで、“完全完結”のゴールに向けて活動中のν[NEU]ですが、バンドを終わらせることにした経緯を教えてください。

ヒィロ:遡ると僕たちは、2014年12月29日の渋谷公会堂ライブを最後に解散したんですね。その後、メンバーが再会したのが2019年。当時は“完結させよう”という気持ちは全くなくて、2020年6月から2021年7月まで「1年間限定復活しよう」「またν[NEU]をやろうか」って感じだったんです。とはいえ、コロナ禍で思うように活動ができなかったんですけどね。

mitsu:「いったん集まって1年間やってみようよ」って。メンバーでもう一度集まるのが一番の目的でしたね。

ヒィロ:「もう一回、ν[NEU]に時間を費やしてみよう」って。解散以降、mitsuくん以外はそれぞれ別の仕事に就いていたんです。ギターのタクミはホストで、ドラムのЯeIは飲食業で、僕は美容業。諸々、仕事や家庭の事情があって参加できなくなったギターの華遊くんは就労支援の仕事をしていましたね。

mitsu:さらに遡ると前身バンドから含めてν[NEU]の初期メンバーで残っているのはヒィロだけなんですよ。その後、前のボーカルとギターが脱退してヒィロとЯeIの二人だけのν[NEU]に自分とタクミ、華遊が入ったんですが、僕が加入する決め手となったのは「2年以内にメジャーデビューする。できなかったら解散する」っていうヒィロの言葉だったんです。昔から僕らは「やるか、やらないか」「0か100か」みたいなバンドなんですが、今回はヒィロが音楽活動を引退するということで完全完結という形になったんです。

▲mitsu (Vo)
──なぜ、そう思われたんですか?

ヒィロ:コロナ禍で計画していた1年限定の復活活動ができなくなったこともあり、2021年から2022年にかけてはキャンセル料の返済もあって、不純というか濁った状態でν[NEU]をやらざるを得なかった。返済の目処が見えたのが2023年からの活動だったんですが、僕らの結成記念日の7月1日に新宿BLAZEでのライヴが終わって、家に帰った時に、“音楽人生を終わらせる選択をすれば、もう一度ν[NEU]に本気になれる。今度こそ最高の形で終わらせせよう”って思ったんです。あと、自分が思っていた以上にバンドに対する後悔があることに気づいたんですね。

──というと?

ヒィロ:2014年に解散を発表した時、僕たちはファンの子達に終わる理由を明かさなかった上、発表して2ヵ月後に突然いなくなってしまったことを後悔していて…。これをメンバーに言うとバカにされるんですけど、今は“ν[NEU]を伝説にしたい”と思っています。

mitsu:ははは。周りから言われるならいいんですが、自分から言うのはダサい(笑)。

ヒィロ「伝説のバンドになるぞ!」って。

──デビュー前に「メジャーデビューするぞ」って言っていた時のテンションに戻ったんでしょうか?

ヒィロ:いや、このテンションはずっとあるんです(笑)。バンドが解散した時も「俺はエスティティシャンになる」と言ってて。基本、言ったことは全て叶えてきているので、“ν[NEU]みたいな復活をしたい”とか“ν[NEU]みたいな復活をしてほしい”って、バンドマンにもファンにも思ってもらいたいっていうのが僕の中にあるんです。今の目標は当時の解散ライブと同じ、渋公完全ソールドアウトです。

▲タクミ(G)
mitsu:さっき言っていた“やらなきゃいけない時期”を超えて、“やりたいことをやる”にシフトしたと思うんですね。ヒィロは昔からユーザー目線も持ち合わせているミュージシャンであり、ずっとν[NEU]を支えてきたので、ちゃんと終わりを決めて活動したいということであれば、それが一番いいと思うんですよ。

──メンバーも同意したんですね。

mitsu:同意したというか、“ヒィロがν[NEU]だ”と思っているところがあるので、今、できることがゴールを決めてやることなんだなと捉えてましたね。

──タクミさんとЯeIさんはどう受け止めましたか?

ЯeI:僕は一番ヒィロと付き合いが長いので、想いを聞いて“最後までとことん一緒にやりたいな”って。それだけですね。“一緒に終わろう”って。

タクミ:自分もこのメンバーだからやっているところがあるので、“そうしよう”って。それぐらいフラットにやらせていただいています。

──タクミさんにとって、この3人だからこそ、と思える魅力とは?

