「エイジシュート」88歳で88回 鵠沼藤が谷在住・中江さんが達成 藤沢市

安定感のあるパッティングを見せる中江さん

ゴルフの1ラウンド(18ホール)を自身の年齢以下のスコアで回る「エージシュート」を、88歳で88回達成した人がいる。鵠沼藤が谷在住の中江正吾さんは、今も年に50回ほどコースに出て記録更新を続けている。

難しいから面白い

都内で子ども向けアパレル会社を経営していた中江さん。ゴルフは取引先との付き合いで、40歳を過ぎてから始めた。学生時代は野球少年だったこともあり、「止まっているボールを打つなんて簡単」と高をくくっていたが、「ボールはあちこち飛んでいって、いつの間にかなくなってしまった」と競技の難しさと奥深さを知った。以降、忙しい仕事の合間を縫っては練習場に通い詰めた。

ゴルフを嗜む人であれば、一度は達成したいと思うのが「ホールインワン」、「アルバトロス」、そして「エージシュート」。特に運ではなく自身の腕前だけで達成するエージシュートは、勲章の一つと言われている。

納得のいくレベルのプレーができるまで、かなりの時間を要したが、中江さんが80歳の時、初めて偉業を成し遂げた。その後も記録を塗り替え、今年3月の函南富士コース(静岡県)でスコア87(アウト43、イン44)で年齢を1つ下回り、88回目の達成を迎えた。

コツコツ研鑽重ね

年齢のことを考え、現在は車ではなく電車を利用してゴルフ場に行く中江さん。目的地に着くまで数時間掛かる車内で、ゆっくりとストレッチしながらイメージトレーニングを怠らない。

ドライバーの飛距離は200〜230ヤード。自宅の庭にネットを張って日々技術を磨くアプローチやパターは、柔らかなスイングで正確だ。

帰宅後すぐに、きょうのスコアを振り返る。日付やコース名のほか、今の年齢、エージシュートの回数、パットの平均スコアなどをエクセルに打ち込んでデータ化。反省を踏まえながら、しっかりと自己管理している。

数年前に趣味の植木をしていた際、はしごから落ちて右膝を負傷した。サポーターは欠かせず、痛みにこらえながらも競技を続けている。一緒にコースを回ったこともあるという近所に住む大崎保則さん(73)は「本当に頭が下がる。決しておごらず努力する先輩が身近にいるのは我々の励みにもなる」と称賛する。

中江さんは、6月に94回目のエージシュートを達成した。90歳まで100回を目指しているが、「ちょろいもんですよ」とエールを送る大崎さん。人生の目標を中江さんは「ゴルフの極意は『相手を喜ばし、自分も楽しむこと』。この年になって自分にもやっと余裕ができた。長く健康で友人と会話を楽しみながらプレーができるだけで幸せ」と謙虚に語った。

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