英総選挙、野党労働党が圧勝し14年ぶり政権交代へ 「変革」約束

Andrew MacAskill Elizabeth Piper Alistair Smout

[ロンドン 4日 ロイター] - 英国で4日に投開票された総選挙(下院、定数650)は、中道左派の野党労働党が過半数を大きく上回る議席を獲得し、スターマー党首が5日に次期首相に就任する見通しとなった。14年続いた保守党政権が幕を下ろすことになる。

首相官邸は5日、スナク首相がチャールズ国王に面会し正式に辞任するのに先立ち、0930GMT(日本時間午後6時30分)ごろに首相官邸で演説すると明らかにした。労働党のスターマー党首はチャールズ国王に面会した後、1120GMTごろに首相官邸で演説をする予定。

スターマー党首は勝利演説で「変革は今始まる。混乱に終止符つを打つ」と語った。

出口調査では、労働党は410議席を獲得する見込み。5年前の選挙では1935年以来の大敗を喫していたが、情勢は大きく転換する。

一方、与党保守党党首のスナク首相は敗北を認め、スターマー氏に電話で勝利を祝福したと語った。「今日、平和的かつ秩序ある方法で政権が交代することになる。学ぶべきこと、反省すべきことはたくさんあり、多くの善良で勤勉な保守党候補に対し、私が敗北の責任を取る。申し訳ない」と述べた。

出口調査によると、保守党は党結成以来最少の131議席にとどまり、議会解散時の346議席を大きく下回ると予想されている。生活費高騰や相次ぐ首相交代など不安定な政権運営が響いた形だ。

現時点の開票結果では、労働党が410議席、保守党が117議席、中道の自由民主党が同党して過去最高の70議席を獲得している。

保守党では約250人の議員が落選。トラス前首相のほか、シャップス国防相など現職の閣僚らが相次いで議席を失った。

ただ、労働党の圧勝にもかかわらず、世論調査ではスターマー氏や労働党に対する熱狂的な支持はほとんど見られない。

英国民の税負担は第二次世界大戦直後以来の高水準に達し、生活水準は低下、公共サービスはきしみ、特にストに悩まされる国民保健サービスは悪化の一途をたどっている。

スターマー氏は「国を変えるのは簡単なことではない。すぐにでも動き出さなければならない」と気を引き締めた。

<リフォームUKが躍進>

保守党票を最も切り崩したのは、ブレグジット運動家のナイジェル・ファラージ氏率いる右派「リフォームUK」。すでに4議席を獲得し、同党として初めて議席を獲得。ファラージ氏自身は8度目の挑戦で国会議員に当選した。

ファラージ氏は「英国の中道右派には大きな穴がある。この穴を埋めるのが私の仕事だ」と語った。

ある保守党議員はロイターに対し、「リフォームUKは今回明らかに健闘した。党内の一部からは保守党も右寄りになる必要があるという声が上がった。だが今回、労働党が中道で勝利したことを教訓とすべきだ」と語った。

極右「国民連合(RN)」が先月30日の下院議会選第1回投票で首位となったフランスとは異なり、英国の有権者は国際主義的な中道左派の労働党に変化を託した。

スターマー氏は先に、ブレグジットによって生じた問題を解決するために欧州連合(EU)との関係を改善すると約束している。ブレグジットには反対しているが、EUへの再加盟は考えていない。

ウクライナ支援の継続も表明しており、外交政策はスナク政権と共通する点が多い。

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