タクミ:自分にとっては空気感がちょうどいいんですよね。居心地がよくて自然体でいられる。そんな空間だからこそ、自分が好きなようにやれるし、無理しないでいられるんです。

mitsu:自分はソロ活動を始めてもうすぐ10周年なんですが、ν[NEU]を解散してからバンドを組んでないんですよ。3人も音楽活動をやめていたし。だから、バンドというよりν[NEU]のメンバーとやるという意識です。

▲ヒィロ(B)
──では、迷いなく完全復活を決めた時からメジャーでアルバムを出そうと思っていたんですか?

ヒィロ:これがまた違うんですよ。

mitsu:全く予想と違いました。

ヒィロ:本来だったら、1年ぐらい前から“もう一回メジャーデビューするぞ!”とか“音源出そう”って感じなんでしょうけど、去年7月1日の周年ライブの時には全くそんな想いはなかったんですね。

mitsu:リリースも考えてない。

ヒィロ:むしろ音源は出さないつもりでしたから。

mitsu:ちょっと話は戻るんですが、復活してから活動していて楽しかったんですよね。最初は楽器にずっと触っていなかったメンバーもいるので、“どうなるんだろう?”と思っていたんですが、タクミが言った空気感じゃないけど、しっくりきてライブに手応えを感じたんです。“練習してないのに、なんで成長するんだ?”って思ったんですが、たぶん、各自が別々の生き方を選んで自立したことで、他のメンバーのことを考えられるようになったり、視野が広がったんですかね。そういう経験によって音楽が成長することへの喜びを感じていたところに、ヒィロが「メジャーデビューしたい!」って言い出したんですよ。

▲ЯeI (Dr)
ヒィロ:はい。その頃からメンバーが自分たちの音楽に自信を持ち始めて、ドライヴがかかったんですよね。過去の楽曲を新たにアレンジしたり、ライブの伝え方が変わってきたんです。もう一度、メジャーデビューしたかった理由のひとつは、シンプルに子供みたいな気持ち。もうひとつはν[NEU]が過去メジャーデビューしたことと関係があるんです。東芝EMI、ポニーキャニオン、ユニバーサルミュージック、ソニーミュージックの4社と契約して活動してきた中、当時はいろいろな大人の方と関わらせていただき、いつしか音楽を作る楽しみが、CDを売らなきゃという気持ちに変わっていったんですね。要するに大きな渦の中に巻き込まれてしまった。

mitsu:CDを出さなきゃ、曲を作らなきゃって。

ヒィロ:そう。どんどん純度がなくなっていって、誰かのせいにしていたのをみんなが覚えているんです。でも、あれから月日が過ぎて、それぞれが独立している今だったら、渦の中に巻き込まれない、負けたりしないと思ったんですよね。つらい経験もたくさんしましたが、僕たちはメジャーにいくことによって、見たことのない景色やいろいろな方に出会えてよかったと思っているんです。だからこそ、もう一回、想像ができない未来を見たかった。で、ツアー中に狭いホテルの部屋の中にマネージャーを含めたメンバーを呼んで「メジャーデビューしよう」って。それが今年3月のことですね。

mitsu:昔からそうなんですが、前もって決まらないバンドなんですよ。7月に五度目のメジャーデビューするにはどうしたら間に合うんだろう?って。

──普通は間に合わないです(笑)。

mitsu:ははは。その唐突な提案に「何言ってるの?」じゃなく「じゃあ、やるか」ってなるのがν[NEU]なんですよ。そもそも2019年に復活した時も「僕は音楽を続けているから、バンドをやりたい意欲はわかるけど、なんで不安定でリスクもあるのに、もう一回音楽をやりたいの?」って聞いたら「いろんなことを経験したけど、音楽でしか味わえないワクワクをもう一回経験したい」って言われて「だったら納得できるよ」って答えたんです。きっと今回もヒィロの中ではメジャーデビューすることにワクワクを感じたんだろうなと。そんなスピード感だったので、取材を受けている今も実際は、「なんでBARKSみたいな大きな媒体のインタビューを受けているんだろう?」って(笑)。僕自身、ЯeIの「ヒィロについていこう」、タクミの「ありのままでいられるから、このメンバーなら全部OK」という感覚に近いですね。こんなに一緒にいて面白いメンバーはいないので。

■生命を削ってやったので■もう二度とやりたくない(笑)

──では、アルバム『N.ever』の話をお聞きしたいのですが、本作は15年の集大成として届けられるもので、ヴィジュアル系バンドν[NEU]の再録音FINAL BESTです。最初から新曲を入れないと決めていたのですか?

