何者?追加招集から大学侍Jに選出 評価急上昇中の東日本国際大の150キロ右腕・藤井ってどんな人?

 大学日本代表に選出された東日本国際大・藤井優矢

 南東北大学野球連盟に所属する東日本国際大・藤井優矢投手(4年・角館)が、「プラハ・ベースボールウイーク」(6~9日、チェコ)などを戦う大学日本代表に選出された。4強入りした全日本大学選手権では全4試合に救援。計23回を投じて3勝、防御率0.78で最優秀投手賞に輝くと、大学代表候補として追加招集された。評価が急上昇中の最速150キロ右腕に迫る。

 マウンドに上がれば、優しげな瞳に静かなる闘志が宿る。スリークオーターから最速150キロを投じる“東北の鉄腕”藤井がこの春、ベールを脱いだ。

 6月の全日本大学選手権では、予備日を挟んだ全4試合で連投し、4強入りに貢献した。計23回で投じたのは実に304球。だが、藤井は「まぁ、練習に比べれば」とあっけらかんとして言う。

 東日本国際大では、藤木豊監督(58)の方針の下、投手陣はほとんど毎日ブルペン入りするという。週末に試合があれば、投球練習をしないのは翌日の月曜日とオフの火曜日のみ。日頃の投げ込みの成果が、全国の舞台で発揮された。

 ただ、「もともとタフさに自信はなかったです」と右腕。昨年は故障により苦しい時期を過ごしたからだ。3年春にも同選手権に出場し1試合に救援登板したが、2回2/3を2失点でチームも初戦敗退。直後から「右肩が上がらなくなっちゃって…」と約半年をリハビリに費やした。

 その期間は、とにかく走り込んだ。「タイムとかじゃなく、飽きるまで走ってました」と大学のグラウンド内にある約150メートルのコースを、多い時で40往復。「投げたいのに投げられなくて、ずっと走ってたので結構キツかった」と振り返るが、結果として下半身強化、武器とする直球の精度向上につながり、今春の飛躍をもたらした。

 代表候補には追加選手として選ばれ、選考合宿中の紅白戦では2回を完全投球。「心身のタフさ」を選考基準としていた堀井哲也監督(62)は「追加招集した時点で直近の状態が良いということ。所属チームの監督にもヒアリングして疲労の状態も確認しながら、選考合宿も見させていただいた中で、非常にパフォーマンスが高いなと判断しました」と本戦メンバー選出の理由を説明した。

 マウンド上の気迫あふれる姿とは一転、取材中は穏やかな口調に柔らかい雰囲気が印象的だ。今回が初めての海外。直前合宿が始まる前日にパスポートを受け取ったといい、「わあ、パスポートだぁ…てなりました」と初々しい表情を見せた。「だいぶ人見知りです」と緊張の面持ちだったが、同じ秋田出身の早大・伊藤樹投手(3年・仙台育英)をはじめとした投手陣、全国で対戦した早大の野手陣を中心に、親睦を深めたようだ。

 将来的なプロ入りを目標とする中、初めての日の丸を背負い、意気込みを示す。「大学選手権でタフさがとりえだなと思った。どんな状況でも、どんなに連戦でも投げられるようにしたいですね」。積み重ねてきた努力の成果を、世界でも証明する。

 ◇藤井 優矢(ふじい・ゆうや)2002年9月12日生まれ、21歳。秋田県仙北市出身。右投げ右打ち。175センチ、75キロ。9歳から神代若鮎スポーツ少年団で野球を始め、神代中を経て角館に進学。高1秋の練習試合では大船渡・佐々木(現ロッテ)と投げ合った。東日本国際大では1年秋にリーグ戦デビューした。50メートル走6秒3、遠投100メートル。

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