厚木市消防本部 救助技術大会で全国へ ほふく救出部門、16年ぶり 厚木市・愛川町・清川村

全国に臨む(左から)神崎さん、志村さん、長井さん

消防救助活動の技術を競う「第49回神奈川県消防救助技術指導会」が、6月19日に神奈川県消防学校(厚木市)で開かれ、「ほふく救出」の種目で厚木市消防本部が優勝を果たした。今大会の結果を受け、8月23日に千葉県で開催される全国大会への出場権をつかんだ。

ミス最小限僅差制す

ほふく救出は、ビルや地下街などの火災により煙が充満した環境下での救出を想定し、要救助者役を含む3人1組で行う競技。救助役1人が空気呼吸器を着装して長さ8メートルの煙道内にいる要救助者を屋外に救出し、もう1人の救助役と共に安全地点まで搬送するスピードを競う。

チームを組んだのは、長井涼太さん(28・温水西在住)、神崎拳さん(27・上荻野在住)、要救助者役の志村知哉さん(33・宮の里在住)の3人。34チームが出場する中で2位と0・6秒差の37秒3を記録し1位となり、厚木市消防として同種目では12年ぶりとなる全国出場を果たした。

神崎さんは「普段起きないことが起きてしまうのが大会の怖さ。その中でもミスを最小限に抑えられたことが、今回のタイムにつながった」と快挙を喜んだ。

同期入庁息合わせ

救助役を務めた長井さんと神崎さんは、中学時代に同じ硬式野球チームで白球を追った仲。厚木市消防にも同期入庁という間柄だ。ほふく救出競技への出場は4回目で、長井さんは「競技を続ける中で年々手応えを感じていた。(優勝という結果に)ねぎらいの言葉をかけていただけてうれしかった」と振り返り、神崎さんも「ずっと同じチームでやってきて、いい結果が出てほっとしている」と感慨深げだ。

災害現場を想定した競技のため、積み重ねてきた練習は実際の救助活動にも生かされている。緊迫した現場でも落ち着いて対応できる心構えが身に付いたと3人は口を揃え、「呼吸器を背負いながらでも、周りの障害物にぶつからないような空間認識の力が身に付いた」と長井さん。

「命を守る」志胸に

消防隊員を志したきっかけについて、長井さんは「消防や救急などそれぞれの役割は異なるが、人を助けるという共通の目的に向かって協力していく姿に憧れた」。神崎さんは父親が消防団員だったこともあり、歳末警戒にあたる父の姿や出初式などの行事を通して消防の世界は身近な存在だった。志村さんは「長年暮らした厚木に恩返しがしたいという思いが強かった」という。

全国の猛者が集まる8月の大会に向け、長井さんは「0・1秒でも削れるように頑張りたい」と意気込み、神崎さんは「日本一を目標にしてきた。神奈川代表の名に恥じないような結果を残したい」と熱意を燃やす。志村さんも「自分も3人目の選手という気持ちで大会に臨みたい」と、ゆるぎないチームワークで悲願の日本一を目指す。

競技中の様子(厚木市消防本部提供)

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