ヒィロ:ワーナーさんと契約するに当たって、繋いでいただいた方から「新曲を出してほしい」って言われてはいたんですよ。でも、「無理です」って。「なら、厳しいかもしれない」ってことだったんですが、「無理でもメジャーデビューしたいんです」って(笑)。

mitsu:これがヒィロなんですよ(笑)。

──だんだん、わかってきました。

ヒィロ:作ろうと思えば作れるんですけど、そもそも、僕たちバンドが壊れた原因を自覚しているので。

mitsu:作りたくて作った曲じゃないと、出す意味がないと思ったんですね。

▲mitsu (Vo)
──それで、ベストではあるけれど、豪華盤の全15曲(通常盤は13曲)が一発録りのテイクで、1曲目「everlasting light」と最後の曲「エンドロール」がアレンジを変えて再録音という形になったんですか?

ヒィロ:そうですね。

──一発録音とは思えないテイクでした。

mitsu:ありがとうございます。同じスタジオに楽器陣がいて、自分は窓がある隣のブースでその音を聴きながら歌ってました。

ヒィロ:23時から朝の6時まで野方のスタジオNOAHを借りて。ЯeIはお店で働いた後に来たんです。

ЯeI:仕事が終わって直行でした。

mitsu:ホントに一発なんですよ。1日で深夜帯に録音したので、スタミナも含めてこういうやり方しかなかったんですね。通常は環境的にも“いいものを残そう”って録音に臨むと思うんですが、なぜ一発録りにしたかというと、もちろん時間的制約もありますが、ν[NEU]はずっと音楽をやり続けてきたわけではないから、今の音をパッケージすることが大事なんじゃないかという話になったんです。「最後なんだから良い音より今の音を残さないと意味ないよね」って。結果、やってみて学びになりました。一発だから“ミスしたらそれも含めて今の自分だ”っていう感じなんですが、復活以降のライブが自信になったんでしょうね。今の音を録ればライブ感が出るし、これが僕らの正解だなって。ただ、生命を削ってやったので、もう二度とやりたくないです(笑)。

▲タクミ(G)
──一発録りはやっぱりスリルがあると思うんですよ。

タクミ:自分の場合、レコーディングという感覚では臨んでなかったんです。いつものスタジオと同じように普通に弾いていました。気にせずいつも通り。

mitsu:最初のコメントと同じだね。自然体で。

ヒィロ:タクミはライブでもほぼミスしないですから。

──そうなんですか? なぜ?(笑)。

mitsu:パフォーマンスしないから?

タクミ:それもありますし、A型気質が出ているのかもしれない(笑)。

mitsu:ライブの見せ場でバンドマンが前に出て暴れて弾くことってあると思うんですが、タクミはそれより、きっちり弾くことを優先させるんです。

タクミ:解散前は周りと比べることもあったんですが、復活してからはそういう意識がなくなって、“自分は自分”というスタイルを貫こうと思ってやってます。

▲ヒィロ(B)
──ある意味、悟りの境地ですね。

タクミ:たぶん、そうです。

ЯeI:僕もタクミと一緒で、力抜いて普通に楽しもうって。

──一発録りには失敗できない緊張感が伴いそうです。

ЯeI:ミスしないようにっていう感覚はなかったですね。

mitsu:「ミスしてもいい」って言ってたもんね。

ЯeI:「RED EMOTION 〜希望〜」のテイクはやばいっすね(笑)。

mitsu:デビューシングルなのに、やばいって(笑)。

ЯeI:ミスしちゃった部分もそのまま入ってます。

mitsu:この4人の中で、一番楽器に触ってなかったのがЯeIなのに、今までで一番いいドラムを叩いてました。ミスって言いましたが、13曲続けてドラムを聴いた時は震えましたよ。タクミ同様、精神面で凌駕したところがあるのかもしれない。

タクミ:悟りですかね(笑)。

▲ЯeI (Dr)
──「スプラッシュ!」のイントロでは、スタジオの空気が伝わる台詞が冒頭に入っていますよね。

mitsu:はい。実際、時間との勝負だったので1曲歌っては深呼吸して次の曲って感じで録っていったんですよ。ボーカル録りで、そんなことありえないじゃないですか。前半は高揚感で楽しかったんですが、途中、自分が堅くなってきたのを感じたので、イントロで「解散ライブみたいな気持ちでやってますわ」ってポロって言ったら、それがすごくリアルだったので音源に残そうって。録音=記録するという観点からも一発録りは、やって良かったですね。

