「こども家庭センター」子育て包括支援に手応え 岐阜・大垣市で4月に発足

新たに設置されたこども家庭センターの相談室で母子健康手帳を交付する保健師(左)=大垣市役所

 妊産婦や乳幼児への支援から児童虐待への対応まで、子育て支援を一体化した行政窓口「こども家庭センター」を4月に発足させた岐阜県大垣市が、センターの利用状況をまとめたところ、これまでより子育てに関する相談などが増えたことが分かった。市では、職員同士の情報共有を密にして、子育ての悩みへの、早期の一体的な対応を目指すとしている。

 センターが6月末までの状況をまとめたところ、昨年同期比で、母子保健の相談件数は約1.7倍、児童福祉に関する相談件数は約1.4倍に増えた。若年や経済不安があるなど、支援を要する妊婦が増加傾向にあることも分かったという。

 センターは、市役所1階の子育て支援課に開設。社会福祉士2人、公認心理師1人、保育士2人のほか、新たに保健師2人が増員され、心と体に関する相談や子育てに関する相談に対応し、連携してサポートする。同じフロアには、センター専用の相談室も設けた。これまで市保健センターで交付していた母子健康手帳も、センターで受け取れるようになった。上石津、墨俣の両地域では、各保健センターでも交付する。

 「行政手続きのついでにセンターに寄れて、悩みに応じて市の窓口をすぐに紹介できる」と話すのは、保健師の森麻未さん(36)。各保健センターでは、病気や妊娠中の体調不良時に、家事や育児のサポーターを派遣する事業を紹介するのみだったが、こども家庭センターでは登録までできるようになった。一般家庭は1時間700円、一人親や多胎児世帯などは無料で利用できる。

 また、市役所にはポルトガル語の通訳者も常駐しているため、在住ブラジル人らの相談にも迅速に対応できる。「転入時に必要な妊婦健診受診票の差し替えも、転入届を出したついでにセンターに寄ってもらい、保育園についての相談を受けたら隣の保育課窓口にそのまま案内するなど、サービス向上につながっているのでは」と見る。

 センター長で子育て支援課の髙島博一課長(53)は「別々だった窓口が一本化されたことで情報共有がスムーズになり、相談対応は円滑にできているが、周知はまだまだ。妊娠から子育てまで、困ったことがあれば、何でも気軽に相談してほしい」と呼びかける。

 また、児童虐待など困難な家庭環境を支援する機能も有することから、18歳以下の子どもからの直接の相談についても「子どもたちが学校や家族に話しにくい相談や悩みにも、専門家がしっかりと対応する。今後は市内の子育て支援団体や協議会などとの連携も強化し、みんなで子育てがよりしやすい環境を整えたい」と見据えた。

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