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Ingrid Melander
[パリ 1日 ロイター] - フランス国民議会(下院、577議席)総選挙の第1回投票が6月30日行われ、欧州連合(EU)懐疑派で反移民派の極右政党、国民連合(RN)が得票率トップとなった。ただ、議席が最終確定する7月7日の決選投票まで、各党は駆け引きにしのぎを削っている。RNは決選投票で勝利しても、過半数の289議席に届かない可能性がある。過半数議席を制する政党がない場合に予想される政権樹立に向けた動きをまとめた。
◎過半数に達する政党がない場合どうなるか
誰も確かなことは分からないとしか言えない。
憲法第8条では大統領が首相を任命することになっているが、どのような基準を用いるべきかが規定されていない。
実際にはマクロン大統領が第1党に首相ポストを提示する見通しで、世論調査や第1回投票の結果からRNが第1党になると予想されている。
◎RNのバルデラ党首は首相に就任するか
RNはバルデラ党首が首相候補だと表明している。しかしRNに加え、協力関係にある党の獲得議席の合計が少なくとも過半数289議席に達しない場合、RNは首相の送り出しを辞退する方針も明らかにしている。
憲法が大統領による首相の選出方法を定めていないため、理屈の上ではマクロン大統領が反RNグループを結成し、RN以外の政党か無所属の人物に首相ポストを提示する可能性がある。
◎バルデラ党首以外の首相候補
憲法には具体的な答えが示されていない。しかし以下の選択肢がある。
例えば、主要政党がまとまって1つのグループを作る可能性がある。今は実現していないが、マクロン大統領は極右勢力を排除するため各政党に団結を要請している。
もう1つの選択肢は、極左の政党や社会党、緑の党などが結束し、世論調査通りに第2位グループとして浮上、マクロン大統領が左派の人物に首相ポストを提示する可能性がある。この場合、左派勢力は少数与党政権を樹立しようとするだろう。
◎どの選択肢がうまくいくか
RNが決選投票でも得票率トップを確保し、首相就任を受諾すれば、マクロン大統領との「コアビタシオン(共存)」の時代に入る。大統領と首相の所属勢力が異なるコアビタシオンはフランス近代政治史で過去3回あったものの、いずれも主要政党間で起きている。この形になればRNは改革案を進める上で苦戦しそうだ。
RNが第1党ながらも野党にとどまる場合、政府提案を阻止または修正できる。憲法は政府に回避手段を付与しているものの限界がある。ただ、RNが過半数を確保すれば首相ポスト獲得は保証されたのも同然となるだろう。
◎グループ間で合意が成立しない場合
極右と中道、左派の3グループがいずれも政権を発足させたり、連立協定を締結したり、少数与党で政権運営したりするのに必要な議席数を十分に確保できない可能性もある。その場合、フランスは政治的麻痺状態に陥る恐れがある。法案はほとんど、あるいは全て採決されず、暫定政府が必要最低限の日常業務を行うことになる。
◎マクロン大統領は辞任するか
マクロン大統領は辞任する意志がないことを表明済み。しかし全てが阻止されれば辞任が選択肢に上がり得る。
◎もう一度総選挙を行うことは可能か
憲法によると、今後1年間は総選挙を実施できない。このため、決選投票後にもう一度すぐに選挙が行われることはあり得ない。