ヒィロ:そうだね。

mitsu:僕らがいなくなっても、完結後に今回のCDを聴く方は「ν[NEU]のライブってこんな感じだったんだ」って絵が浮かぶような作品にしたかったんです。曲目も今のν[NEU]のライブベスト。この15曲をそのまま通しでライブでできる自信はあるので。

ヒィロ:解散前は北海道から沖縄まで全国を廻っていたんですが、復活後は本数が少なかったこともあって、前から知っていて僕らのライブを見に来られた人は半分にも満たないんじゃないかと思うんです。今回のベストは荒削りな部分もありますが、今のν[NEU]のライブに近いテイクなんじゃないかなって、録り終わった後に感じましたね。

■『N.ever』は二度とない(never)という意味であり■ν[NEU]を永遠に(ever)したいという想いを込めて

──そしてアレンジを変えて再録音した1曲目「everlasting light」、最後の曲「エンドロール」は解散公演の渋谷公会堂のライブタイトルでもありますし、2曲とも思い入れが深いのではないかと。

ヒィロ:そうですね。

mitsu:今、おっしゃっていただいた2曲は、どちらもシングル表題曲ではないんですね。「everlasting light」はシングル「妄想日記」(2013年発表)のカップリングで、「エンドロール」は当時の解散ライブでの配布曲。でも、両方とも僕らのライブの最後にやる曲なんです。ファンと一緒に育ててきた曲なので、「解散から10年たった今、この2曲をメインにして、ちゃんと形にしよう」と話した上でこういう形になりました。

──今のν[NEU]ならではのアレンジで?

mitsu:はい。ライブでずっとサポートしてくださっている夢時さんがツインギターの一方を弾いているんですが、夢時さんはタクミと華遊の師匠でもあるんです。この2曲も今のν[NEU]を追求したアレンジですね。

ヒィロ:僕個人は、この2曲のベースアレンジをka-yu (ex. Janne Da Arc)さんにお願いして、ka-yuさんからお借りしているka-yuさんオリジナルベースでレコーディングしたんです。中学生の時にJanne Da Arcを知って“この人になりたい!”と思ったのが僕がベースを始めたきっかけであり、そのときにヴィジュアル系のバンドマンになろうと思ったんですね。今は一緒にお仕事をさせていただく機会もあったり、僕のベースの師匠なんです。

──そうだったんですね。そういえばヒィロさんは、イベント<ABC vs Janne 〜Respect Cover2man LIVE>の発起人のひとりでもありますし。

ヒィロ:少年時代にka-yuさんのベースに救われて、僕自身もバンドを組んでたくさんの夢を叶えてきました。今回、憧れの方に自分たちの楽曲のベースアレンジをしていただいたので、僕は心おきなく引退できるんです。今はゴールに向けてとにかくワクワクしていますね。

──では、全体的には録音方法や環境は違えど、今のν[NEU]がテーマというか。

mitsu:あと、アルバムジャケットのタイトルの“N”が手書きになっているんです。ヒィロと考えたんですが、復活するに当たって設立した会社の名前が“N.ever”だったので、“もう二度とない”という意味が今のν[NEU]と重なると同時に、“N”をとったら“ever”で「everlasting light」じゃないけど、ν[NEU]を永遠にしたいという意味合い。その両方を込めてアルバムのタイトルを決めたんです。手書きで書いた“N”は上がって下がってもう1回上がる線となるので、メジャーデビューして解散、一度絶望を味わった僕らが、もう一度、あの頃のピークを更新するという想いを込めてます。

──ν[NEU]の曲は基本、メロディックでキラキラしていますが、楽曲にも歌詞にも闇と光があり、一筋の光やひとつの希望が浮き彫りになる。そんな共通点を感じました。

mitsu:デビューシングルが「RED EMOTION 〜希望〜」だったように、そもそもν[NEU]のコンセプトが希望なんですよ。バンドを始めた時は初期衝動だったり、何かしらに希望があって、僕はバンドが希望だと思っていたんですが、解散後、ソロになって鬱になったこともあったし、月日が経つうちに自分が信頼できる好きなメンバーと一緒にいることが希望なんだなって感じるようになったんです。希望の意味はわかっていたつもりだったんですが、絶望を知った今のほうが解像度が高くなっているなって。なので、今さらですが、今はν[NEU]が希望だって何の恥ずかしげもなく言えるんです。当時、書いていた歌詞にも“こんなこと歌っていたんだな”って良い意味で思うし、“今だからこそ、この歌詞をもっとちゃんと歌えるな。続けてきてよかったな”って。だから、そういうふうに言っていただいて嬉しいですね。

