【厚労省_医薬品制度部会】ドラッグストア協会への意見書提出/COML山口氏

【2024.07.05配信】厚生労働省が7月5日に開く「第4回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」で、認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は意見書を提出。日本チェーンドラッグストア協会に対しても意見した。

濫用は「コロナ禍の影響」との主張には「きっかけではあったが今もおさまっていない」

山口氏は意見書の中で日本チェーンドラッグストア協会の意見についてコメントした。

1つ目は協会が濫用がコロナ禍の影響だと主張していることについて述べた。
協会は「10~20 代の濫用はコロナ禍の自粛・社会的孤立の影響」だと主張していた。
これに対し山口氏は「“考えられる”“可能性が高い”と表現されているように推測の域を超えません」と指摘。一般用医薬品による濫用のきっかけはコロナ禍だったかもしれないとしつつも、「現在、濫用が治まっているという証拠はないのではないか」とした。

購入者の記録・保管、「大多数の国民が対象になるとは到底考えられない」

2つ目として、購入者の記録・保管に協会が「大多数の国民の医薬品アクセスを妨害する」と反対していることに対し、医薬品の販売制度に関する検討会のとりまとめでは、記録は「20 歳未満の者の購入や複数・大容量製品の購入等の必要な場合」という濫用のおそれのある場合に限定していることを挙げ、「大多数の国民が対象になるとは到底考えられません」とした。

購入者が医薬品を手に取って選べなくなると「セルフメディケーションの理念に正面から反する」との解釈は誤り

3つ目として、購入者が医薬品を手に取って選べなくなると「セルフメディケーションの理念に正面から反する」などと協会がしていることに対して、「セルフメディケーションの解釈を誤っておられると感じます」と指摘。「適切な医薬品を選ぶには専門家のサポートが必要で、そのために薬剤師等が存在するのではないでしょうか」と述べている。

「直接購入者の手の届かない場所に陳列」は既に約3割以上で陳列を自主的に工夫している

4つ目として、協会が濫用のおそれのある製品の陳列について「直接購入者の手の届く場所に陳列しないこととする」ことは「限りなく実現不可能」と主張していることに対し、第3回医薬品医療機器制度部会で東京都薬務課が監視指導の結果、既に約 3 割以上で陳列を自主的に工夫されていることを確認したと公表したことについて触れ、「決して“限りなく実現不可能”なことではないのではないでしょうか」と提起した。

「販売コーナーやレジ等で適切に販売に関与」、これまでに実施し成果発表すればよかった

5つ目として、協会が陳列についての規制をしなくとも、薬剤師等が販売コーナーやレジ等で適切に販売に関与することで防げると主張していることに対し、「確実に実施される確証はない」と指摘。日本チェーンドラッグストア協会が全ドラッグストアに実行させる権限を持っていないとした。
加えて、これまでの検討会議論のあった2023 年 2 月 22 日から2023年 12 月 18 日までの間に「全ドラッグストアに呼びかけ、成果をあげて発表すればよかったのではないでしょうか」と協会の姿勢を質した。「直接関係する団体として現段階で実施可能な努力をせず、直接議論する検討会で委員が納得できる発表に至らずに、いまになって“薬剤師等の関与によって防げる”と主張されても説得力に欠けると思います」とした。

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