都知事選 各候補者独自展開のネット戦略は 都政の課題「少子化対策」

都知事選の投開票まであと3日です。ラストスパートの論戦が繰り広げられるなか、インターネット上でも各候補者が独自の「ネット戦略」を展開しています。

広島県安芸高田市の前市長石丸伸二さん。ネットでの高い知名度を「リアル」に反映させようと、毎日10カ所ほどで遊説しています。

石丸氏:「安芸高田市の公式YouTubeのチャンネルは登録者数26万人で日本1位。まず間違いなくチャンネル登録は、東京都が1位になるでしょう」

公式YouTubeの登録者数は26万人以上、日々の演説の様子をつぶさに投稿するとともに、演説後には、週に2回ほど生配信で支持者と語り合います。

石丸氏:「今6万人が見ている。6万人の力で、世界を動かしてください」

また、演説の様子は「撮影・SNS投稿OK」支持者による「拡散」でさらなる認知度アップをはかっています。毎日5か所以上の演説をライブ配信しているというユーチューバーの男性は…「1人が見てくれて1人が10人に拡散すれば、1万人見てくれれば10万人に情報が広がる。自分が撮ったものが届くなら、それは票につながる」

小池氏:「きょうはリアルゆりこがお答えします」「候補者本人、リアルゆりこでございます」

「公務と選挙の二刀流」を打ち出す現職の小池百合子さんは「リアルとAIの二刀流」でも選挙に臨んでいます。

AIゆりこ:「この動画は私AIゆりこがお伝えします」

画面上にいるのは生成AIによって声や姿が再現された小池さんで、これまでの2期8年の実績を強調します。

AIゆりこ:「質の高い学校教育を支える環境整備の一環として…」

事前に2時間ほどかけて収録した声や姿を取り込み、スタッフが書いた原稿をもとにAI動画を作成。ネットで拡散していました。しかし、今週からは「リアルゆりこ」が演説で追加の公約を訴えていて、リアルとAIをどのように区別しているのか、直接、聞いてみると…

記者:「AIとリアルで使い分けたりとか、どういう狙いで今回リアルを押し出しているのか?」

小池氏:「AIはテキスト入れると喋る。私がいなくてもテキスト流しておけば喋る。リアルは自分で喋るので、これまでの実績はAIでこれからやりますという意思を込めるときはリアル百合子、そんな使い分け」

前参議院議員の蓮舫さんは「会いに行ける蓮舫」として、街頭演説では、ひとりひとりにハイタッチするなど親しみやすさを前面に出しています。

蓮舫氏:「れんほうライブ始めたいと思いまーす。30分位かな。よろしくお願いしまーす」「ウルくーん、ありがとう」

特にSNSでは自宅で愛犬を紹介するなど「怖いと言われる」という自身のイメージの払拭にむけ、「砕けた雰囲気」作りを重視。さらに「X」旧ツイッターも活用し、積極的に発信を行っています。

蓮舫氏:(Q:SNSかなり高頻度に発信しているが戦略は)「いや、色々感じる事をそのままあげているだけですかね」

田母神氏:「私は本当にいいひとなんです」

元航空幕僚長の田母神俊雄さんは「固い」肩書きとは裏腹に、自ら「いい人」とアピールし、若者に支援を訴えます。

歌舞伎町ではキャバクラ店などで働く女性たちと意見交換…街頭演説でも冗談を交えて笑いを誘います。

田母神氏:「60超えてから女子高校生からおばさんまでのアイドルになったていう人は私くらいなんですよ」

75歳にして、SNS戦略でTikTokを駆使し、「としおのぼやき」を投稿しています。

田母神氏:「私は意外に若い人にね、ネットでは人気がある。人気が高いんですよ」

撮影は、演説の合間や食事の時間に行われ、親しみやすさを打ち出しています。

田母神氏:「ネットのフォロワーが増えているので、多分やっていることが(選挙に)いい影響を与えているんじゃないか」

都知事選に向け、番組では今週、都政の課題について取材を行うとともに、各候補が掲げる課題への政策を連日、お伝えしています。4日目のテーマは、「少子化」です。都内の女性1人が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は1を下回り、都内で産まれる子どもの数が年々、減少するなかで出産の現場では何を感じ、何を求めているのでしょうか?