──今、初めて聴いても刺さると思います。光に溢れているのではなく、一筋の光だからこそ。

mitsu:一筋の光が見える時って、周りは暗かったりするんですよね。孤独の中にいて小さな穴や出口から刺してくる光。人はみんな孤独を知っているはずだと思うので。

ヒィロ:mitsuくんが言ったようにつらいことがあるから、楽しいことの価値がわかったりするんですよね。僕らも解散を伝えたあと絶望を感じて、それぞれが孤独の中、生きていくための選択をしてきた5人が再び集まった。同じ集合体でも強くなったと思うし、今のほうが希望の大きさを感じています。

──では、7月7日からスタートする全13ヵ所のラストワンマンツアー<LAST ONEMAN tour『N.ever』>に今、思っていることは?

ヒィロ:本当なら「ラストツアーはこういう気持ちで廻って行きます!」とか明確な目標があるべきなのかもしれないんですが、正直ないんですよ。

ЯeI:今はスケジュール的にハードでしんどいんですけど、すごく充実しているんです。やっとドラムが伸び伸び楽しく叩けるようになりました。復活当初は不安があったんです。

mitsu:「叩けるかな」って言ってたもんね。

ЯeI:なので、ラストツアーもとにかく自分が楽しんで全箇所廻りたいっていう気持ちしかないですね。

タクミ:限られた本数ですが、最後というのは特に意識することなく、バンドがなくなったとしても、メンバーとの繋がりが切れるわけではないから、あまり悲しさは感じてないですね。

mitsu:そうだね。悲観的ではないね。

ヒィロ:10年前とそこが違うよね。前はもう会えなくなるとか、終わることにつらさも感じていたので。

──最後に完全完結のゴールとなる1月4日の渋谷公会堂(LINE CUBE SHIBUYA)で目指すのは、“永遠”ということですが、その意味について教えていただけたらと思います。

michi.:僕は、昔も今も“永遠”は存在しないと思ってるんです。だからこそ、チャレンジしたいですね。ずっと知らないことを知りたくて旅している感覚があるので、ツアーはこのメンバーと行く船旅みたいなものなんです。新しいところに行きたいし、“永遠なんてないだろう”と思っているからこそ、自分の価値観を超える出会いが待っているかもしれない。もしかしたら“ゴール”の先に永遠があるのかもしれないし。僕はヒィロのように引退すると決めて歌ったことはないですが、ν[NEU]で終わりを決めたんだから、もしかしたら知らないものを見つけられるかもしれないと希望を持って旅をしたいと思います。

ヒィロ:“永遠”って僕らじゃなく、ファンが作るものなんじゃないかと思うんですよ。解散して10年経ったバンドにお客さんが集まってくれるってすごいことだなって、復活して日が経つほど思うんです。昨日もFC旅行でね。

mitsu:そう。お母さんと一緒に9歳の女の子が来てくれたんです。その女の子はν[NEU]が存在していなかった時代に生まれ育って、昨日もすごく楽しそうにしてくれていたんですね。そういうことがヒィロが言う“ファンが永遠にしてくれる”ということなんじゃないかなと。

ヒィロ:永遠を探している僕らが、それを残すために刻んでいく旅なのかなって。そのためにも一番カッコいい姿でν[NEU]を終わらせたい。

mitsu:そうだね。

ヒィロ:目に焼き付けてほしい。そうすれば、バンドって永遠になれるのかなと思いますね。

取材・文◎山本弘子

■ラストメジャーデビューアルバム『N.ever』

2024年7月3日リリース
購入リンク:https://warnermusicjapan.lnk.to/N.ever

【CDA豪華盤】WPCL-60074 ¥8000(税込)
※ワーナーミュージックサイト独占販売限定盤(サイン&購入者の名前入り)
・デジパックジャケット
・全32Pスペシャルブックレット&ロングインタビュー入り
▼CD15曲入り
01. everlasting light(リアレンジver.)
02. PULSE(2024ver.)
03. LIMIT(2024ver.)
04. スプラッシュ!(2024ver.)
05. エコー(2024ver.限定版のみ)
06. RED EMOTION ~希望~(2024ver.)
07. 恋模様(2024ver.)
08. YES≒NO(2024ver.)
09. cube(2024ver.限定版のみ)
10. APOLLON(2024ver.)
11. The 25th Century Love(2024ver.)
12. 妄想接吻(2024ver.)
13. ピンクマーブル(2024ver.限定版のみ)
14. ひとりじゃない(2024ver.)
15. エンドロール(リアレンジver.)

