相次ぐ米国戸建住宅事業の拡大策

大手ハウスメーカー各社は、成長ドライバーとして米国戸建住宅事業に注力し、拡大策を相次ぎ打ち出している。

積水ハウスは、米国戸建事業戦略を発表。4月に買収が完了した米国ビルダーMDC社の子会社化により、2024年度計画を上方修正、売上高3兆8750億円(期初計画比5330億円増)、営業利益7500億円(同890億円増)とした。

MDC社は、コロラド州デンバーに本社を置き、引渡し戸数ベースでは全米11位の規模を誇る。22年度の引渡し戸数は9710戸。アメリカ西部および南東部における強固な基盤と、顧客ニーズに合わせた商品ラインアップを強みとし、16州34都市で事業を展開する。

23年度(24年1月期)の積水ハウスの米国戸建住宅事業の売上高は3371億円、販売戸数4444戸。MDC社買収により米国南東部での事業エリア拡大を図り、24年に米国戸建1万5000戸、第8次中期経営計画最終年度(31年度)に2万戸の供給を目指す。

積水ハウスは第8次中期経営計画最終年度に米国戸建住宅2万戸を目指す

同社は、海外事業拡大における戸建住宅事業拡大の3つのステップのうち、MDC社買収により、第2ステップが完了したとする。第1ステップは、Woodside社とともに米国戸建事業の基盤をつくる段階、第2ステップは、Holt社、Chesmar社、Hubble社、そしてMDC社買収により新エリアへの拡大が加速する段階。そして第3ステップは、積水ハウステクノロジーの移植に一層注力する段階だ。グループビルダー5社の2×4住宅に同社のテクノロジーをハード、ソフトの両面で移植し、「New 2×4 by Sekisui HOUSE」への転換を図る。ハード面では、オリジナル陶版外壁「ベルバーン」、高耐久屋根材、高耐候塗装、高耐久目地などの高耐久技術、また、優れた断熱性・気密性、省エネ・創エネ・蓄エネの3電池連携、次世代室内環境システム「スマートイクス」などの環境技術を移植。ソフト面では、顧客の”感性”を住まいに映し出す新デザイン提案システム「LIFE knit design(ライフ ニット デザイン)」をはじめ、キッズデザイン、収納、ペット共生、ユニバーサルデザインなどに関する同社独自の生活提案のノウハウを活用する。加えて、サプライチェーンマネジメントのノウハウを生かし工期短縮、廃材削減、コスト削減につなげる。

大和ハウス工業の永瀬常務は、「米国戸建住宅市場においては、日本企業、米国企業を問わず大手企業が中堅企業を買収する動きが活発化している。寡占化が進みつつある」と話す

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