千代田区にある浜田病院。明治時代から約130年間、妊婦の出産を支えているこの現場でも東京の「異変」を感じていました。

浜田病院 合阪幸三院長:「全体としてお産の数が減っている。年々少しずつ少しずつ減っていて、だから少子化になっているんだろうなという感覚はある」

こちらは2000年以降の都内の出生数と女性1人が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率の推移を表したグラフです。共に2015年をピークに減少を続け、去年、出生数は9万人を切りました。また合計特殊出生率は1を切り、0.99に。人口の維持に必要とされる2.07に遠く及びません。ここ浜田病院でも出産の件数は減少していて、去年と今年を比較すると2割ほど減少しているということです。

浜田病院 合阪幸三院長:「ずっと産婦人科医をやっていたので、やっぱり赤ちゃんの数が減るというのは悲しい。日本全体で出生数が減っているという現実を捉えると お産の数ばかりで経営を考えるというのは、考え直さなければいけない時代に入ってきていると思う」

そこで浜田病院が始めたのが…

記者:「こちらの病院では、出産したお母さんをサポートする産後ケアにも力を入れています」

出産直後の子育てで負担を感じている母親を対象に、一定期間、入院してもらい、助産師や看護師が子育てのサポートをする産後ケアのサービスを3年前から行っています。

産後ケアを利用する女性:「(子育てで)寝れないということが一番大きなストレスになっていて、私自身も休息が必要だと感じて利用した。久しぶりにゆっくりご飯が食べられて、子どもを気にせずに睡眠時間も取れているので休息できている」

助産師長 石井さん:「いま祖父や祖母の手伝いをなかなか受けられない母親が多い。産後ケアの受け入れ施設も増えているので、利用いただけると休めると思う」

また、出産直後の母親に提供する院内の食事についても今年度からリニューアルし、より満足感のあるメニューに変えるなど、少しでも出産の楽しみを増やす努力を続けています。ただ院長は、少子化の解決に向けてはこうした個別の病院のサポートだけでは限界があると指摘します。

浜田病院 合阪幸三院長:「結局なんだかんだ言っても、子どもを産むのは女性にしかできない。女性が出産する年齢にも限度がある。やはり若いうちに子どもを持てる制度をきちんと作ってもらうのが一番大切じゃないかと思う」

未来を担う新しい命を増やすために…人口1400万人を抱える東京都の政策が問われています。

東京の大きな課題の1つ、「少子化」について、都知事選の候補者それぞれの主張をまとめました。

現職の小池さんは「子育てにお金がかからない東京へ」をかかげ、保育の無償化を第一子まで拡大することや無痛分娩の費用を助成することなどを訴えています。

蓮舫さんは、少子化対策には若者の手取りを増やすことが大事だと話し、都と契約する事業者で働く人の待遇改善や奨学金の返済支援などを挙げています。

田母神さんは出産時の一時金の給付を主張し、一人目の出産で100万円、2人目で200万円を支給するなど、人数に応じた支援を訴えています。

石丸さんは、人口過密の解消を少子化対策につなげる考えで、例えば若い女性が都市部に集中しているとしてこの偏りを解消し、地方の婚姻数を増やす政策を示しています。

都政の課題、あすは「多摩格差」についてお伝えします。

都知事選には過去最多の56人が立候補しています。都知事選の投開票は7日に行われます。現在都内の300カ所以上に期日前投票所が開設されています。都知事選の主な争点には災害対策、少子化対策、物価高対策の他、小池都政への2期8年への評価などがあがっています。都知事選は7日に投開票です。

■東京都知事選挙 立候補者(届け出順・敬称略)
野間口翔(36)/澤繁実(47)/大和行男(46)/木宮光喜(71)/小池百合子(71)/内海聡(49)/石丸伸二(41)/小野寺紘毅(79)/新藤伸夫(75)/竹本秀之(68)/桜井誠(52)/ドクター・中松(96)/安野貴博(33)/清水國明(73)/AIメイヤー(51)/桑原真理子(50)/後藤輝樹(41)/河合ゆうすけ(43)/福本繁幸(57)/黒川敦彦(45)/桑島康文(62)/田母神俊雄(75)/蓮舫(56)/内藤久遠(67)/内野愛里(31)/石丸幸人(51)/尾関亜弓(43)/小松賢(36)/加賀田卓志(47)/福永活也(43)/犬伏宏明(48)/武内隆(61)/遠藤信一(59)/上樂宗之(45)/二宮大造(53)/中江友哉(32)/舟橋夢人(58)/山田信一(53)/加藤英明(65)/草尾敦(55)/津村大作(50)/横山緑(46)/前田太一(38)/南俊輔(39)/福原志瑠美(41)/木村嘉孝(49)/三輪陽一(42)/松尾芳治(46)/穗刈仁(57)/小林弘(49)/加藤健一郎(74)/ひまそらあかね(41)/向後真徳(62)/牛窪信雄(51)/古田真(77)/アキノリ将軍未満(37)

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