【CDA通常盤】WPCL-13593 ¥3500(税込)
・通常ジャケット
▼CD12曲入り
01.everlasting light(リアレンジver.)
02.PULSE(2024ver.)
03.LIMIT(2024ver.)
04.スプラッシュ!(2024ver.)
05.RED EMOTION ~希望~(2024ver.)
06.恋模様(2024ver.)
07.YES≒NO(2024ver.)
08.APOLLON(2024ver.)
09.The 25th Century Love(2024ver.)
10.妄想接吻(2024ver.)
11.ひとりじゃない(2024ver.)
12.エンドロール(リアレンジver.)

●協力店用特典DVD
2024年3月2日 渋谷REX公演映像
<通常盤>
▼先着購入者特典
・タワーレコード:2曲入りライブDVD(タワーレコード Ver.)
「カレイドスコープ」(音源未収録曲)
「LIMIT」
・HMV:2曲入りライブDVD(HMV ver.)
「最愛と渇望の日々」(音源未収録曲)
「YES≒NO」
・上記以外の応援店:2曲入りライブDVD(メーカー特典 ver.)
「Jumping Lady!」(音源未収録曲)
「ピンクマーブル」
・Amazon:メガジャケ

■<フリーライブ『スプラッシュ!』&『N.ever』アルバム特典会>

7月15日(月/祝) 東京・池袋サンシャインシティの噴水広場アルパB1
▼第1部
フリーライブ:11:30~12:00
特典会:12:15~13:30 ※撮影会(緑衣装)
▼第2部
フリーライブ:14:30〜15:00
特典会:15:15〜16:30 ※サイン&握手会(黒金衣装)
▼第3部
フリーライブ:17:00〜17:30
特典会:17:45〜19:00 ※撮影会(黒金衣装)

※当日会場にてCD(通常盤)をお買い上げいただいた方は特典会にご参加いただけます。
※3部制。ライブ/イベント共に各回内容が違います。
※CD(通常版)ご購入いただいた方には、先着順でステージ前のスペシャルシートでご観覧いただけます。
※当日、3部全ての特典会参加者は8月25日(日)に都内某所で行われるプレミアムアコースティックライブ&トークイベント<in my secret...>に無料招待。詳細は後日発表。
(問)ワーナーミュージック・ジャパン カスタマー・サービス・センター
https://wmg.jp/inquiry.php

■ν[NEU] ラスト主催イベント<New Future〜新未来〜>

2024年7月6日(土) 東京・Spotify O-EAST
open14:45 / start15:30
▼出演者
ν[NEU]、 DOGinTheパラレルワールドオーケストラ、Royz、甘い暴力、キズ、mitsu
▼チケット
前売¥6,000+Drink代
当日¥6,500+Drink代
一般発売:6/15(土)10:00

■<ν[NEU] since2009〜2025 LAST ONEMAN tour【N.ever】>

07月07日(日) 渋谷REX【15th Anniversary ファン感謝祭】
07月21日(日) 神戸VARIT
08月04日(日) 広島SECOND CRUTCH
08月17日(土) 新横浜NEW SIDE BEACH!!
09月14日(土) 札幌cube garden
09月15日(日) 札幌cube garden
09月28日(土) 名古屋ELL【ReI バースデー】
10月12日(土) 金沢AZ
10月19日(土) 仙台MACANA
11月03日(日) 福岡Be-1
11月10日(日) 大阪MUSE【mitsu バースデー】
12月01日(日) 渋谷REX【ヒィロ&タクミバースデー】

■<ν[NEU] since2009〜2025 FINAL LIVE『エンドロール 〜何よりも大事な君に〜』>

2025年1月4日(土) 東京・渋谷公会堂(LINE CUBE SHIBUYA)
※詳細後日発表

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